長屋茶房・天真庵

「押上」にある築60年の長屋を改装して
「長屋茶房・天真庵」を建築。
一階がカフェ、2階がギャラリー。

文房四宝

2010-12-19 08:39:01 | Weblog
昨日は「書をしよう会」だった。
風狂な貞本さんが、颯爽とやってきて、多士済々な文人さん
たちと、書を楽しみ、お酒を酌み交わし、談論風発する会だ。
彼とは、大塚の「江戸一」でよく飲んだ。江戸一のメニューの中で
ぼくは、「湯豆腐」が好きだ。四角い鎌倉彫の折敷にのせるので、土鍋
ではなく、器に湯豆腐がでてきる。なぜだか知らないが、その中に一本の
蕎麦が泳いでいるのが、江戸一風。それを酒肴に、白鷹をぬるかんにして
飲むと、幸せな気持ちになる。
昨日は、メニューにはないけど、隠れ人気メニューの「天真庵風湯豆腐」
をやってみた。片口風の土鍋に、蕎麦湯を張り、そこに木綿豆腐を入れる。
中に蕎麦猪口にたれ(あまじる・かぼす・魔法のかつおずし・ねぎ)をいれ、
混浴のように、ぬくぬくした雰囲気を醸し出す。ちょうど、豆腐の中が
60度(はかったことないけど)くらいになったら、たべごろ。

話がはずんで「文房四宝」の話になった。書の道具の筆・墨・硯・紙の四つを
昔からそう読んで珍重した。陶器などでできた小さな結界みたいな硯屏(けんびょう)
も、入る場合がある。

和紙といえば、今読んでいる「よき人を語る」の著者・寿岳文章は和紙の研究家
でもあった。奥さんのしずさんと、共著の作品は、両性具有のバランスのいい
料理を食べているようでここちいい。ふたりの子どもで文学者の寿岳章子さんは
生前よく京都丸太町の「シーシーズ」という喫茶店に通っておられた。先週は、
そのシーシーズにいってきた。(300mくらいのところに、友だちのトムさん
のアトリエがある。)

今日は「竹細工」で夜は、「押上文庫」の開店日。文庫くんの本名は、やはり文庫。
彼の弟は文章。今年旅立ったワカの弟くんは文教だ。

ここは「文花一丁目」・・・奇人よりの人が多いけど、無駄のない縁で
根っこがつながっている人たちがやってくる。

昼行灯に灯りがともる。こころが着火しそうな灯り。

2010-12-18 08:15:40 | Weblog
来年の話をすると鬼も笑う、というけど、
そろそろ今年の緞帳を下げて、もうすぐくる「うさぎ」
の準備に忙しい季節。魚屋さんにいっても、「にしん」
なんかが並びはじめた。
酒粕に白味噌を加えて、そこに塩抜きした「にしん」を
漬け込み、3日くらい後の食べごろに、ぬる燗の酒肴にすると、
盆とクリスマスと正月がいっぺんに来るくらい幸せな気持ちになる。
学生時代に、京都の荒神口にあったおでんや「安兵衛」のオヤジが
ときどき出してくれた。比叡おろしが寒い冬に、名誉冠という伏見の
酒を燗にして、おでんを食べるというのが、京都では一番のごちそうだった。

昨日は「スケッチ」の会だった。忘年会のピークの時なので、男子の参加が
なく、両手に花、どころか井筒のように、女子たちと「鍋」をやった。
片口の土鍋に、そばゆをたっぷりいれ、かしわ(骨付きのにわとり)、まいたけ、
えのき、ねぎ、はくさい、いとこん(いらたき)などを入れる。

