Altered Notes

Something New.

お笑い中国経済2024

2023-12-22 06:06:00 | 国際
来年(2024年)の中国経済についての見通しと中国政府の意気込み(笑)を、作家で中国ウォッチャーの石平氏の解説を基調に記す。

まずは、NHKの報道記事から。

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「中国 経済への批判的論評なども処罰の可能性を示唆 国家安全省」

スパイの取締を行う国家安全省は17日までにSNSで経済安全保障分野での違法行為の取締を強化する方針を明らかにした。中国経済を貶める様々な常套句が後を絶たない。その本質は中国衰退という虚偽の言説を作り上げ、中国の特色ある社会主義体制を攻撃し続けることにあるとして、中国経済についての批判的論評なども違法行為として処罰する可能性について示唆した。不動産市場の低迷などを背景に景気の先行きが不透明となる中、国内外で示されている中国経済に対する厳しい見方に神経を尖らせているものと見られる。
経済情勢の捉え方についても取締の対象になる恐れが表面化した形で、メディアやネット上の言論などへの締め付けが更に強まるのではないかという懸念が広がっている。
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ジャーナリストの有本香氏が石平氏にこれからの中国経済について見通しを聞いたところ、なんと石平氏は

「これから中国経済は良くなります」

と答えた。

びっくり仰天、業界用語(バンド用語)で言えば”クリビツテンギョウ”である。中国経済が回復して良好な状態になるような兆しも気配も無いのに、だ。

なぜなのか?その理由を説明する。


この全ての始まりは2023年12月11日・12日に開催された「中央経済工作会議」である。これは恒例の会議であり、毎年の年末に中国共産党が開催しているものだ。そこで「翌年の経済の運営方針と政策を打ち出す…そういう会議である。

この会議に習近平首席は11日の会議にしか出席しなかった。翌日は欠席したが、これは異例のことなのである。つまり、習近平主席も”やる気無し”であることを表しているからだ。

だが、それでも会議としては何かやらなくてはならない。

それでどうしたのか?

最終的に、会議が終わって色々な政策方針が打ち出された。通常、というか、例年なら会議が終わると株式市場は多少なりとも反応(株価が上昇する)するのがいつものことである。しかし会議終了後の13日の上海市場は上がるどころか「下がった」のである。(笑)すなわち、株式市場は工作会議の結果に冷ややかな反応を見せたということなのだ。

なぜか?

会議で打ち出された来年の経済政策方針が、誰から見ても綺麗事ばかりであり実質的に無意味なことのオンパレードな内容だったからである。

それでも、唯一中国国民が反応したポイントがある。

会議が示した来年の運営方針は

「経済宣伝を強化して、中国経済光明論を高らかに歌って響かせよう」

であった。

翌日の中国メディアは政策内容には全然注目せずにこの言葉「中国経済光明論」だけに注目した。中国のメディアは揃って「中国の未来は明るいぞ」と歌い上げたのである。


「経済宣伝」・・・これは中国では初めて聞く言葉であるが、経済を作り上げるのではなく「宣伝する」というのである。(笑)

今、中国では「中国経済光明論」という言葉があちこちで見られ聞かれる事態となっている

あっちこっちで「光明だぞ!」と言い合っているのだ。(笑)


それで黙ってられないのが国家統計局である。統計局は13日に早速、中央経済工作会議の結果を受けて局長を招集して全体会議を開いた。そこで統計局は

「これから中国経済を良くしましょう」

と言ったのである。

はぁ?

