先週の報道で、イスラエルは5月20に安全保障会議を開催しガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスとの停戦を承認したという発表と、イスラエルのメディアが停戦が21日午前2時に発効すると伝えたこと、ハマスも停戦を承認している模様であることを伝えている。
イスラエル政府は20日の声明でエジプトの仲介に依る無条件で相互の停戦を受け入れると表明しており、イスラエル軍参謀総長らは軍事作戦の偉大な成果を確認した、と強調したとされる。イスラエル軍の空爆とハマスのロケット弾攻撃に依る戦闘が続く中で停戦に向けた国際社会の働きかけが強まっていた、ということである。
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この中東問題、イスラエルとハマスの戦争について国際政治学者の藤井厳喜氏が解説しているので、その内容を紹介したい。
まず、中東のことなので停戦を発表したところでどうなるか先行きはふt9王命であることには変わりない事は意識しておくべきであろう。
そもそも今回の騒動は、いつどうやって始まったのであろうか?
ハマスは何千発もロケット弾・ミサイルを打っているのだが、ならば最初に浮かぶ疑問は「その軍資金はどこから得ているのか?」であろう。誰でもそう考えるだろう。
この攻撃はイスラエルとハマスのどちらが始めたのだろうか?
ハマスである。
どういうことか。
この攻撃は5月10日の午後6時1分からハマス側が一方的にイスラエルに対するロケット弾攻撃を始めたのがそもそものスタートである。
ここが大事だ。
イスラエルはあくまで受け身である、ということ。
紛争や戦争で大事なのは「誰が最初に手を上げたか」ということだ。これは最初に明らかにしておかねばならない事実である。
上述した「ハマスの軍資金」、それはどこから来たものだろうか?
結論から言うと、たっぷりと軍資金をあげたのはなんと
アメリカのバイデン政権
である。
これは公式情報で明らかになっていることだ。
3月末にバイデン政権が「トランプ政権がストップさせていたパレスチナへの資金援助」を再開したのである。バイデン政権は、はじめに武漢コロナウィルス対策を理由にして「1500万ドルの資金を出します」、と3月に言っており、その翌日に公式発表となっている。ただ議会にだけは通知しなくてはいけないので、アメリカの連邦議会に通知して「7500万ドルの経済援助を出す」と言ったのである。
これで合計9000万ドルだ。1ドル100円として90億円である。これはヨルダン川西岸地区の自治政府にもいくお金だが、ハマスの拠点であるガザ地区にもいくものである。
これを受けて「こんな援助をしたら、またハマスが暴れだすぞ。やめろ」と、有名なテッド・クルーズ氏やマルコ・ルビオ氏といった人々を中心とした共和党上院議員たち43人が連名で公開書簡を書いてブリンケン国務長官に警告を発しているのだ。
「資金援助はただちに停止しろ。こんなことやってるとまたテロが始まるぞ」
という趣旨の警告である。
そして・・・案の定、この資金がハマス側に渡って約1ヶ月位したところでハマスがイスラエル攻撃に踏み切ったのである。「いわんこっちゃない」、な展開である。
過去の事例からしても、このような事があり得るのでトランプ政権はパレスチナに対する(人道的な援助は別にして)ほとんどの資金援助・経済援助を停止していたのだ。・・・というのは、ハマスよりもいくらかマシだと言われているファタハ(*1)という組織が中心になったヨルダン川西岸地区の自治政府の方だが、ここでも実は「イスラエルに対するテロ活動に対して報奨金を出していた」、というショッキングな事実が明らかになっており、それでトランプ政権は「資金援助・経済援助を停止する」、という決断をしていたのである。
それを戻してしまって元の木阿弥になってしまったのがバイデン政権なのである。バイデン氏は表向きは「イスラエルを支持する」などと言っているが、裏ではテロに甘い顔を見せているのが実態であり、それがバイデン政権の実態だ。
遡ると1993年にオスロ合意というのがあって、ここからアメリカはパレスチナに63億ドルの資金援助を行ってきたのである。その目的としては「テロと縁を切ってくれ」ということだが、結局パレスチナ側はテロ活動と縁が切れないのである。
