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新型コロナウィルス肺炎と日中関係の考察

2020-02-09 20:45:00 | 国際
中国の武漢から始まった新型コロナウィルスに依る肺炎は今や中国全土に広がり、それだけでなく世界中に流行し始めている。正にパンデミックと言える状況にある。

その状況下で中国の経済や日本の中国との関わり方に関する考察がなされている。これは国際政治学者・藤井厳喜氏が「WORLD FORECAST」で発表したもので、2020年2月5日14時時点の状況を前提にしたものである。

今回はこの考察を抄録の形でここに掲載する。現時点で武漢肺炎は収束する気配は無く、さらなる感染拡大が懸念されている状況なので、多くの人がこの解説をお読みいただくことを期待している。


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武漢発の新型肺炎ウィルスが世界中に広がっており、あらゆる方面に深刻な影響を与えているが、日本のマスコミはこれを相当に過小評価している。本来はかなり危険で極めてリスクの大きな状況なのだが、あたかもそのリスクを隠すかのような報道ばかりが目立つ。

今回の武漢肺炎と中国に関する考察のポイントは下記の9つである。


1.中国経済が壊滅的な打撃を受ける予測

上海を中心とする経済圏はこれでしばらく機能不全に陥るものと思われる。今のレベルでGDPの10%くらいは落ちると推定され、GDPの1/3くらいは損害を受けると推定される。

2.アンチグローバリズムのトレンドがさらに強固になる

感染病が世界的に広がったものをパンデミックというが、これをどうやって制圧するか?
その答えは「隔離」しかない。
今後は新型肺炎だけでなく、中国そのものを隔離する方向に世界は動いていくと予想される。グローバリズム=経済のボーダーレス化が”良いことだ”という価値観が逆転して、相互依存だったものが分離して自国の国民経済が第一である、という方向に経済のトレンドが変わってゆくと予想される。

3.中国人選手のオリンピック出場が難しくなる

SARS(重症急性呼吸器症候群)(*1)の時で制圧するのに半年かかっている。今回はもっとスケールが大きい流行になっているので半年での制圧は難しいと予想される。そうなると中国から五輪の選手が来ても検査で陰性になった人だけ、ごく一部の選手団が来るだけ、になるだろう。まして中国人の一般観客・応援団が大挙して来るなどは到底考えられないことになる。それを前提にしてオリンピックを考えるべきである。
多少気運が盛り下がっても日本人がそういう覚悟をしてきれいで清潔で安全なオリンピックを日本が主催するのが日本の責任だ・・・ということを明記してオリンピックに臨むべきであろう。オリンピック関係者も国民も頭を切り替えなければならない。
仮に、選手村で武漢肺炎が蔓延したら大変なことになる。従って中国排除は向こうが嫌だと言っても日本は覚悟を決めて決断しなければならないことなのである。

4.習近平の国賓訪日キャンセル

外交儀礼上、実際にはキャンセルという形をとることは難しいので「無期延期」とするのが妥当であろう。「今は条件が整っていない」ので「条件が整ってからにしましょう」ということにすればよろしい。そしてそのままずっと無期延期を続ければ良い。これなどは中国と距離を置くための一種の天の声だと思ってやるべきであろう。現地の一般の中国国民には何の罪もないのだが、あの国の体制が正に今の悲惨な状況を作っている事実はしっかりと捉えなければならない。