久保さんの窯から調達したばかりの新作の絵志野の器に、アマ汁(甘い醤油をみりんと砂糖を入れて煮きり醤油にする)に、今季さいごの「かぼす」をしぼり、そこにゆず胡椒を入れる。そこに、いい湯加減になった土鍋に入った具たちをいれて、食べる。
最後は、竹のかごに蕎麦を入れ、しゃぶしゃぶよろしくゆらゆらしながら、蕎麦で
しめる。美女に囲まれながら、盃をかさねていたら、思わず先日の山頭火の詩が
浮かんできたが、酒で流すみたいに、飲み込んだ。秋の酒は美味い。美しい女性
たちと飲むと、なお美味い。昼行灯も少し酩酊しているように、艶やかに灯りを
はなっていた。このひかえめな明るさがいい。

今日は「書をしよう会」だ。
あまたの文人墨客たちがやってくる。
ここは「文花一丁目の寺小屋みたいなカフェ」
文は人なり、それぞれの個の花が咲くような時代がやって
くるように思う。「この花さくら」。そんな酒が京都の
亀岡にある。隠れた銘酒だ。

ホホバオイル

2010-12-17 08:40:13 | Weblog
アリゾナの砂漠に生息するそんな植物がある。
過酷な条件の中で育つだけに、生命力にあふれ、
その命から育まれる油は、「魔法の油」とインディアンたちは呼び、
体調の悪い時は飲み、やけどやきりきずの時には塗り、女は化粧品と
して珍重した。今でも女性化粧品の多くには、「ホホバオイル」が少量
内包されているものが多い。横浜に住む友人が20年くらい、アリゾナの
インディアンからそのホホバオイルを輸入し、なりわいにしている人がいる。
100%のまぜものなしを「一生一油」の哲をもって、宣教師みたいに
(実際は、売ろうとしていない。その呼吸というか、姿勢がおもしろい。
わかる人はわかる。わからないひとはわからない、という哲)

天真庵の厨房の中に、人も切れるような大きな蕎麦包丁がある。
その傍らにホホバオイルがおいてある。つまり、包丁の手入れに
このオイルがいい。最近は人口心臓の潤滑油などにもつかわれて
いるようだが、それだけ安定した油なのだろう。もうひとつの使い
方がある。温度計だ。摂氏10度を下回ると、油が凍るのだ。
今朝、蕎麦打ちの時に凍っていた。この冬初めてだ。
忙しいOLにとって、朝忙しい時間に化粧品が凍っている、
という不便さが、このオイルが浸透しない原因だが、これが自然で
ちゃんといお肌の中には浸透し、皮脂やよごれを体外に出してくれる
作用がある。「気がついたら、なにも手入れしていないおしりだけが
キレイ」だったと手遅れにならない間に、こんないいものを使い
こなすような女性が活躍してほしいものだ、とつくづく思う。

昨日はめちゃくちゃ忙しい1日やった。
サントリーホールで聴いたショスタコーヴィチの交響曲第八番は、
演奏が戦争に見えるほど、スケールの大きな編成の音楽家たちが、
それぞれの楽器を一気呵成に演奏する場面が多い。その中で、ときどき
ブリティッシュホルンや、やまねさんのバスクラリネットが、
サントリーホールの多くの観客の前でソロになる部分の静けさが
とても気持ちよかった。

今日は「スケッチ倶楽部」
明日(土)は「書をしよう会」
明後日(日)は「竹細工」・・・その後はいよいよ「押上文庫」
のオープニング。楽しい週末になりそうだ。

月曜日が「順受の会」
火曜日が「林太郎と聖夜のつけめん共和国」(書くたびに、タイトルが・・)


サンシンのライブがきまったよ

2010-12-16 08:58:26 | Weblog
今日は少し寒い。休みだけど、朝一番にお店にいき、
珈琲を入れて、新聞を読む。相変わらず、暗いニュースばかりが
目立つ。来年は、政治も経済も、もっと混沌とするに違いない。
でもこれまでの歴史の中では、こんな時代にこそ、新しいリーダー
がでてきたり、新しい音楽や芸術が生まれたりするものだ。