バイデン政権の中東政策というのは矛盾だらけで、「イランの核合意にも復帰する」と言っているくらいだ。知識や情報を持たず情勢をよく知らない人は「それではイランは核兵器の開発をやめるのか」と言えばそうではないのである。
これは「イランが持っている在米資産の凍結を解除してしまう」事になる。かつてのオバマ政権もこれをやったのだが、また資金が豊富に入ってきて核開発の準備を進める事が可能になるのである。ウランの濃縮もやめたわけではなく、低濃度だが、変わらず継続して続けているのだ。その能力自体を放棄したわけではないのである。今のところ、核兵器そのものの開発はしていないようだが、いつでも核兵器の開発ができるような状況でウラン濃縮能力も高めている・・・というのがイランの現状である。
この状態でイラン核合意に復帰するということは「経済制裁を解除する」ということなので、イランは核開発・核兵器開発がやりやすくなるのである。このようなオバマ政権が犯した過ちと全く同じ過ちを繰り返しているのが今のバイデン政権なのである。だから今回、自業自得の結果が出ている、ということだ。
トランプ政権の時は非常に厳しい態度で臨んだのだし、イスラエルとの同盟関係も絶対的な支持を表明し、そしてアメリカ大使館もエルサレムに移した…断固その方針は変えない、と。
そして、それが揺らがなかった事で、アラブ諸国もむしろアメリカとイスラエルの同盟関係ということを尊重したのである。さらにトランプ政権がイランとの核合意を離脱したということをアラブ側は高く評価したのである。サウジアラビアとアメリカの関係も良くなった。そして「アラブ系4カ国とイスラエルが国交正常化(正式国交を結ぶ)する」、というアラブの国としてはイスラエルの存在権を認める決定をして、本当に中東安定化に向かって非常に大きく動き出していたのである。それだけでもトランプ政権はノーベル平和賞に値するほどの成果をあげたと言えよう。
しかし、これらの条件を全部ぶっ潰しているのがバイデン政権なのである 特に経済援助として9000万ドルも出してしまったということ…これは知っている人はちゃんと知っている事実だ。共和党系の上院議員が「そんなことはやめなさい」と警告したにもかかわらずパレスチナへの援助を実行してしまったのだ。
こうした事実が今回の騒動の背後にはあるのだ。これは公開情報であり厳然たる事実である。
なんという阿呆なことをバイデン政権はしてくれているのだろうか。せっかくトランプ政権が地道に着実に中東の安定化に向けた努力をして結果を出しているのに、バイデン政権が全部台無しにしてしまったのである。
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(*1)
昔、パレスチナのリーダーだったアラファト氏が居た組織である。
イスラエル政府は20日の声明でエジプトの仲介に依る無条件で相互の停戦を受け入れると表明しており、イスラエル軍参謀総長らは軍事作戦の偉大な成果を確認した、と強調したとされる。イスラエル軍の空爆とハマスのロケット弾攻撃に依る戦闘が続く中で停戦に向けた国際社会の働きかけが強まっていた、ということである。
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この中東問題、イスラエルとハマスの戦争について国際政治学者の藤井厳喜氏が解説しているので、その内容を紹介したい。
まず、中東のことなので停戦を発表したところでどうなるか先行きはふt9王命であることには変わりない事は意識しておくべきであろう。
そもそも今回の騒動は、いつどうやって始まったのであろうか?
ハマスは何千発もロケット弾・ミサイルを打っているのだが、ならば最初に浮かぶ疑問は「その軍資金はどこから得ているのか?」であろう。誰でもそう考えるだろう。
この攻撃はイスラエルとハマスのどちらが始めたのだろうか?
ハマスである。
どういうことか。
この攻撃は5月10日の午後6時1分からハマス側が一方的にイスラエルに対するロケット弾攻撃を始めたのがそもそものスタートである。
ここが大事だ。
イスラエルはあくまで受け身である、ということ。
紛争や戦争で大事なのは「誰が最初に手を上げたか」ということだ。これは最初に明らかにしておかねばならない事実である。
上述した「ハマスの軍資金」、それはどこから来たものだろうか?
