司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

取締役の解任決議における定足数について

2008-05-21 22:54:59 | 会社法(改正商法等)
 取締役の解任については、旧商法の下では株主総会の特別決議を要したが、会社法の下では普通決議で足りることとなったのは周知のとおりである。

 しかし、「定款に普通決議に関する定足数排除規定があって、取締役の解任につき定足数の特段の規定がない場合の定足数」について、想定外の問題が生じているように思われる。

 会社法の下で、普通決議に関する定足数排除規定を設けている株式会社は、取締役の選任につき定足数を3分の1以上とする規定を置いているのが通常である。このような会社が、取締役の解任につき定款に特段の規定を置いていない場合、定足数については会社法第341条の原則どおり(過半数)というのが会社の企図であると考えるのがおそらくは合理的なのであろうと思われる。

 ところで、旧商法の下で、普通決議に関する定足数排除規定を設けている株式会社が取締役の選任につき定款に特段の規定を置いていない場合、旧商法第256条ノ2の規定の適用を受けて、「定足数は3分の1と定めたものと解される。」というのが通説とされており、この点、会社法の下でも同様に解されているようである(「全株懇モデル(新訂版)」(商事法務)53頁)。旧商法第256条ノ2→会社法第341条の改正については、実質的な改正はないはずであるから、一応は妥当であろう。

 しかし、この論からすると、取締役の解任についても、「定款に普通決議に関する定足数排除規定があって、取締役の解任につき定足数の特段の規定がない場合は、定足数は3分の1と定めたものと解される。」ということになってしまうのである。

 旧商法の下で特別決議の定足数の要件を軽減する規定を置いていた会社にとっては、このような解釈の方が逆にありがたい面もあるのかもしれない(結果的に定足数の要件が維持されているからである。)が、そのような軽減規定を置いていなかった会社にとっては、また、定足数のハードルを上げたつもりの会社にとっては、企図に反して、取締役の解任について「定足数は3分の1と定めたものと解される。」ということになってしまう。

 このような解釈の混乱(?)を回避するためには、会社法第341条の規定をいかに解釈すべきか?

 会社法第341条の規定が「特則」として置かれている(「会社法第309条第1項の規定にかかわらず」である。)ことからすると、また旧商法第256条ノ2の規定ぶりとは明らかに異なることからすると、取締役の選任及び解任の決議については、定款の定めによる普通決議の定足数排除の効果が及ばない、したがって、いずれの場合も特段の規定がなければ、会社法第341条の原則どおり(過半数)と解するのが、実務の安定の観点からは妥当というべきではないだろうか。

 もっとも、実務上の混乱を回避するためには、普通決議に定足数排除規定を設けている株式会社は、取締役の解任についても定款に定足数の特段の規定を置くのが手堅い選択というべきである。
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不動産の任意売却における担保権の抹消請求制度の創設へ

2008-05-21 21:38:36 | 司法書士(改正不動産登記法等)
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20080521-OYT1T00418.htm

 不動産の任意売却時に、複数の担保権全部を抹消することを、担保権者全員の同意が揃わない場合にも可能とする制度を民事執行法の改正により創設するそうだ。後順位担保権者が、いわゆる判子代目当てに、なかなか抹消に応じないケースに対応するもの。
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関西人は甘い酒が好き?

2008-05-21 00:10:40 | いろいろ
http://www.nikkei.co.jp/kansai/news/news000094.html

 私が学生のころは、チューハイ草創期で、レモン、ライム及び梅の3種だけだったのだが。いまは、メニューが豊富。
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