統計局が、である。統計を取る部門が「経済を良くする」とはどういう事なのだろうか?
サンド・富澤氏風に言うなら、「ちょっと何言ってるかわからない・・・」である。

統計局はあらゆる数字を統計として示す役割の部門である。その部門が「経済を良くしましょう」とはどういうことか?
意味不明である。

これはつまり、統計の数字を(事実に関わらず)「良くしよう」ということだろう。すなわち統計の数字を「良い数字に書き換えますよ」と言っているのである。(笑)いや、統計を書き換えちゃ駄目だろうに・・・阿呆か、なレベルの中国である。

統計局はこれから経済の数字を
「どういう形で発表するか」
「どういう解釈をするか」
に力を入れる、と言ってるのである。


宣伝部が「中国経済はこれから光明だぞ」と言う。それに合わせて統計局もそれを裏付けるような数字をでっち上げて発表します、と言ってるのだ。すなわち、「嘘つきますよ」と言ってるのだ。そして「良い解釈をする」、と言っているのである。(笑)


しかし、中国経済に於いて良い数字を発表したところで、「そんな数字信用できねぇよ」という国民は必ず現れる。
そこでどうするか。
冒頭に記した通り、国家安全部が「そういう(数字を信じてくれない)奴らを全部捕まえる」、と言っているのである。つまり本当のこと(中国経済の悪化状況)を言う国民は取り締まるぞ、ということなのだ。


これで中国国民にとって習近平政権の来年の経済運営方針が明らかになった。要するに

(1) 宣伝部を動員して経済を「良いようにみせかけて宣伝する」。
(2) 統計局を使って良い数字(データ)を捏造して発表する。
(3) その一方で、そうした政策に異議を唱える国民は徹底的に取り締まる。

この3本柱で「中国経済は上向く」事になる。(上向いているように見せかけられる)
めでたしめでたし、である。(笑)これで来年の中国経済はバラ色の未来である。(爆笑)これで習近平主席も来年は安心だ、と。(大爆笑)

有本香氏は言う。
これは現代の「大躍進政策」のようなものと言えよう。毛沢東主席時代のこの時も全てが良くいっているように見せかけて、実際には国民は飢えていた、という実態があるのだ。


この事は中国人もみんな判っているのである。彼らは冗談で言う。
昔は中国経済を牽引していたのは「投資・輸出・消費」であった。(どこの国でもだいたいこれである)
しかし、これから中国経済を牽引するのは「中央宣伝部・国家統計局・国家安全部」なのだ。
中国は本物の阿呆なのだろうか、まるで経済と関係ない部署ばかりである。

これは前述のように、1950年代に毛沢東主席がやったことにそっくりなのである。だが、逆に言えば、それ以外に中国経済には「もう打つ手がない」、ということでもある。(*1) 真に有効な経済政策を何も打ち出せないのだ。だからこそ習近平主席は会議の途中で「もういいや。お前たち、適当にやっといてくれ」とばかりに帰ってしまったのである。


そもそも習近平主席は経済音痴である。それなら真の経済エキスパートを自分の近くに置けばいいのに、と思うが、しかし習近平主席は自分の近くに優秀な人材が居る事を好まないのだ。だから習近平氏の周囲は出来の悪い無能ばかりなのである。



実際のところ、今現在、習近平が中国経済を潰している渦中にある、と言えるであろう。どうしようもない所まで追い詰められた結果として、最後の伝家の宝刀である国家安全部を出してきた・・・そういうことなのだ。発想も思考も幼く子供のようである。


これが中国である。実に滑稽な、お笑いな国なのである。




この話の最後に石平氏が付け加えた話も爆笑ものである。
日本のマスコミは親中であり左翼である。だから…マスコミは来年の中国経済について絶対に「好調」と書くだろう。日本のマスコミは中国の子分だ。中国の言いなりなので、来年の中国経済については、中国が発表するまんま「中国経済は絶好調」という趣旨で記事を書くであろう。

<参考資料>
『日本マスコミに”命令”する中国大使』





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(*1)
参考までに書いておくが、数量政策学者の高橋洋一氏によれば、中国のような共産主義国(つまり非民主主義国)では、1人当たりのGDP(国内総生産)は1万ドルを長期に超えられない、という法則がある。従って、中国のこれ以後の経済成長は見込めないのである。成長を望むのなら、国家を民主化するしかないのだ。