長屋茶房・天真庵

「押上」にある築60年の長屋を改装して
「長屋茶房・天真庵」を建築。
一階がカフェ、2階がギャラリー。

19世紀ギターの夕べ

2009-02-28 06:16:49 | Weblog
昨日は富川さんの「19世紀ギターの夕べ」は、とても素敵なライブだった。
一昨日のマリオネットの吉田さんが演奏したマンドリュートという楽器は、
今年で100歳になるということだ。お祝いに、吉田さんがワインを飲む、
といっておられた。昨日富川さんが演奏したギターは、1830年ころにフランス
で作られたもの。桜の木をベースに、ふちどりの文様はくじらのひげなどが使われていて、「おーる天然素材のギター」だ。

クラシックギターの黄金期は1850年くらいらしい。たぶんそのころに油の乗っていたギタリストが、パリの街を闊歩しながら、そのギターを奏でていたのだろう。200年近い歴史の中で、途中ロンドンに渡ったことがあるらしい。
そしてまたいろいろな人に弾かれ、いろいろな人を感動させ、日本にやってきた。
音楽というのは、一瞬で終わってしまうけど、感動とか思い出というのは永遠だ。
そして、僕たちが人生の旅を終えても、まだ楽器たちは、縁が紡がれていき、どこかでまた感動の連鎖の旅をする、というのは素敵なことだ。

一瞬、きらめく刹那、というのは永遠のものだと思う。

今日は「お花のお稽古」。山口から月に一度原田先生がやってくる。
今日は桃を生ける予定。
お茶の世界では「一期一会」という。もちろんお花というのも
まさに、刹那の美学、みたいなもの。
滅んでいく刹那、その中に美しいものは発見するところに、わびだったり、
さびだったりするものがある。

1月はいく、2月が逃げる、そして明日から「さってきく3月」。
あっという間に時が流れていくけど、よくよく考えていくと、毎日の中に
春夏秋冬があったり、一生があったりする。
人生は生・滅・生・滅を繰り返しながら旅していくようなものだ。 合掌。

花金

2009-02-27 06:24:18 | Weblog
花金とかいわれた時期があったけど、今は昔。
「レスカって何」といわれるくらい、死語になっていくかも。
3月からは、金曜日も19時までの営業になります。
ただし、ライブがある時は、「花のような金曜日」にしたいと思う。
今日は富川さんの「ギターのライブ」があるので、17時に閉店。
それからはリハーサルとか準備になり、19時開場、19時半から
貸切のライブ。

昨日はマリオネットのコンサートに湘南にいってきた。車でいったのだが、
やはり、高速はガラガラだった。湘南のお店も、夏が旬なので、けっこう
暇そうな感じだった。昨日は海岸べりの7階にあるライブハウスだったので、
江ノ島が手にとるように近くに感じられた。マリオネットのポリトガルギター
は、大航海時代のポルトガルの海にまつわる音楽が多いので、いつも以上に
雰囲気があった。江ノ島を見ながら、ファドを聴き、赤いワインを飲む・・
なかなか絵になるロケーションだ。
彼らの新しいCD「サウダーデの彼方に」が好評だ。中に、幼稚園児たちの声
が入っている曲がある。お店でこのCDをかけていると、お客さんが、その声
に反応する。音ははずれているが、かわいい、というか、「巧まざる詐術」
みたいに琴線にせまってくるのだ。
その幼稚園の先生たちも、昨日のライブにきておられた。

マリオネットのブログの中に「トレモロ兄弟」という企画がある。
なかなかおもしろそうな企画だ。
興味がある人はのぞいてみてほしい。
参加したくなるかも?


マリオネット

2009-02-26 10:48:11 | Weblog
今日はマリオネットのコンサート。
毎年一回、彼らのライブを天真庵でやっている。
今日はうちではなく、湘南でやる。ちょっとその前にいきたい
美術館があるので、そろそろ出発する予定。

天真庵のHPに「文花的なひとりごと」というのがある。
毎週水曜日とか木曜日に、つれづれなるひとりごとを書いて
いる。もうかなりたまっていて、時々読み直すと、すごく時間が
かかる。今日は、天真庵がこの地に結ばれたいきさつを書いた。
たった3年くらい前の話だけど、すごく昔のことのように思えた。

明日は「富川さんのギターのライブ」。残念ながらすでに満席。

3月からは、金曜日の夜は、平日とおなじ19時で閉店します。
(ライブや勉強会があるときのみ、22時まで営業します)
夜は、寄る年波にじょうずにつきあっていかなくては・・

