田中川の生き物調査隊

平成12年3月発足。伊勢湾に注ぐ田中川流域の自然と生き物を調べ、知らせる活動をしています。三重県内の生き物も紹介します。

消える運命

2007-02-25 | 風景
マリーナ河芸の北
田中川河口の左岸にある池。すでに中ほどまで埋め立てが進んでいる。
元は養鰻池。個人の所有地でマリーナの会社が借りている。
半年ほど前、この池の活用について検討中であることをマリーナ側から知らされた。新たな利益源としてこの池の土地活用を考えているとのことであった。
会社の経営者に対して、希少野生動植物種保存推進員の方や野鳥の会関係者からもこの池の大切さについて助言をしてもらった。しかし、経営者は「この池の借上料をあなた方が負担してくれますか」と埋め立てての活用もやむを得ないと主張した。

あれから半年。池が埋まっていく。
チョウトンボが舞い、バンが子育てしていた池。
メダカやシマゲンゴロウがいた池。ゴイサギがよくやってきた池。
子どもたちとアオモンイトトンボの羽化を観察した池。

池としての資源の活用方策を切り捨てた経営陣に対して、怒りを覚えてしまう。
消えていく池を見ながら、約20年前に消えた田中川左岸の干潟のことを思った。先人たちの怒りと涙を思い出した。右岸の干潟が保全されることを条件に、マリーナ建設に反対していた人たちも止むを得ず左岸の開発には同意した。
7年ほど前にタチスズシロソウの自生が確認できなくなって、ある長老を訪ねた。彼は左岸開発に同意したことを悔やんだ、「あの開発が無かったら」と。

20年ほど前に多くの人が涙を飲んで許したマリーナの建設、今そのマリーナが新たな開発を進めている。
一度許した開発は歯止めのルールが無いから、どこまでも広がっていく。つくづく怖いものだと思う。
毎年5月の連休前には姿を見せるオオヨシキリやツバメたちのことを考えてしまう。
トンボを追いかけていた子どもたちは、なくなってしまった池をどう想うだろう。
2007.2.24

マリーナ河芸の北
オオヨシキリが毎年巣作りをしていたヨシ群落。松並木のあたりにはタチスズシロソウがかつて生育していた。

マリーナ河芸の北
右手の建物は岐阜マリンスポーツセンター、正面奥の建物はマリーナ河芸
左の堤防の向こう側には伊勢湾

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