鬼山竜也の住宅業界 商売の王道

良い家づくりに真剣に取り組んでいる方々が、お客様のためにより良い仕事が出来るようになるためのヒントになれば、嬉しいです。

【第3468回】 後工程はお客様

2020年06月28日 | 住宅コンサルタントとして

大学を卒業して、最初に勤めさせていただいた会社で、

本当に社会人としての基礎を

ありがたいことに叩き込んでいただいたのですが、

当時の経験が本当に今、役立っています。

 

その会社は、大きなメーカーでしたので、

営業本部と生産本部に分かれていて、

基本的に営業部隊と工場の方々は価値観が異なる訳です。

 

そして生産本部の中には、工場と物流という、

これまたちょっと違う役割の部署があって、

その物流の部署の中に工事を管理する機能があったのです。

 

営業本部の中にも、最前線の現場でお客様に営業して

実際に注文をいただく営業所もあれば、

営業所を管理する支店や間接部門などもある訳です。

 

そして当然ながら、各部署ごとに考え方・価値観が異なるのです。

 

営業は、

 

「俺たちが苦労して受注してきたのに、

製造や物流がミスするなよ!

せっかく構築した信頼関係が壊れるじゃないか!」

 

と考えがちですし、工場や物流側は、

 

「納期変更とか、簡単に言ってくるなよ!

生産工程の組みなおし、手間がかかるんだよ!

ちゃんとお客様と納品日を決めて発注してこいよ!」

 

なんて思っています。

 

メーカーで言えば、営業サイドと生産サイドはぶつかりやすいですし、

住宅会社で言えば、営業と設計、工事とはぶつかりやすいのです。

 

部署が違えば、価値観が異なり、仲が悪くなりやすい。

 

そういう組織的な問題を20代の頃に経験できたことは、

本当に大きかったよな、と思っています。

 

そしてそうした問題を解決するために、

最初に勤めさせていただいた会社には、金言が存在していました。

 

それは、「後工程はお客様」という言葉。

 

私自身、この言葉に従って、自分の仕事を請けてくれる

受発注センターの方とか見積センターの方とか、

はたまた工場や施工担当の方に、

 

「いつも皆さんのおかげで、私も仕事が安心してできます、

ホンマにありがとうございます」

 

「いつも無理言ってすみません。

次回、こういうことが無いように気をつけます」

 

「自分がもっと事前に段取り良くしていれば、

あなたにこんな手間をかけてもらわなくても済んだのに、

本当に申し訳ないです」

 

など、手間をかけさせるような仕事をしたときはお詫びし、

定期的に感謝の気持ちを伝えるようにしていました。

 

これが不思議で、最初は無理して言っていたことが、

こういう言葉を遣っていると、段々と心も言葉に近づいてきて、

本当に後工程の方に感謝をするようになっていったのです。

 

結果、本当に仕事がしやすくなり、

仕事がドンドン楽しくなっていきました。

 

周囲の営業マンの中には、

後工程の方に不満を言っている方もいましたが、

個人的にはそれが全く理解できず、

 

「こんなに協力的な人たちにサポートしてもらっているのに、

なんでああいう考えになるのかな?」

 

と思っていました。

 

そして後工程の方が仕事がやり易くなるように、

すなわち、自分が仕事を依頼したら、

確認の電話を後工程の方がしてこなくて済むように、

完璧に近い精度で仕事を依頼するようになっていきました。

 

以降、いろんな部署、

それからコンサルに転職してからはいろんな業者さんに

仕事を依頼することがありましたが、

揉めたことはありません。

(←って、自分が思っているだけだったりして・・・)

 

住宅会社でも、他の会社でも、

営業は販売と製造や仕入れ部門、

現場サイドと管理職サイドでは、

価値観が異なり、対立構造になりがちです。

 

こういうことを理解した上で、

どう組織をマネジメントしていくかが、

経営者の仕事なのです。

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