その後軽くジョギングをしながら、向島にいき、「かめや」で、
パンを買って帰る。小村井(おむらい)にもあるぱんや。
小村井のかめやの横には、レストランもあり、そこのオムライスは
小村井飯と書く。銀嶺食品の「地パン」どうよう、ちょっと無理な
命名だけど、「愛情」が伝わってくる。地パンの大将は「野さし草」で、
もっただけで、ずしりと何かからだによさげで、食べてみると、瞬間に
「ほんもの」を感じるパンだ。ワインとの相性もバツグン。ただし、
食べ過ぎる、のがなんてんのどあめだ。

昨日は「かっぽれ」だったので、夕方いろいろな用意(かっぽれは、
自分も参加するので、蕎麦会の準備をそれまでにしとかないと、
酒とそばしかない宴会になりかねない。それもいいと思うけど)していたら、
背中に楽器をかかえた青年がカウンターに座った。しかも、私の正面に
座った。はじめてお店にきた感じだけど、メニューも見ず、「ほぼ
ブラジルをいただけますか」ときた。いつものように、茶托に蕎麦猪口
で供した瞬間に、小さく会釈した。このあたりの呼吸があう人は、
永いつきあいになる。「楽器は何をやられるの?」ときくと、「サンシンです」
ときた。「何かひいてください」とリクエストしたら、蘇州夜曲をやってくれた。
♪鐘も鳴る鳴る 寒山寺~ で終わったときに思わず、「ブラボー」と
叫んだ。寒山拾得の絵の展示から始まった天真庵にぴったりの唄だ。


蘇州夜曲を作詞した西條八十さんは、この写真の屏風にかかれて
いる「楓橋夜泊」から、鐘が鳴る鳴る寒山寺をイメージしたのだと思う。
こんど、まいこ先生に詠んでもらおう。

月落ち烏鳴いて霜天に満つ
江楓漁火愁眠に対す
姑蘇城外の寒山寺
夜半の鐘声客船に到る

(『楓橋夜泊』 張継)


そんなことをやっていたら、友達の三上くんがやってきた。舞踏家や
いろいろなアーティストの面倒を見ている稀有な応援団。さっそく
もう一曲、明るい沖縄の唄をうたってもらった。彼の名は「タケシィ」
という。小村井飯ではないけど、本名たけしくんが、沖縄にはまって、
「タケシィ」になった。その場その場にふさわしいものがある。
2月20日(日)の夜に、「タケシィのサンシンライブ」をやることになった。

今日は休み。
銀座の骨董屋にいき、煎茶を入れ、今夜はサントリーホールに、N響を聴きにいく。
その後は四谷で忘年会。いつもより、走りまわる木曜日。


明日の夜(金)は「スケッチ倶楽部」
明後日(土)は「書をしよう会」
明々後日(日)は「竹細工」・・・その後はいよいよ「押上文庫」
のオープニング。楽しい週末になりそうだ。

月曜日が「順受の会」
火曜日が「つけめんたちとクリスマスコンサート」(書くたびに、タイトルが
変る。「千変万化の聖夜の音楽会?」)

毎日いろいろな出会いがあったりして、不思議なご縁がますますひろがって
いく。 天恩感謝。




風呂吹き大根

2010-12-15 08:15:31 | Weblog
昨日は「英語で蕎麦会」だった。朝から冷たい雨が降っていた。
そんな冬の日は、石油ストーブの上で、大根を煮る、と幸せになる。
前日、茨城の石岡で「まんまや」という蕎麦屋を営む主人が、有機栽培の
大根をもってきてくれた。ので、さっそく「風呂吹き大根」をつくった。
大根の皮をむき、ええかげんな(大根といってなめてはいけない)大きさに
切り、沸騰した湯に少しお米を投げ入れ、そこに大根を入浴させる。
(別に、だから風呂吹き大根になった、というわけではない。)

