余り知られていないようだが,公証役場以外に,登記所でも私署証書の確定日付が取得できる(民法施行法第5条第1項第2号)。公証役場は,概ね9:30~16:00(12:00~13:00は昼休み。)であるが,登記所は、8:30~17:15(昼休みなし。)であるし,全国に遍く存置されている(統廃合は漸進しているが。)ので,便利である。手数料は,いずれも700円。
〇 民法施行法(明治31年6月21日法律第11号)
第5条 証書ハ左ノ場合ニ限リ確定日付アルモノトス
一 公正証書ナルトキハ其日付ヲ以テ確定日付トス
二 登記所又ハ公証人役場ニ於テ私署証書ニ日付アル印章ヲ押捺シタルトキハ其印章ノ日付ヲ以テ確定日付トス
三 私署証書ノ署名者中ニ死亡シタル者アルトキハ其死亡ノ日ヨリ確定日付アルモノトス
四 確定日付アル証書中ニ私署証書ヲ引用シタルトキハ其証書ノ日付ヲ以テ引用シタル私署証書ノ確定日付トス
五 官庁又ハ公署ニ於テ私署証書ニ或事項ヲ記入シ之ニ日付ヲ記載シタルトキハ其日付ヲ以テ其証書ノ確定日付トス
六 郵便認証司(郵便法(昭和22年法律第165号)第59条第1項ニ規定スル郵便認証司ヲ謂フ)ガ同法第58条第1号ニ規定スル内容証明ノ取扱ニ係ル認証ヲ為シタルトキハ同号ノ規定ニ従ヒテ記載シタル日付ヲ以テ確定日付トス
2・3 【略】
cf.
平成20年11月10日付け「登記所でも確定日付が取得できる(再掲)」
ところで,債権法の改正による「民法施行法」の一部改正は,次のとおりである。
(民法施行法の一部改正)
第1条 民法施行法(明治31年法律第11号)の一部を次のように改正する。
第4条を次のように改める。
第4条 削除
第57条を次のように改める。
第57条 削除
(民法施行法の一部改正に伴う経過措置)
第2条 この法律の施行の日(以下「施行日」という。)前に作成された前条の規定による改正前の民法施行法第4条に規定する証書の証拠力については、なお従前の例による。
2 施行日前に発行された指図証券、無記名証券及び民法の一部を改正する法律(平成27年法律第 号。以下「民法改正法」という。)による改正前の民法(明治29年法律第89号。以下「旧民法」という。)第471条に規定する証券に係る権利の失権については、なお従前の例による。
【参考】
第4条 証書ハ確定日附アルニ非サレハ第三者ニ対シ其作成ノ日ニ付キ完全ナル証拠力ヲ有セス
第57条 指図証券、無記名証券及ヒ民法第471条ニ掲ケタル証券ハ非訟事件手続法(平成23年法律第51号)第100条ニ規定スル公示催告手続ニ依リテ之ヲ無効ト為スコトヲ得
ちなみに,改正後の民法第467条の規定は,次のとおりである。
(債権の譲渡の対抗要件)
第467条 債権の譲渡(現に発生していない債権の譲渡を含む。)は、譲渡人が債務者に通知をし、又は債務者が承諾をしなければ、債務者その他の第三者に対抗することができない。
2 前項の通知又は承諾は、確定日付のある証書によってしなければ、債務者以外の第三者に対抗することができない。