5.中国に対する出入国規制の強化

日本はアメリカに見習って人の往復について厳しく禁止するべきである。アメリカでは1月30日から中国への渡航は全面禁止となっている。中国からアメリカに来る人間も入国させない、という決断である。中国以外の国の人も中国に滞在歴があればすべて入国禁止となる。はじめは武漢だけを対象としていたが、今は中国全土に広がったということで、中国の何処の都市から来てもアメリカには入国禁止ということになった。
一方、日本は未だに中国人の入国を受け入れてる。中国は団体客こそ送ってこなくなったが、個人では変わらず来ている。中には日本が安全ということで「日本に逃げてきた」という人もいる。例え日本で旅行者として倒れても日本が無償で医療の面倒をみてくれるから、だから日本に行くという連中も多いし そのような情報が出回っている。中国のSNSではいかに日本に入国し医療のサービスを(無料で)受けるかについての情報も広がっている。これはとんでもないことである。
日本政府はまず日本人の健康を第一に考えるべきである。中国人の入国は全てストップさせるべきなのは明白である。せめてアメリカ並みにすべきだろう。
アメリカでは中国からアメリカ人を帰国させるために飛行機を飛ばした。第1便は当初はLA近郊の民間空港に降ろそうとしたが、日本での新型肺炎発生の報を受けてそれをやめた上で、急遽その地域にある空軍基地に降ろしたのである。空軍基地なら帰国者の隔離もしやすいからである。アメリカではここまで危機感があるのだ。
この機会に自民党の二階幹事長が「中国にマスクを大量に送れ」と言っているが、日本国内でもマスクが不足して病院に於いてもそれによって手術ができないような状況が想定されている状況でそのような戯言を言っているのだ。さらに二階幹事長が東京都の小池知事に話して防護服を十万着送ることを決めた。これもとんでもないことだ。日本ではこれからマスクも防護服も必要になるのに、いったい何を言ってるのか?と。そもそも国民の税金で買ったものを二階幹事長の一存で勝手に送られてしまうのは明らかにおかしい。二階や小池は政界から追放すべき人間であろう。国民に対する売国奴的な犯罪行為である。こういう連中が日本で大きな力を奮っており、日本国民の健康を第一に考えていない正体も顕に売国行為に勤しんでいるのである。

6.武漢・突貫工事で作られた病院の真実

中国軍が大急ぎで病院と称するものを作っている。一千床の病院だそうだ。工事しているのは中国の工兵隊であり、工兵隊を使えばあの程度の工事は簡単にできるのである。正に突貫工事であり、あれは病院と呼べるものではなく、実態は隔離病棟であり、やがて絶滅収容所になり、終いには死体置き場のような場所になるであろう。そこに入れられた人は二度と生きては出てこられないのだ。完全に感染が確認された人だけが収容されるのであろうが、死亡率10%と言われている現在、重病の人と同じ場所に居させられるなら、死亡率はさらに高まるであろうことは間違いない。病気にかかった人に医療を与えるための施設ではなく、そこに封じ込めて医療を与えないで死亡させて死体を処理する場として恐らく使われると推定される。日本では隔離していても最高の医療が与えられるが、それとは真逆のことが行われているのである。
封鎖された武漢のような都市はほぼ全滅となっても中央政府は恐らく「構わない」という決断を既にしたものと推測されている。
2月5日の時点で中国共産党政府の発表はほとんど信じられないと思われる。感染者数と死亡者数の数字も真の実態と中国政府の発表するものには乖離があり、恐らく桁が違うであろうと思われる。

7.中国経済の閉塞化が加速

イギリスも国民の全面引き上げを決めて、中国との人間の行き来を全てストップした。ハイテク分野の研究者は中国にはいないのでアメリカやヨーロッパに頼っている部分があるのだが、これで中国のハイテクの研究もかなり停滞するか止まるものと予想される。

8.米中の分離がさらに加速

中国がお金がなくなったのでドル建てで売れる資産をどんどん売りに出すと予測される。それによってますますお金がなくなることになるだろう。米中がデカップリング(decoupling/切り離し/分離)していくスピードが速まるであろう。
中国経済を世界経済から孤立した閉鎖的なシステムにする←これが中国の再封じ込めとなる。これはトランプ政権が狙っているところである。
今までの動きによって中国は手持ち資産も売却するし、人間の交流もストップし、物の貿易もストップしていくということで、いわゆるデカップリングが大胆に進行するだろう。
アメリカ・トランプ政権のウィルバー・ロス商務長官は「武漢肺炎によって中国に奪われていた多くの雇用がアメリカに戻ってくるだろう」「メキシコにも戻ってくるだろう」と発言している。それは企業が合理的な判断をしてリスクを考えるならば、SARS・豚コレラ・新型の鳥インフルエンザなどが次々と発生し流行する国では”安定した製造業はできない”となるのは当然であろう。なので、世界のサプライチェーン・企業のサプライチェーンを変更する時に中国は外さざるを得ないことになる。リスクを考えれば合理的判断として自然に雇用がアメリカやメキシコに戻ってくる事になるだろう、と言っているのである。雇用が「戻ってくるだろう」でもあるし、さらに「戻ってくるようにする」、ということである。