「熱い!」という叫びを感じるけど、このあく抜きの「ひとてま」が、
美味いといわせる大事なひとてま。次に新しい湯をわかし、そこに昆布を
ひとかけら入れて、大根を入れる。こんどは「いい湯だ」という声が聞こえて
くる。雪平鍋に、味噌とお酒、砂糖、このみによってはみりんを入れ、混ぜ合わせる。
いい感じの味噌ができあがる。後は、少し深めの器(できたら絵志野あたらいの器
がいい)に大根を入れて、味噌をかけて食べる。もっと寒くなるとくずなんかをいれてもいい)。精進料理にもよく根菜の王様の大根が使われるけど、不老富貴の縁起から
「ふろふき」になったという説もあるらしい。よく禅寺にいくと、不老の門、なんかが
ある。どこにも不老の世界はないのではあるが・・・

昨日はこれを酒肴に、あごの骨酒を久保さんの絵唐津の片口で飲んだ。
フィンランド人のヨーコ(男子)が、熱燗と風呂吹き大根が大好物なので、
グビグビ飲んでいた。それにつられて、岩本先生もグビグビ飲んでいたけど、
かなり酔ったのか、自転車をおいて帰った。さきほど、蕎麦を打ちにお店に
いった時も、そのまま自転車がおいてあった。

今日は「かっぽれ」
2年以上も、相方とふたりでやってきた孤高な芸に、
新人2人が加わり、がぜんにぎやかになってきた。
二階の間を、鏡の間にするのもいいな?とか考えて
いる今日このごろ。月いちの会ばかりなので、次回は
みな来年、ということになる。今年もいよいよ終わり
になろうとしているんだ。



蕎麦屋の必需品?

2010-12-14 08:02:57 | Weblog
昨日は、オーボエのかよちゃんが、クラリネットの岡田渉くんと、
ファゴットの榎戸絢子さんを誘って、初めてのトリオで、バッハからベートーベン
、D・ミヨー、最後はトマジの「田園風コンセール」で〆てくれた。
2007年にオープンして、まだピアノがないときに、かよちゃんが、ぶらり
とやってきて、「コンサートをやらせてください」というので、不肖えーちゃんの
チーズケーキとホボブラジル付バロック音楽祭が始まった。その時に近くの朝日幼稚園に通っていたけんちゃんが聴きにきた。毎朝ステンドガラスの隙間から蕎麦打ちを
のぞいていたけんちゃんも、今は押上小学区に元気に通っている。

そして、朝日幼稚園も舞台にして、「墨田ぶらり下町音楽祭」も始まった。
天真庵も、あまたの縁ある音楽家たちが、やってきていろいろな音楽会が
開催されるようになった。シャッター通りに、時々音楽が流れる。
その「意外性」がいい。ピアノも昭和35年生まれの「カイザー」。
見た目は昔の小学校のオルガン?みたいな庶民的な感じだけど、一流の
ピアニストがいったん鍵盤をたたきはじめると、サティーからベートーベン
まで、融通無碍な音を奏でてくれる。意外性に満ち溢れたピアノだ。
21日に組長よろしく、「つけめん三人衆」をプロデュースしてくれた
ピアニストの赤松林太郎くんも、このカイザーの音を磨いてくれた中心人物である。
昨日「林太郎です」と元気に電話がきて、来年の2月25日(金)に、演奏して
くれることになった。スカイツリーに一番近い場所に住む、若くて元気なピアニスト。

クラリネットの岡田くんの両親は、茨城県の石岡で「まんまや」という蕎麦屋
を営んでいる。常陸秋蕎麦を手打ちする技は、なかなかのものだ。まさに地産地消
であり、休みには畑をするという晴耕雨読なスタイルを貫いている。
先月お邪魔したときには、おいてなかったけど、先週ピアノが入ったらしい。
これからは、「蕎麦屋にピアノ」というのが、新しいスタイルになるかも。
来年の2月あたりから音楽会が始まるそうだ。昨日は車で、わざわざきてくれた。
もとももと「蕎麦食い」というのは、目の前の蕎麦のことしか見ていない、ろくでも
ない、というか、それだけの面々みたいなのが多い。でも音楽があったり、芸術が
あったりすると、視野が蕎麦のそばから、少しずつ広がっていく。何割蕎麦とか、
どうじゃこうじゃとかいう薀蓄は、ウンチになるまでのはかない時間に消えるたわごと


