長屋茶房・天真庵

「押上」にある築60年の長屋を改装して
「長屋茶房・天真庵」を建築。
一階がカフェ、2階がギャラリー。

昼行灯に灯りがともる。こころが着火しそうな灯り。

2010-12-18 08:15:40 | Weblog
来年の話をすると鬼も笑う、というけど、
そろそろ今年の緞帳を下げて、もうすぐくる「うさぎ」
の準備に忙しい季節。魚屋さんにいっても、「にしん」
なんかが並びはじめた。
酒粕に白味噌を加えて、そこに塩抜きした「にしん」を
漬け込み、3日くらい後の食べごろに、ぬる燗の酒肴にすると、
盆とクリスマスと正月がいっぺんに来るくらい幸せな気持ちになる。
学生時代に、京都の荒神口にあったおでんや「安兵衛」のオヤジが
ときどき出してくれた。比叡おろしが寒い冬に、名誉冠という伏見の
酒を燗にして、おでんを食べるというのが、京都では一番のごちそうだった。

昨日は「スケッチ」の会だった。忘年会のピークの時なので、男子の参加が
なく、両手に花、どころか井筒のように、女子たちと「鍋」をやった。
片口の土鍋に、そばゆをたっぷりいれ、かしわ(骨付きのにわとり)、まいたけ、
えのき、ねぎ、はくさい、いとこん(いらたき)などを入れる。

久保さんの窯から調達したばかりの新作の絵志野の器に、アマ汁(甘い醤油をみりんと砂糖を入れて煮きり醤油にする)に、今季さいごの「かぼす」をしぼり、そこにゆず胡椒を入れる。そこに、いい湯加減になった土鍋に入った具たちをいれて、食べる。
最後は、竹のかごに蕎麦を入れ、しゃぶしゃぶよろしくゆらゆらしながら、蕎麦で
しめる。美女に囲まれながら、盃をかさねていたら、思わず先日の山頭火の詩が
浮かんできたが、酒で流すみたいに、飲み込んだ。秋の酒は美味い。美しい女性
たちと飲むと、なお美味い。昼行灯も少し酩酊しているように、艶やかに灯りを
はなっていた。このひかえめな明るさがいい。

今日は「書をしよう会」だ。
あまたの文人墨客たちがやってくる。
ここは「文花一丁目の寺小屋みたいなカフェ」
文は人なり、それぞれの個の花が咲くような時代がやって
くるように思う。「この花さくら」。そんな酒が京都の
亀岡にある。隠れた銘酒だ。

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