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『プーチン大統領「我々は裏切りに直面している」 プリゴジン氏の“軍事施設掌握”など受け演説、「反乱」と非難』
一部では「クーデター」とも評されるワグネルの武装蜂起であるが、この件について、数量政策学者の高橋洋一氏の解説を基調に記す。
クーデターなら政権転覆の意図がある訳だが、それもまだ不明な状況である。ワグネルは元々民間軍事会社である。軍事は「誰の指揮命令系統だから~」という捉え方であることを考えれば、これが戦争に加わること自体がよく分からないのである。この辺が最初から曖昧模糊としていた訳である。
高橋氏は時おり自衛隊の人に話を聞くそうだが、今回のような事は「有り」なのかどうか聞くと、異口同音に「無い」という答えだったそうだ。理由は上述の通り、「誰の指揮命令系統?」「契約は」ということになり、「契約」であれば内容がどうだろうと、「命は大切に」を第一に考えて逃げてもいいことになる。それじゃ困るから民間組織になどせずに、どこの国も国軍でやっているのだ。国軍なら途中で逃げたら職場放棄で死刑、ということも有りになる。
プリゴジンという人物も、プーチン大統領の料理人という立場であり、契約関係であるとは言うのだが、それで果たして戦争ができるのだろうか?
経済学に於いては、「色々な状況に応じて契約をきちんと結べるのだったら民間の組織でもできる」「ただし、軍事や消防、警察などについて、ありうる事態の全部を契約で網羅するのは無理(何が起こるか分からないので)なので、こういう組織は民間では出来ない」という経済学で有名な定理がある。その意味で、高橋氏はワグネルが契約で軍事行動行うことがよく分からなかった、ということだ。
ワグネルは数千人のオーダーであり、囚人を入れても数万人だと思われるが、御身が大切となれば拒否するのも契約ではあり得る話である。普通の軍隊なら拒否するということはあり得ない。拒否したら軍法会議にかけられてどうにかなってしまうであろう。
前述のように「誰の指揮命令系統か分からない」ことも含めて「駄々をこねてる」印象もある、ということである。「南の州では既に内戦が行われている」という報道もあったりするが、まだ首都モスクワからは随分と距離がある場所だ。ただし、その途中の地域でも内戦が起こりつつあるという情報もある。
ただ、留意すべきことは、「この手の話はモスクワの中枢部を掌握しないと正規軍に制圧されてしまう」ものである。なので、この辺が実際にどうなるのかが注目ポイントでもある、と言えよう。もしもモスクワの中枢部の半分以上がワグネルの味方をするのなら話は違ってくるであろう。プーチンの怒りの演説を聴いていると、モスクワで半分以上ワグネル側に味方してくれるのか、何とも言えないところがあるのだ。
ただ、情報が少なすぎて本当のところは分からないのが実情だ。実はワグネルがモスクワの半分以上を既に押さえている、ということだってあるかもしれないのだ。しかし、ワグネルがの力でモスクワの正規軍の半分を抑えるのは難しいであろう、と思われる。何しろ数万人のオーダーである。正規軍はもっと沢山居る筈なので、普通に考えれば「力」で負けてしまう事が推察されるのである。最悪のパターンはワグネル側がプーチンの大粛清に遭ってしまう事にもなりかねない。プーチンには仕返しの感情があるので凄惨な事態になりうるだろう。とにかくワグネルとしてはモスクワの勢力の半分以上を押さえないと駄目だろう、ということだ。
そうでなければ「民衆蜂起」が起きればまた事態は変わってくるだろう。しかしロシア国民にその兆しはあまり見えないようだ。そうなると、結局ロシア正規軍の半分以上を押さえることが必須になってくるのである。それが出来なければいつか鎮圧されてしまって終わりだろう。
プーチン大統領にとってのウクライナ戦争はワグネルがいなくてもそれほど大きなマイナスにはならないようだ。元々が民間の軍事会社であるし、囚人の寄せ集めであることから考えるとネガティブな予想となってしまう。ワグネルがいないとロシア軍が持たない…ということにはならないだろう、と予測されるところだ。ただ、これはプリゴジンがどれくらいロシア人にお金を配っているかにも拠るだろう。お金をばんばん配って寝返りをさせていたらプーチン大統領だってやられる可能性はあるのだ。だからこの辺の実際の事情がどのくらい根回ししているかは不明なので、確かな事は言えないのだ。
今後の注目点はこういう話がモスクワに近い地域で起きるかどうか、である。今はまだ1,000キロくらいあり、距離が有りすぎるのだ。
もしもワグネルがロシア正規軍の半分を引き込んでたら、ロシアは完全に内戦状態となる。北方領土の守備隊も全部引き上げてしまったら日本としてはチャンス、ということになる。だが、弱腰ビビリの岸田総理には無理だろう。ただ、日本としてはいつでもこうした状況に即した準備はしておくべきなのである。
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『プーチン大統領「我々は裏切りに直面している」 プリゴジン氏の“軍事施設掌握”など受け演説、「反乱」と非難』
一部では「クーデター」とも評されるワグネルの武装蜂起であるが、この件について、数量政策学者の高橋洋一氏の解説を基調に記す。
クーデターなら政権転覆の意図がある訳だが、それもまだ不明な状況である。ワグネルは元々民間軍事会社である。軍事は「誰の指揮命令系統だから~」という捉え方であることを考えれば、これが戦争に加わること自体がよく分からないのである。この辺が最初から曖昧模糊としていた訳である。
高橋氏は時おり自衛隊の人に話を聞くそうだが、今回のような事は「有り」なのかどうか聞くと、異口同音に「無い」という答えだったそうだ。理由は上述の通り、「誰の指揮命令系統?」「契約は」ということになり、「契約」であれば内容がどうだろうと、「命は大切に」を第一に考えて逃げてもいいことになる。それじゃ困るから民間組織になどせずに、どこの国も国軍でやっているのだ。国軍なら途中で逃げたら職場放棄で死刑、ということも有りになる。
プリゴジンという人物も、プーチン大統領の料理人という立場であり、契約関係であるとは言うのだが、それで果たして戦争ができるのだろうか?