今日は「英語で蕎麦会」
お酒を飲みながら、少し酩酊して、「ままよ きんたま おとこのこ」と
勇気をふりしぼって、下手な英語で会話する日。
先生意外は女性がほとんどだけど・・・

明日は「かっぽれ」
この会は、先生意外は、おとこのこ。「半股引(はんだこ)」で「きんたま」をつつんで
踊る日。

ちんぽこもおそそも湧いてあふるる湯 山頭火



眠れる美女

2010-12-13 08:07:50 | Weblog
クリス・デフォールト Kris Defoortのピアノは、想像以上に
すばらしい内容だった。
即興音楽というのは、ジャズの真骨頂みたいなものだが、弾き手に
とっては、その場のインスピレーションとか、波動とかいった五感を
研ぎ澄ませないとなりゆかないものだ。
厨房の中から、彼のピエノの演奏を見ていると、指の動きが人間の
それとは次元が違っているし、終始、目をつむって、まさに瞑想の中で
演奏している、という感じだった。カウンターに座って聴いていた著名なピアニスト
ふたりも、感嘆していた。世界にはすごい人らがいるものだ。

やまねさんも、急遽チャリンコで家にもどって、バスクラリネットをもって
もどってきて、ふたりで、即興音楽をやってくれた。ヨーロッパでは
「フリーミュージック」といって、そんな音楽が普通にやられているそうだ。
まさに、その場の地縛霊たちと共演いや狂演するような不思議な一期一会の
音楽だ。

演奏が終わったあとに、「ムーントーク」のCDを流していると、クリス・デフォールトさんが、「これは、キース・ジャレットですか?」と聞いてきたので、
「ウォンさんのムーントークだ」と答えた。ときどき、気持ちを落ち着かせたい
時にきくCD。ウォンさんは、煎茶の先生の友達のピアニスト。ジャズをやっていたのが、発狂寸前になるほど追い込まれ、その時に瞑想することによって、開放された世界に導かれ、その時にでてきた音楽が「ムーントーク」だ。その後もやまねさんたちと飛露喜を飲みながら、話がはずんできたら、「今は、川端康成の眠れぬ美女を読んで感動して、オペラをつくっている」とのこと。できあがったら、ぜひ聴いてみたいものだ。

今日の夜も 「クラシックコンサート」のため、16時で閉店。
   オーボエ 渡辺佳代子 クラリネット 岡田渉 ファゴット 榎戸絢子

   19時開場19時半開演 4000円(蕎麦会含む)

       

また
12月21日(火)は 天真庵クラシックライブ クリスマスコンサート

           (つけめん3人衆のメリークリスマス)

   平山慎一郎 ヴァイオリン + 江田雅人 チェロ + 赤松林太郎 ピアノ

   19時開場19時半開演 4000円(蕎麦会含む)

かよちゃんや、林太郎くんや、文庫くんら、素晴らしい音楽家たちが、
チャリンコでこれる距離に住んでいて、珈琲を飲みにきたり、音楽を
演奏にきてくれたりするこの町に縁あって庵を結べて幸せだ。

明日は「英語で蕎麦会」
これから世界に羽ばたく美人ピアニストが英語デビュー。

明後日は「かっぽれ」
ぼくたちも、世界へデビューしなくっちゃ。なんの世界やろ?