雨の日の焙煎

2009-02-25 12:18:08 | Weblog
今朝、テレビで「もうすぐ雨」みたいなことをいっていたので、
元気の散歩に・・・
今日は休みだけど、雨が降る前に焙煎がしたいので、そのままお店に・・
でもすでに雨が降り出した。雨の日は、外と内の結界がはっきりして、
その凛然とした空気の中で焙煎をするのは、至福の絶頂だ。
(絶頂とかいうと、またエロスのような世界になるが・・・)

途中、母親と娘が、相合傘で近くの保育園に通う光景に出会う。
よくすれ違うので、「おはようございます」みたいな挨拶はするのだが、
話はしたことがない。たぶん、その母親はその痩せ具合からいって、かなり
悪い病気のような気がする。でも毎朝、細い腕で娘の腕を引き、その後は、
キラキラ橘商店街で、夕食の献立を考えながら、お買い物をしたりしている。
なにもできないけど、この幸せな家族が1日でも長く続きますように、みたいな
ことを祈りたくなる。命はみな有限だけど・・

保育園の近くの路地で、男女双子の子供をつれたお母さんが「おはようございます」と挨拶してくれた。こどもたちに「雨の中ごくろうさん」と答えたら、
「いってきます」と元気な声が返ってきた。

すごく当たり前な光景だけど、そんなことが当たり前でなくなったところに、
いろいろな問題がある。その保育園の門の前に来た時、1台のベンツが猛スピード
で横付けし、親は降りることもなく、子供だけが降りて、園に入っていった。
ふたつの親子とは、対岸にあるような風景。

車産業が急激に悪くなって、再建うんぬんがかしましいけど、こんな車にのる
浅はかな人間たちの心の再建のほうが急務のような気がした。

平成とは、「いろいろなことが掃除されて、平たく成る」という言霊らしいけど、
ほんとうに、大掃除の時がきている、と思う。



桜島大根

2009-02-24 06:46:59 | Weblog
昨日の順受の会。
寒い日だったけど、みんなで論語を朗々と読んだ。
正確にいうと、今は佐藤一斉を勉強している。
高度成長しているときは、「ハウツー本」がはやった。
そんな類の本を読むと、みんな成功するような気がするくらい
ゆるい次代だった。もうひとつ「せいこう」の「はうつーせっくす」
もベストセラーだった。
今の時代は、人にノウハウを聞いて、それをやって成功するほど、
甘くはない。いい例がフランチャイズ。
プロがやってもなかなかうまくいけない時代に、アマチュアが、
ちょっとした訓練をうけて、看板を掲げたくらいで、うまく
いくはずがない。やはり「自分を磨いていかないといけない」時代
だと思う。サラリーマンもおなじ。それには、古典、やはり論語
みたいなものを勉強するのは、いいものだ。

昨日は、桜島大根を、「すじ大根」「ディップ」「練り梅のサンド」
にして食べた。葉っぱは、塩もみして、しらすをごま油で煎ったものと
まぶして食べると美味かった。
ディップは、知り合いの会津若松の味噌やの「もろみ味噌」。
歴史的にはなかなかありえない組合せ。名づけて「薩摩と会津の仲直り?」
梅は、王隠堂の梅。この梅にかなうものはみたことがない。

今日は「英語で蕎麦会」。ひさしぶりに岩本先生がくる。


巨根願望?

2009-02-23 06:27:25 | Weblog
すごい大根が宅急便でおくられてきた。
宛名をみると、「かごんまのよかおごじょ」からだ。
さっそくお礼の電話をしたら、「桜島で無農薬でつくった桜島大根」
だということがわかった。

今日は「順受の会」。先生の松田さんは鹿児島の生まれ。
「よかにせどん」だ。よかにせどんが、いい男、という意味で
よかおごじょ、というのは、いい女。

今回の「散歩の達人」に載った日は、前回の「順受の会」の日だった。
「老若が、論語を朗々と・・・」みたいな記事になっている。
先月はたまたま女性が少なかった。今月は、新人の若い女性も
加わるので、老若男女が朗々と、になる。

明日は「英語で蕎麦会」
岩本先生も無事退院した、とのメールが届く。

友が遠方よりきたり、学びて時に英語を習ったり、巧言令色を
少なくしようと、努力したりするのは、とても素敵なことだ。

今日は、この桜島大根と格闘する日になりそうだ!