結論から言うと、たっぷりと軍資金をあげたのはなんと
アメリカのバイデン政権
である。
これは公式情報で明らかになっていることだ。
3月末にバイデン政権が「トランプ政権がストップさせていたパレスチナへの資金援助」を再開したのである。バイデン政権は、はじめに武漢コロナウィルス対策を理由にして「1500万ドルの資金を出します」、と3月に言っており、その翌日に公式発表となっている。ただ議会にだけは通知しなくてはいけないので、アメリカの連邦議会に通知して「7500万ドルの経済援助を出す」と言ったのである。
これで合計9000万ドルだ。1ドル100円として90億円である。これはヨルダン川西岸地区の自治政府にもいくお金だが、ハマスの拠点であるガザ地区にもいくものである。
これを受けて「こんな援助をしたら、またハマスが暴れだすぞ。やめろ」と、有名なテッド・クルーズ氏やマルコ・ルビオ氏といった人々を中心とした共和党上院議員たち43人が連名で公開書簡を書いてブリンケン国務長官に警告を発しているのだ。
「資金援助はただちに停止しろ。こんなことやってるとまたテロが始まるぞ」
という趣旨の警告である。
そして・・・案の定、この資金がハマス側に渡って約1ヶ月位したところでハマスがイスラエル攻撃に踏み切ったのである。「いわんこっちゃない」、な展開である。
過去の事例からしても、このような事があり得るのでトランプ政権はパレスチナに対する(人道的な援助は別にして)ほとんどの資金援助・経済援助を停止していたのだ。・・・というのは、ハマスよりもいくらかマシだと言われているファタハ(*1)という組織が中心になったヨルダン川西岸地区の自治政府の方だが、ここでも実は「イスラエルに対するテロ活動に対して報奨金を出していた」、というショッキングな事実が明らかになっており、それでトランプ政権は「資金援助・経済援助を停止する」、という決断をしていたのである。
それを戻してしまって元の木阿弥になってしまったのがバイデン政権なのである。バイデン氏は表向きは「イスラエルを支持する」などと言っているが、裏ではテロに甘い顔を見せているのが実態であり、それがバイデン政権の実態だ。
遡ると1993年にオスロ合意というのがあって、ここからアメリカはパレスチナに63億ドルの資金援助を行ってきたのである。その目的としては「テロと縁を切ってくれ」ということだが、結局パレスチナ側はテロ活動と縁が切れないのである。
バイデン政権の中東政策というのは矛盾だらけで、「イランの核合意にも復帰する」と言っているくらいだ。知識や情報を持たず情勢をよく知らない人は「それではイランは核兵器の開発をやめるのか」と言えばそうではないのである。
これは「イランが持っている在米資産の凍結を解除してしまう」事になる。かつてのオバマ政権もこれをやったのだが、また資金が豊富に入ってきて核開発の準備を進める事が可能になるのである。ウランの濃縮もやめたわけではなく、低濃度だが、変わらず継続して続けているのだ。その能力自体を放棄したわけではないのである。今のところ、核兵器そのものの開発はしていないようだが、いつでも核兵器の開発ができるような状況でウラン濃縮能力も高めている・・・というのがイランの現状である。
この状態でイラン核合意に復帰するということは「経済制裁を解除する」ということなので、イランは核開発・核兵器開発がやりやすくなるのである。このようなオバマ政権が犯した過ちと全く同じ過ちを繰り返しているのが今のバイデン政権なのである。だから今回、自業自得の結果が出ている、ということだ。
トランプ政権の時は非常に厳しい態度で臨んだのだし、イスラエルとの同盟関係も絶対的な支持を表明し、そしてアメリカ大使館もエルサレムに移した…断固その方針は変えない、と。
そして、それが揺らがなかった事で、アラブ諸国もむしろアメリカとイスラエルの同盟関係ということを尊重したのである。さらにトランプ政権がイランとの核合意を離脱したということをアラブ側は高く評価したのである。サウジアラビアとアメリカの関係も良くなった。そして「アラブ系4カ国とイスラエルが国交正常化(正式国交を結ぶ)する」、というアラブの国としてはイスラエルの存在権を認める決定をして、本当に中東安定化に向かって非常に大きく動き出していたのである。それだけでもトランプ政権はノーベル平和賞に値するほどの成果をあげたと言えよう。
しかし、これらの条件を全部ぶっ潰しているのがバイデン政権なのである 特に経済援助として9000万ドルも出してしまったということ…これは知っている人はちゃんと知っている事実だ。共和党系の上院議員が「そんなことはやめなさい」と警告したにもかかわらずパレスチナへの援助を実行してしまったのだ。
こうした事実が今回の騒動の背後にはあるのだ。これは公開情報であり厳然たる事実である。
なんという阿呆なことをバイデン政権はしてくれているのだろうか。せっかくトランプ政権が地道に着実に中東の安定化に向けた努力をして結果を出しているのに、バイデン政権が全部台無しにしてしまったのである。
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(*1)
昔、パレスチナのリーダーだったアラファト氏が居た組織である。