昼行灯(ひるあんどん)

2010-12-12 07:52:30 | Weblog
昔から、役に立たない人のことを、「昼行灯」といった。
行灯、つまり足元を照らす道具は、夜にこそ役にたちが、
昼間は何の役にも立たない、という意味から使われた。
でも時代が変わって、行灯は夜も役にたたない。都会では
行灯がなくても真夜中でも歩ける。

先週の旅の途中の中仙道の骨董やで「行灯」を買ってきた。
きっと、素人さんが作った、というより、生活必需品だったので
どの家でも作ったのだと思う。そのいがんだ具合が、李朝家具のバンダヂ
みたいで、とてもいい。和紙はきっと美濃和紙に違いない。大福帳みたいに
ものの値段などを、細い筆で書いた和紙が貼られている。「みせよう」という
作為がなくとても自然な字だ。表の紙を1枚、霧吹きで吹いてはがしていたら、
国宝的にめんどうみのいい、経師やさんが珈琲を飲みにきた。その行灯を見て、
飲みかけのほぼぶらじるを半分残して、家にもどり、5分後に、品のある和紙を
もってきてくれた。さっそく、ごはんに水をたし、のりをつくる。
その和紙には、もなか屋の女将のみっちゃんが、「てんしんあん」
とひらがなで揮毫してくれた。太田垣蓮月みたいに、やさしい字だ。
陽が落ち、その灯篭に灯りをともしたら、えもいわれぬ風合いになった。
その姿をみながら、みっちゃんと、久保さんの斑唐津で祝杯をあげて
いたら、夏樹くんがやってきた。「珈琲の樹」の店長だ。
「石臼で珈琲豆を挽いてみたい」というので、やらせてみたら、あまりに
自然にいくので、「お互いにこれを、押上珈琲とかいって、押上げるか」
という話になった。
和紙の行灯といい、石臼といい、「今は昔」に使われてきた道具だけど、
気がついたら、時代の先端にいた、というくらいすぐれた道具だ。
道具・・・道を具える・・・・いい言霊だ。

スカイツリーが、東京の街を照らしはじめ、界隈はなにかとけぜわしく
なってきたが、それぞれの足元を、しっかり見つめないと、来年あたりは
みんなたいへんな時代になりそうだ。禅寺の玄関には「脚下照顧」と
かかれているが、行灯みたいに、やさしい灯りで、足元をみつめていきたいものだ。

今日は、プライベートなジャズライブをやるので、お店は16時で閉店します。
3日前にきまったライブだけど、2日で満席になった。

明日は「クラシックコンサート」
石岡の蕎麦の名店「まんまや」の嫡男が、クラリネットを演奏してくれる。
昔から蕎麦屋の二階で、落語などをやる(逢引もある)とかいう文化が
あったが、これからは、「ジャズ蕎麦」や「クラシック丼」など、音楽と
からめていくのが、いい。来週は、赤松林太郎組の「つけめん三人衆」の
コンサートがある。今年の千秋楽みたいな音楽会。
みんなおかげさまで満席だけど、また来年もよろしくお願いします。

1月は4日にベルギーからピアニストの大宅さんが帰国して、新春コンサート
をやります。
9日(日)には、「薩摩琵琶とピアノのライブ」
17日(月)は、「クラシックジャズのライブ」
盛りだくさんの新春シャンソン、もといジャズやクラシックの会。 感謝。

かぼす大使

2010-12-11 08:42:37 | Weblog
今日は、大分から竹の清水先生がやってくる。
今日、明日と、「竹の1日体験コース」を開催する。

そもそもこの教室は、池袋でやっていたのだが、そこが閉館
になって、煎茶の仲間で、大分を応援するNPOを立ち上げて
奮闘している自称「かぼす大使」さんからお願いされて、天真庵
で開催されることになった。かぼす大使さんからは、毎年かぼすを
いただいていたが、今年は、清水くんからも、何度もおくられてきて、
「かぼす三昧」な秋を堪能した。昨日は、「最後のかぼす」ということで、
かぼす大使さんのお父様から、今年最後のかぼすが届いた。
いいちこスペシャルが、立った感動が蘇った。