9.WHOの機能不全が明白に

今回の武漢肺炎でWHOが機能不全になっており、誠にみっともないことが判明した。
エチオピア出身のテドロス事務局長が問題だ。エチオピアは一番多く中国からお金を借りている国である。要するに中国の債務の罠(トラップ)にはまってしまった典型的な国なので、恐らく中国に媚を売らなければいけないのだろう…と推測される。
本当はWHOは医学や防疫のスキルが無い発展途上国などに対して、それが危険な病気であることを知らせたり注意すべきであること等の警告を発する役目がある。いわば最悪のケースを想定して警告を発するのが仕事である。早く手を打てば疫病が広がらないで済むからである。なので、本来は先手先手を打って防疫に努めるのだが、今回は完全に後手後手になっている。
中国に依る国連の拠出金が世界で二番目になった。これによって国連の各種機関に中国人がどんどん進出している。それは中国共産党の工作員のような人たちなので、彼らが国際機関を歪めて機能不全に陥れて中国の国益にプラスするようなことばかりやる そういう体制になっているから、だから国連はますます怪しくなって信用できなくなってきているのである。

10.中国との関わり方

日本は国家として充分な防護体制・防疫体制を敷いていない。企業も個人もいまだにこの時期に「さらに中国に投資する」などと言っているようだが、それは完全に頭が錯乱しているとしか考えられない。
国も企業も個人も”中国切り”というか、中国はずしの方向に動かないといけない。そうしないと生き延びてゆくことはできないだろう。
今回の件で中国からようやく帰国できたサラリーマンの中には、状況が少し落ち着いたから、という理由で会社から再度中国行きを命じられているような酷いケースもある。今現在、命がけで中国に行く人はいない。そんな困った立場の人は仮病でも何でも使って自分の命を守るべきである。そうしないとサバイバルすることはできないのだ。日本の企業は国際情勢の現実が全く見えていない。



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(*1)
中国南部の広東省を起源とした重症な非定型性肺炎の世界的規模の集団発生が、2003年に重症急性呼吸器症候群(SARS: severe acute respiratory syndrome)の呼称で報告され、これが新型のコロナウイルスが原因であることが判った。



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[2020年2月25日追記]
参議院議員の青山繁晴氏から齎された情報に依ると、「正式な発表はしていないが、習近平来日の予定日は4月6日だったが事実上無理になった」とのこと。現在は「今後」をどうするかについて検討しているようである。




つぶやき集 [5]

2020-02-08 18:23:53 | つぶやき
<日常を面白くする稀有な能力>

北海道のHTBに「水曜どうでしょう」という番組がある。大泉洋氏を輩出したことで有名なあの番組だ。このローカル番組がなぜウケて、なぜ全国区の人気と知名度を獲得したのか。それは日常のあらゆる出来事を面白がれる能力とセンスがあったからだ。「水どう」の4人(出演者2人、ディレクター2人)は普段の何気ない状況を瞬間的に面白いシチュエーションとして捉えることで、その場を爆笑空間に変えてしまう。彼らにかかれば長距離深夜バスの旅も格闘技の真剣勝負のフィールドと化してしまう。何を持ってきても面白く楽しくしてしまうこうした能力はなかなか稀有なことである。
そして、こうした能力で思い出されるのはジャズピアニストの山下洋輔氏とその仲間たちのことだ。山下洋輔氏の周囲には才能に溢れるユニークな人物が集う。筒井康隆氏、タモリ氏、赤塚不二夫氏、平岡正明氏、黒鉄ヒロシ氏、坂田明氏、などなど、錚々たる顔ぶれが毎夜のように新宿の怪しいバーに集まっては面白い事を真剣に追求していた。タモリ氏の初期の芸のネタのほとんどはこのバーで開発され磨かれたものであるし、山下氏を初代会長とした「全日本冷やし中華愛好会」(全冷中)では冷やし中華を食すのではなく、ひたすら眺めて延々と議論する、という真面目な人から見れば怒り出すような事が毎夜のように行われていた。これもまたなんでもない事をいかに面白がれるか、という才能の為せる技なのだ。こうした日常を面白がれる能力・何でもない生活自体を楽しむ才能を皆が持っていれば社会の有り様ももう少し変わっていたかもしれない…と思うところである。




