Altered Notes

Something New.

中国・最高権力者の最新動向

2021-01-17 12:21:00 | 国際
昨年末から今年年初にかけて「国家主席である習近平氏が脳出血で緊急に手術を行ったようだ」という情報が流れている。これは中国国内に情報源を持つジャーナリストの篠原常一郎氏からも出ているし、1月16日のNEWSポストセブンの報道でも同様の趣旨の情報が流されている。推測の段階ではあるが数々の状況証拠によって確認されつつあるようだ。

習近平主席が脳手術の憶測 国家特別危機管理部を設立も(NEWSポストセブン)

さらにこの情報が信憑性が高いものである事を作家で中国ウォッチャーの石平氏が明らかにしている。石平氏は自身のTwitterで「今年1月1日から16日までの人民日報一面を点検してさらに去年同時期のものと比べて見れば、やはり今年に入ってからの習近平の動静が怪しい。 「手術入院」の可能性濃厚。」(1月17日の記事)と記している。人民日報という中国主要メディアがどのような表現・文言・形式で情報を伝えるかはそれ自体が大きな情報源である。

中国では絶対的権力者である習近平氏に何かの動き(会議やイベント出席、等々)があるとそれは必ず翌日の人民日報の1面トップを飾る。そうした慣習からすると、今年に入ってから習近平氏の確かな動静は実質的に伝えられていない、と言って過言ではない状態だ。1月8日の1面トップには前日の政治局常務委員会に出席して講話を行った、とは書いてあるのだが、これは後述する。1月12日には幹部会議を主催して講話を行ったという記事が出たがこれは非常に怪しいのであり、これも後述する。1日から16日迄の間でここで挙げなかった日には特に本人の健康を証明するに値する記事はなく動静を全く伝えない日も少なくなかった。

石平氏に依れば「今年に入って習近平氏が公の場に出ている場面を見る機会が極端に少ない」ということだ。上の例では2回だけ、である。それでは、昨年の同じ時期(1/1~1/16)の人民日報の一面はどのような記事が掲載されていたのだろうか検証すると、かなり多く出ている事が確認できる。昨年の1月4日には習近平氏が中央会議を主催した主催したという記事が出ている。1月7日には外国首脳と階段したという記事。1月8日には政治局常務委員回を主催したという記事が出ている。翌日の9日には総括大会で重要講話を行って写真も大きく掲載された。11日には科学技術者に対する賞の授与式出席という記事が。14日には中国共産党の経済委員会の中央会議で講話を行った、という記事。15日には共産党以外の人々との座談会を開いた、という記事が出ている。

昨年の同じ時期(1/1~1/16)には様々な動静が伝えられており、公の場に姿を現したのは7回あった。しかし今年の同じ時期に人民日報が伝えた習近平氏の動静は2回だけである。『この差があまりにも大きく「異常」と言える』と石平氏は強調する。

そこで、上で記した8日と11日の会議出席の記事である。実はこの2回の会議に本当に本人が出席したどうかはわからない。

8日の政治局常務委員会を主催したという話。これは共産党の中でもトップクラスの7人(AKBの神7のようなものか(笑))が出席する会議であるが、しかしこの会議が本当に開催されたかどうかは政治局の7人しか知らないのである。(!) 機密性の高い会議であり、外部の人間にはわからないのだ。7日の夜の中央テレビ局のニュースでは当然この会議のことを取り上げて大々的に報道したのだが、しかし石平氏自身も確認したところでは当日の中央テレビ局のニュース番組で写真やビデオ映像等は一切流していなかったのである。テキストベースの情報だけ、ということであり、アナウンサーが会議の内容を読み上げるだけ、ということだ。

12日の会議出席も講話する習近平氏の写真はあるが、本当に当日のものかどうかは非常に怪しいのだ。最近の新華社通信や人民日報の記者はデジタルカメラを使用するが、デジカメ写真には当然Exif情報が付属している。Exif情報とは写真の撮影日時やカメラの機種名、絞りやISO感度といったカメラの設定、編集に使ったソフトウェアなどさまざまな情報を含んだデータの集合体である。このExif情報の中の撮影日時データが元々は「2020/12/29 22:43」となっていたのを「2021/1/11 0:00」に改ざんした疑いがある、というのである。確かに(緊急性の無い)普通の会議を開催するのに0時0分という真夜中にやるのか?という疑義が生じる。いかにもおかしいのだ。11日の写真とされる他の写真についても同様の日時記録改ざんの疑いが持たれている。従ってその会議が開催されたのは事実だとしても、それは記事に記された1月11日ではなく昨年の12月29日の夜であった、ということになるのだ。記事で記された日時は嘘だ、ということになる。

そして、これら人民日報の一連の記事が示しているのは「習近平氏の身に何かが起きている」という可能性が高い、ということなのである。それにプラスして冒頭の「脳手術」の情報である。そうであるならば、習近平氏は現在は手術入院中である可能性が高い、ということになる。これが事実とすれば今後の動きは極めて不透明になってくるであろう。