天明

2009-02-22 06:47:21 | Weblog
昨日は、味噌を仕込んだ。
前日から大豆を水につけ、それを夕方からストーブの上
でゆっくりと炊く。豆腐やみたいな慈悲深い匂いがお店いっぱい
に広がる。それをつぶして、麹と塩をいれ、甕の中を焼酎で消毒し、
そこに団子状にして投げ入れ、サランラップで密封し、そこに
塩で重しをして、それを床下の納戸にいれて、秋がくるまで待つだけだ。
もう5年くらいやっているけど、けっこう楽しい仕事だ。


自分でつくった味噌を、ごぼうと鴨肉を刻み、お酒やミリンでのばしながら
あわせ味噌をつくると、「鴨味噌」ができあがる。
これができると、冬の寒さが、楽しみに変る。昨日は、大学の後輩で
常連さんがきたので、これと「もち麦パン」を出した。
「天明」がえらくあって、グビグビ飲んでおられた。

そういえばうちの大学の校歌に
♪天の命名 立命・立命館・・・
という詩があった。

天命をしる。天明を飲む。人生はなかなか奥深い。





つぼつぼ

2009-02-21 06:32:46 | Weblog
昨日、陶芸家の久保忠廣さんから荷物が届いた。
なかに黄瀬戸の「つぼつぼ」が入っていた。
またお酒を飲む人には、たまらない器が仲間入り。
「糸巻き皿」も、みごとなできなので、さっそく
二階に飾ってみた。
志野や黄瀬戸や織部の酒器もまた新しいのが入荷。
さっそく、杉浦さんに電話して、お酒もいろいろ
注文。ひさしぶりに夜が楽しみな日だった。

「散歩の達人」も夕方届いた。
「大人の喫茶店」という特集。
いったことがある東京の名店、老舗といっしょに
紹介されてある。なるほど、よくよく見てみると、
東京には、「いい喫茶店」があまたある。
それに気づかないのは、忙しくて心が都塵で汚れているか、
心に余裕のない証拠なんだろう。

毎日毎日が大変だけど、「ほっと」する時間は大切だと思う。
そんな時は、喫茶店にいって「ホット」といいたいものだ。
うちでは「ホット」といっても、ほっとかれるけど・・・
「ホボブラジル」と言わないと、無視される店。







田舎もの

2009-02-20 06:33:05 | Weblog
押上に毎日いると、錦糸町にいったら「都会」に感じる。
昨日は、煎茶のお稽古に青山にいった。半蔵門線で20分
くらいでいける。池袋時代は、原宿で降りて通った。
昨日はうとうとしていたので、表参道を寝過ごし、渋谷
で降りた。ら、ひさしぶりだったので、出口がわからなかった。
すっかり渋谷駅が様変わりしているのだ。
青山通りまでいく坂道のところにあった、いきつけの本屋も
再開発のため、閉店になっているし、まだまだ渋谷は動いて
いる街なんだと痛感した。

少し時間があったので、炎色野(ひいろの)によってみた。
今月の「DANCHU」で紹介されているギャラリー。
天真庵の器をつくってくれている久保忠廣さん、渡辺愛子さん、
升たかさんたちの作品が多く並べてある。
ちょうどいった時、「陶磁郎」という焼き物の雑誌の編集
をやっているTさんがきていた。久しぶりに焼き物談義。
そういえば、渡辺愛子さんは今、大阪の「堂島ギャラリー」
で個展をやっている。

今日は午前中は雨。
今日発売の「散歩の達人」に天真庵が紹介されることになった。
明日からくる人は、みな散歩しながらくるのかしらん?

沈丁花

2009-02-19 09:18:06 | Weblog
田舎から沈丁花がおくられてきた。
さっそく鉢に植え替えて、お店の前に飾ってみた。
風にのって、沈丁花の香りがすると、「春近し」と幸せな気持ちになるものだ。
ちかごろの子供たちは、金木犀や沈丁花の
香りがすると、「トイレのにおいだ」と勘違い
するらしい。ほんものよりも、芳香剤のニオイ
のほうが、身近なものだから。

いつか、コーヒーの生豆をビンに入れて陳列していたら、
「この白い豆を飲んでみたい」というお客さんがいた。
それを焼いてコーヒー豆にすることを説明した。
昔から「一物一体」といわれてきた。
ひとつのものをぜんぶいただく、と、バランスがいい、
みたいな意味。
わかりやすきいえば、魚を切り身で買って食べるより、
めざしみたいに、一匹を頭からまるかじりしたほうがいい
ようなものだ。街の魚屋さんがなくなって、スーパーの
切り身しか見たことない子供たちは、魚は切り身で海
の中を泳いでいる、と思っている子もたくさんいるのでは
なかろうか?

大量生産して薄利多売な商売が主流だったけど、これからは、
ひとつひとつのものを、お客さんといっしょに作り上げて
いくような時代になっていくのではないかと思う。
「個」の時代。それぞれ自分をじっくり見つめて、磨きあげていく時代。
「心見つめて歩く」人、やさしさを広げていける人が活躍する時代。
沈丁花の香りが心に滲みる。