<日本を毀損する政治家>

2020年2月現在、中国発の新型ウィルスに依る肺炎が世界的に蔓延の傾向にあり、日本に於いても防疫体制の不十分さから新型肺炎の感染が広がりを見せている。
そんな中、兵庫県や香川県の県知事はマスクを大量に中国へ支援物資として送ってしまった。これにより兵庫県や香川県では病院で使用するマスクすら不足する事態に至っている。マスクがないので必要な手術もできない事態に発展しているそうだ。この両県知事は県民・日本国民のことよりも中国国民の心配をしている。日本にマスクが潤沢にあるのなら余剰分を中国へ救援物資として渡すのは問題ないが、しかし現実に日本国内・県内でマスクが不足しており、それによって医療に支障をきたしているのだ。香川県などは中国に大量に送っておきながら「県民に配る予定はない」と言う。県知事の頭も心も何かに蝕まれているとしか言いようがない。いったいどこの国の県知事なのか。そして、自民党の二階幹事長が彼の一存で数百万枚のマスクを中国に送ったり、東京都の小池知事が防護服10万着をやはり一存で中国に送ってしまった。日本ではこれからそれら物資が必要になるのに…。
こうして日本人を蔑ろにしてまで中国を助けた結果、中国からの返礼は「沖縄空域への爆撃機・戦闘機侵入」「尖閣諸島への軍艦による領海侵犯」「中国国内での日本人不当拘束」である。中国が当然のように恩を仇で返す国であることは数十年前から判っているのに…。それでも中国に媚びる日本の一部政治家の信じがたい異常性と狂気は今の日本にとって深刻な大問題である。




<NHK総合「ガンダム誕生秘話>

「機動戦士ガンダム」のそもそもの誕生秘話について、当時のメインスタッフの皆さんの貴重なお話が聞けたのは良きことであったし、今の時点でこうした映像と音の記録として残せた事は良かったと思う。その内容に関する評価と感想は別稿に譲るとして、ここではスタッフの一人一人の喋り方の癖について書きたい。御大である富野由悠季監督の口癖は「それだけのことです」。色々大変だった事を縷々説明して最後に「それだけのことです」で締める。これが富野スタイル。これが何を表すかと言うと、制作過程における艱難辛苦を苦労して乗り越えたけども、最後に「それだけのことです」と付け加えることで「俺にとっては大したことではないよ」と困難を楽に乗り越えたかのように自慢する心理が働いているものと思われる。まぁ可愛いものだ。
アニメーター板野一郎氏の「みたいな」も耳につくほど頻繁に発せられた。板野氏にとっての一種の照れの表現なのかもしれない…みたいな。



<業界用語(バンド用語)の誤用>

いわゆる業界用語として知られる暗号的な言葉は元々ジャズミュージシャンから生まれたバンド用語なのであるが、これを使って通ぶりたい一般の人が間違った使い方をしている場合が散見される。いや、元々正解などないので「間違った」訳ではないのだが。例えば、お金持ちの事を一般の人は「とにかく言葉をひっくり返せば良いのだろう」と思って「モチカネ」(金持ちを逆にしただけ)と言ったりするのだが、それよりは「ネーカチーモ」の方がよりバンド用語(業界用語)らしいだろう。「金」と「持ち」を各々単独でひっくり返し、しかも長音を付加するのだ。こうした具合に作るのがバンド用語/業界用語だ。



<日本のTV-CMあるある>

海外のTV-CMに比較すると、日本のTV-CMには次のような特徴(または”あるある”)が認められる。

・やたらCMソングを使いたがる
・CMソングに合わせて踊らせる
・サウンド(音)が大きくうるさい傾向が強い
・商品名を大声で怒鳴るケースも少なくない
・論理よりも情緒や感情に訴求するスタイルが多い
・出演タレントはやたらに目を大きく見開く









「婚活」という言葉の呪縛

2020-02-06 18:40:15 | 社会・政治
「婚活」という言葉は大学教授である山田昌弘氏が作り、氏自身も「僕が作りました」と自慢しているほどの流行語であり、今や社会に定着した感があるが、こうした言葉で人間にまつわる現象をカテゴリー化してしまうと、その言葉が流行れば流行った分だけ人はその言葉が意味する概念の枠にとらわれてしまい、おかしな方向に進んでしまう傾向も見られる。


当の山田昌弘教授は2018年に次のような趣旨のコメントをしている。

『婚活』という言葉の意味は「待っているだけでは結婚できない」ので、自ら積極的にアクションを起こす必要がある、という事と、「女性は夫となる男性に経済的に依存する結婚を求めるのは無理があるので共働きを選択するのが良い」・・・というものであった。

ところが、実際には「婚活」という」言葉は流行に乗ったことで独り歩きしてしまった。その結果、社会では「婚活」の意味が「条件の良い男性の争奪戦」と解釈された。具体的には「高収入のイケメン男性をいかに早く確保するか」という競争となってしまったのが実態である。