経済学に於いては、「色々な状況に応じて契約をきちんと結べるのだったら民間の組織でもできる」「ただし、軍事や消防、警察などについて、ありうる事態の全部を契約で網羅するのは無理(何が起こるか分からないので)なので、こういう組織は民間では出来ない」という経済学で有名な定理がある。その意味で、高橋氏はワグネルが契約で軍事行動行うことがよく分からなかった、ということだ。
ワグネルは数千人のオーダーであり、囚人を入れても数万人だと思われるが、御身が大切となれば拒否するのも契約ではあり得る話である。普通の軍隊なら拒否するということはあり得ない。拒否したら軍法会議にかけられてどうにかなってしまうであろう。
前述のように「誰の指揮命令系統か分からない」ことも含めて「駄々をこねてる」印象もある、ということである。「南の州では既に内戦が行われている」という報道もあったりするが、まだ首都モスクワからは随分と距離がある場所だ。ただし、その途中の地域でも内戦が起こりつつあるという情報もある。
ただ、留意すべきことは、「この手の話はモスクワの中枢部を掌握しないと正規軍に制圧されてしまう」ものである。なので、この辺が実際にどうなるのかが注目ポイントでもある、と言えよう。もしもモスクワの中枢部の半分以上がワグネルの味方をするのなら話は違ってくるであろう。プーチンの怒りの演説を聴いていると、モスクワで半分以上ワグネル側に味方してくれるのか、何とも言えないところがあるのだ。
ただ、情報が少なすぎて本当のところは分からないのが実情だ。実はワグネルがモスクワの半分以上を既に押さえている、ということだってあるかもしれないのだ。しかし、ワグネルがの力でモスクワの正規軍の半分を抑えるのは難しいであろう、と思われる。何しろ数万人のオーダーである。正規軍はもっと沢山居る筈なので、普通に考えれば「力」で負けてしまう事が推察されるのである。最悪のパターンはワグネル側がプーチンの大粛清に遭ってしまう事にもなりかねない。プーチンには仕返しの感情があるので凄惨な事態になりうるだろう。とにかくワグネルとしてはモスクワの勢力の半分以上を押さえないと駄目だろう、ということだ。
そうでなければ「民衆蜂起」が起きればまた事態は変わってくるだろう。しかしロシア国民にその兆しはあまり見えないようだ。そうなると、結局ロシア正規軍の半分以上を押さえることが必須になってくるのである。それが出来なければいつか鎮圧されてしまって終わりだろう。
プーチン大統領にとってのウクライナ戦争はワグネルがいなくてもそれほど大きなマイナスにはならないようだ。元々が民間の軍事会社であるし、囚人の寄せ集めであることから考えるとネガティブな予想となってしまう。ワグネルがいないとロシア軍が持たない…ということにはならないだろう、と予測されるところだ。ただ、これはプリゴジンがどれくらいロシア人にお金を配っているかにも拠るだろう。お金をばんばん配って寝返りをさせていたらプーチン大統領だってやられる可能性はあるのだ。だからこの辺の実際の事情がどのくらい根回ししているかは不明なので、確かな事は言えないのだ。
今後の注目点はこういう話がモスクワに近い地域で起きるかどうか、である。今はまだ1,000キロくらいあり、距離が有りすぎるのだ。
もしもワグネルがロシア正規軍の半分を引き込んでたら、ロシアは完全に内戦状態となる。北方領土の守備隊も全部引き上げてしまったら日本としてはチャンス、ということになる。だが、弱腰ビビリの岸田総理には無理だろう。ただ、日本としてはいつでもこうした状況に即した準備はしておくべきなのである。
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