昨日は「ダメ中」こと、ダメから始まる中国語だった。まいこ先生が
満面笑みを浮かべて、先月いったイタリアからワインを土産にもって
きてくれた。富士山にぺんぺん草が良く似合う、と太宰がいったけど、
ワインには野さし草が良く合う。ぼくの友人が福島でやっているパンや
の代表的なパン。池袋時代には、ワイナリー和泉屋のハルさんが、よく
ワイン会をうちにきてやってくれたときに、この野さし草や「地ぱん」
が大活躍した。中国語をやった後に老酒でなくワインというのも、不思議
な取り合わせだけど、大いに盛り上がった。先日京都の美術館で、中国の
漢詩に出会った。酒に酔うと、所作が踊りになるし、しゃべるとそれが
詩になる、ような内容だ。それをまいこ先生が中国語で朗々と詠んだ。
文人墨客たちが、竹に囲まれた隠居場の小さな部屋で、酒を酌み交わし
ながら談論風発する池大雅の山水画のような気分になった。

明日は「プライベートなジャズライブ」。
少人数でしっぽりと聴く・・・なんていってたけど、
もうほぼ満席になった。明日は準備のため、16時まで
で閉店。

月曜日もクラシックのコンサートなので16時で閉店。



JAZZコンサート

2010-12-10 08:17:32 | Weblog
久しぶりに京都にいってきた。
といっても、亀岡とか花脊とか、端っこの方には
ときどきいっている。碁盤というか、その中に最近
いかないだけだ。
先週、京都から藍染をやっている「嬉染居」(きせんきょ)の主人が
天真庵にきてくれた。なんいか「!」とくるものがあったので、
でかけてみた。松尾大社の近くの小さなかわいらしいアトリエで
天然藍をつかって、Tシャツやバッグなどをつくっている。
まじめにコツコツやっている人の仕事場は、共通の凛があっていい。
いつも定宿にしている京都の骨董やさんも、もともとは藍染屋さん。
京都に藍つながりの友だちがひとり増えた。

休みの間に、やまねさんから連絡があった。
「急だけど、ベルギー時代の友人のジャズピアニストが
日本で公演するんだけど、日曜日が空いているので、
天真庵でしっぽり、少人数でジャズを楽しみませんか?」
とのこと。ふたつ返事。日曜日は「竹細工の会」だ。
その夜にジャズ。今日は中国語。中国では、文人たちが
隠居する時は、必ず竹がでてくる。その影響を受けてか、
日本の文人たちも、号によく「竹」がでてくる。

明後日のコンサート
19時開場、19時半開演

ジャズピアニスト

クリス・デフォールト Kris Defoort

ベルギー王立アントワープ音楽院でリコーダーと古楽について学んだ後、
ジャズに目覚めベルギー王立リエージュ音楽院でジャズピアノと作曲を学ぶ。
1987年からニューヨークに移住し演奏活動を展開する。ライオネル・
ハンプトンBigBand、ジャック・ディジョネット、リー・コニッツなどの
著名なミュージシャンたちと共演。1990年にベルギーに戻り、KD's Basement
PartyやSound Plazaなどのグループを立ち上げ、ヨーロッパ各地で演奏活動を
繰り広げている。作曲家としても、エリザベートコンクール・ピアノ部門の
課題曲を書いたり、ベルギー王立モネ劇場やアントワープのフランダース・
フィルハーモニーなどから委嘱を受け、オペラをはじめ、オーケストラや
弦楽四重奏などの室内楽の作品も書いている。
また、王立ブリュッセル音楽院ジャズ科で作編曲、即興を教えている。

今月の下記のコンサートは、おかげさまで満席になりました。

12月13日(月) 「クラシックコンサート」
   オーボエ 渡辺佳代子 クラリネット 岡田渉 ファゴット 榎戸絢子

   19時開場19時半開演 4000円(蕎麦会含む)

       


12月21日(火) 天真庵クラシックライブ クリスマスコンサート

           (つけめん3人衆のメリークリスマス)

   平山慎一郎 ヴァイオリン + 江田雅人 チェロ + 赤松林太郎 ピアノ

   19時開場19時半開演 4000円(蕎麦会含む)