一般社会においては流行った言葉自体がイメージや印象・概念の領域で独り歩きをしてしまう傾向があり、それは多くの場合、一般大衆の表面的な欲望と密接に関連する。また、その欲望にストレートにフォーカスしたビジネス(婚活ビジネス、出会い系ビジネス、等々)が台頭することで、ますます多くの人が「婚活」という言葉に振り回された挙げ句に不幸(精神的にも、経済的にも)になってしまうケースもあり得るのである。

その一方で、「婚活」という言葉が流行し定着したことで婚活関連本は売れに売れる。結局本を売りまくった著者の先生だけが美味しい思いをしただけの現象だったとすれば、「なんだかなぁ~」なことである。


宇垣美里 マイメロ論の普遍妥当性

2020-02-01 22:52:52 | 人物
少し前のことだが、宇垣美里さんのいわゆる「マイメロ論」が話題になり多くの共感を得たことがある。

マイメロ論とは、宇垣さんにふりかかる不当な言論など不条理を感じるような事態への対処方法である。これについて宇垣さんご自身は次のような見解を自身のコラムやトーク番組の中で述べている。

「ふりかかってくる災難やどうしようもない理不尽を、一つひとつ自主的に受け止めるには、人生は長すぎる」

という前提の上で、しかしそこからいかに逃れるかを考えた時に

「そんなときは『私はマイメロだよ~☆ 難しいことはよくわかんないし、イチゴ食べたいでーす』って思えば、たいていのことはどうでもよくなる」

という(一見、素っ頓狂だが)画期的な手段で不条理とも思える状況からの逃避・解放を成し遂げるのである。

この話は多くの若い女性を中心に共感の輪を広げたようだ。それは宇垣さんのこの見解が現代社会に於ける普遍妥当性を持ち得ているからであろう。また、番組の中でこの話を聞いたくりぃむしちゅーの有田哲平氏は大爆笑しながら全面的に宇垣さんに賛同して「その話、さんま御殿でしてほしい」とまで発言したのであった。


宇垣さんのこの見解がいかに普遍的価値を持ち、人として妥当なものであるかを担保するものとして現代における知の巨人として知られる解剖学者の養老孟司氏の見解を紹介したい。

養老氏はジャズピアニスト山下洋輔氏との対談(NHK Eテレ「SWITCHインタビュー達人達」)に於いて次のように述べている。

昆虫は相互のコミュニケーション方法として匂い・アクション・音など各種の手段を持っている。中でも音を駆使した手段に養老氏は注目する。音とは「振動」であり、これはコミュニケーション手段として実に相応しい。なぜなら音は出した次の瞬間にすぐ消えてしまうから即刻リセットできる。音(振動)は最も後腐れのないコミュニケーション手段だ、と。昆虫が音を出す時、我々は「音でコミュニケーションしている」と捉えるが、実は「振動でコミュニケーションしている」という解釈が最も実態に合致しているようだ。

養老孟司氏は続けて・・・

「だから私は人間もそのように捉えていて、悪口を言われた時は『所詮空気の振動だ』と思うようにしています」

「あれ(悪口)は何か意味があると思うから怒るのであって、『また空気が振動してる』で終わりですよ」

・・・と述べている。

こうした養老孟司氏の見解は、自分に対して行われる不条理かつ無意味で無益な働きかけに依る自分の精神の無駄な疲弊や消耗を防止する一種の防衛手段として認められるものであり、すなわち宇垣美里さんがマイメロ論で述べた趣旨と軌を一にするものである。そこには普遍妥当性がある、と言えるだろう。


宇垣さんのマイメロ論に対して興味本位かつ面白半分で報じ、突飛でもない”変なこと”として見ることで、あたかも宇垣さんが奇異な人であるかのような扱い方をするケースもあったようだ。たまたまサンリオのアニメ・漫画キャラクターを引き合いに出した事で、そのギャップに困惑する人もいたかもしれない。しかし宇垣さんが言わんとしている内容をきちんと受け取るならばそこに養老孟司氏の発言同様の普遍妥当性を見い出す事は容易である。それでも”変だ”と主張する向きは恐らくはじめから悪意があるのだろうし、そうでなければよほど頭が悪いか、である。最初から妙な色眼鏡で見てくる人にはどのような真実も歪んで見えるだろうし決して正しく伝わる事はないのである。


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※トップの画像はTBS「有田哲平の夢なら醒めないで」(2019年2月)から