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司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

役員選任の件で,会社提案と株主提案で定員超え?

2023-06-24 07:23:23 | 会社法(改正商法等)
日経記事(有料会員限定)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC1580T0V10C23A6000000/

「東洋建設が6月27日に開く定時株主総会で、会社提案と株主提案合わせて20人の取締役候補の選任を諮る。取締役の上限は15人となっており、過半の賛成を得た候補でも選任されない可能性もでてきている。」(上掲記事)

cf. 同社「株主総会」
https://www.toyo-const.co.jp/ir/shareholder/meeting

 会社提案は「取締役11名選任の件」であり,株主提案は「取締役9名選任の件」である。

 定款で取締役の員数の上限規定を設けておかないと,例えば,株式の過半数を取得した株主が臨時株主総会を招集して,自らが立てた取締役候補者を大量に選任して送り込んで,株式会社の握るようなことができてしまうので,上限規定を設けるのは上場企業においては常識である(過去には,国際航業事件のようなケースがある。)。

 また,「取締役選任の件」(候補者は11名)と「取締役11名選任の件」の違いであるが,「○名」を入れておかないと,修正動議による議案の修正で,上限規定までの候補者の追加選任を提案されるおそれがあるので,「○名」を入れるのも常識の類である。

 本件においては,議案の修正ではなく,あくまで株主提案である。そして,会社提案の11名と株主提案の9名は,候補者が重なっておらず,定款の員数規定の範囲内で並立し得る。よって,全ての候補者についてその可否を図り,得票数の上位者から15名を選任する,というのが妥当であろう。

 同様の事案として,株式会社宮入バルブ製作所事件では,

「平成26年6月27日に開催された定時株主総会において,会社提案議案として「取締役5名選任の件」,株主提案議案として「取締役2名選任の件」が上程され,いずれの候補者も過半数の賛成を得たものの,定款では「当会社の取締役は,5名以内とする」と定められていたことから,得票上位の5名が選任され,結果として,会社提案の候補者5名が選任されたものである。」(後掲記事)

という取扱いがされた。といっても,このように単純に整理してよいかは明確ではなく,いわゆる「モリテックス事件」の隠れ論点でもあった。

cf. 平成26年7月7日付け「取締役の選任に関する議案の会社提案と株主提案の競合」

 どのような結末となるであろうか。
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