戦時状態入りか? 中国の動向

2021-01-17 10:23:23 | 国際
中国・習近平政権は以前から台湾(*1)を武力を使ってでも併合する、という趣旨の発言をしているが、その中国共産党はいよいよ台湾への実際的な軍事侵攻の準備を開始した模様である。これについて作家で中国ウォッチャーの石平氏による解説を紹介したい。


昨年12月から今年1月にかけて中国各地で新型コロナウィルスの感染例が出ている。そして奇妙なことに新型コロナウィルス感染が1例でも発見されると各地方政府はただちに「戦時状態宣言」を発令しているのである。


時系列に沿って事実を並べる。

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<中国各地で「戦時状態入り」と続々宣言>

◇12月8日、四川省成都市内在住の夫婦がコロナ感染と判明されたことを受け、四川省政府は「迅速に戦時状態に入る」と宣言。

◇12月10日、黒龍江省東寧市内で新規感染者が一人見つかったことで、東寧氏政府は「戦時状態入り」を宣言。

◇12月11日、黒龍江省塔河県内でロシアからの帰国謝の一人が感染確認されたことで塔河県政府は12日に「戦時状態宣言」を公布。

◇12月20日、遼寧省大連市で新規感染例一つが確認されたことで市政府は当日のうちに「即時に戦時状態に入る」と宣言。

◇12月26日、北京郊外の北京市順義区で新規感染者二人の確認を受け、市政府は順義区全区の「戦時状態入り」を宣言。

◇12月30日、遼寧省省庁所在地の瀋陽市で29日から二人の新規感染者が見つかったことで市政府は「全面戦時状態入り」と宣言。

◇1月3日、河北省石家荘市で新規感染者一人が見つかったことで、市政府は「迅速な戦時状態入り」と宣言した。


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大連にしても瀋陽にしても一千万規模の大都会である。このような大都会で一人か二人の感染者が出ただけで「全面的な戦時状態入り」を宣言するのはなんとも強烈な違和感がある。誰でもそう感じるだろう。

イギリスのロンドンなどははるかに多くの感染者が発生しているが別に戦時状態の宣言はしていない。東京でも緊急事態宣言が出てはいるが、戦時状態などという表現は使われない。しかし中国の場合は一人か二人の感染者が出ただけで戦時状態宣言と言うのだ。こんな言葉は普段あまり使わないものであるが故に大げさであり異様に感じられる。

中国の場合は各地方政府の勝手な判断で「戦時状態宣言」を出すことなど絶対にできない。各地方政府が一斉にその言葉を使うとすれば、それは中央政府の指示があった、ということを意味する。中央政府の指示に対してはどの地方政府も統一行動をするのだ。

中央政府とはすなわち習近平政権である。ならば習近平政権はいったい何の為にこのような際どい言葉を使わせたのか?その意図はどこにあるのだろうか?

その謎解きは人民日報・海外版(2021年1月5日)の1面トップに掲載されたニュースの中にあった。当該ニュースで

「習近平主席は中央軍事委員会の2021年第1号命令に署名した」

と伝えられている。

それはどういうことなのか?

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<中国各地「戦時状態宣言」の隠された意図>

◇習近平は1月4日、共産党中央軍事委員会主席として「中央軍事委員会2021年第1号命令」に署名し発令された。これは全軍に対する「訓練開始動員令」である。

◆人民解放軍全軍に対し「全時間帯で戦争に待機し、いつでも戦える体制の確保」の為に軍事訓練を急ごうと号令をかけた。

★「戦時状態宣言」の本当の意図、本物の戦時状態の到来に備えて、国民に「戦時状態」に慣れさせる為の心理的戦争準備であると考えられる。

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前述の各地方政府の戦時状態宣言の不思議さとこの習近平の命令をリンクさせて考えると、習近平政権は今年に入って台湾侵攻を念頭に置いて着々と戦争の準備をしているものと推測することができる。(*2)

国民に対して「戦時状態」という言葉や「戦時状態」という雰囲気・空気に慣れさせるための心理的戦争準備ではないか、と思われるのである。なぜなら、新型コロナウィルス感染が一人か二人出ただけで「戦時状態」を宣言するのはどう考えてもおかしく不自然であるが、今年年頭の習近平の第1号命令とリンクさせて考えれば筋は通るのだ。


どうやら中国共産党政権は戦争の準備を進めているようである。特に今年になってバイデン政権がスタートした場合、習近平からすればバイデン政権は中国が台湾に戦争を仕掛けても強く出られないし強く出ないだろうと考えられている。バイデンは中国の邪魔はしないだろう、ということだ。

実際の台湾侵攻がいつになるかはともかくとして、中国がいよいよ台湾に対して軍事行動に出る可能性がリアルに高まったということである。


我々も留意して監視してゆく必要があるだろう。台湾は親日国でありアジアに於ける大切な仲間である。






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(*1)
歴史上、中国が台湾を統治したことは一度もない。台湾は台湾である。だから中国共産党が宣う「台湾は中国の一部である」という言説自体がそもそもでたらめなのである。実に図々しい話なのだ。

(*2)
筆者注:尖閣諸島に関連するものである可能性もゼロではないだろう。