goo blog サービス終了のお知らせ 

田中川の生き物調査隊

平成12年3月発足。伊勢湾に注ぐ田中川流域の自然と生き物を調べ、知らせる活動をしています。三重県内の生き物も紹介します。

大洞山のシロバナネコノメソウ

2011-05-02 | 草花

ユキノシタ科ネコノメソウ属のシロバナネコノメソウ Chrysosplenium album

大洞山の東海自然歩道を歩く。ハマダラハルカの姿も見えた。歩道脇に白い花が群がっている。

『山に咲く花』によると,シロバナネコノメソウは「白花猫の目草。谷沿いの林内の湿地に生える。花茎や葉柄に白軟毛が多い。根生葉は花時枯れる。花茎は高さ5~10センチ。萼裂片は白色で斜開し,先はとがる。葯は暗紅色。花期4~5月。」など。

2011.4.29

大洞山のトウゴクサバノオ

2011-05-01 | 草花

キンポウゲ科シロガネソウ属のトウゴクサバノオ Isopyrum trachyspermum

津市美杉町,大洞山の東海自然歩道を歩いた。連れのS氏が何かの花を撮影していたので,つられて撮影。初めて見る花であった。

『山に咲く花』によると,トウゴクサバノオは「東国鯖の尾。山地の沢沿いなどに生える高さ10~20センチの多年草。花は直径6~8ミリ,花弁状の萼片は淡黄白色。花期4~5月。」などとある。

2011.4.29

道端のツボミオオバコ

2011-04-26 | 草花

オオバコ科のツボミオオバコ Plantago virginica L.

鈴鹿市三宅町の国道306号線沿いで,北アメリカ原産の帰化植物であるツボミオオバコ(別名タチオオバコ)と出会った。道端なので,車のタイヤに踏まれた株もあった。

『日本帰化植物写真図鑑』によると,ツボミオオバコは「ハワイ,アジアなどに帰化している一年生草本。全体に白色の短毛を密生する。現在では,関東北部から沖縄まで分布し,しばしば道端や芝地などに群生する。」などとある。

『新版三重県帰化植物誌』によると,「久内清孝が愛知県岡崎市(1913)で採集した標本について報告した」という。
2011.4.24


新版 三重県帰化植物誌の発行

2011-03-09 | 草花

著者の太田久次さんは2008年に83歳で亡くなられている。生前の2007年には原稿の入力作業をほぼ終えられていたようである。太田先生の遺言により,息子さんがその後の編集作業を行い2010年3月にA4判316pp.の『新版 三重県帰化植物誌』が発行された。県内の学校などに寄贈されたと聞いている。定価は8千円(税込だと8400円?)。

希望の方は発行所の有限会社 ムツミ企画(津市丸之内18-5 ℡059-291-2282)へ申し込めば入手できるようだ。

同書によれば,アレチモウズイカは「四日市港:千歳(1955)で採集の標本に村田 源が和名新称(1956:分地16-142)した。筆者の標本を精査したところ四日市港:千歳(Jul.17.1954)で採集していたので記録にとどめる。」とある。生前,先生から「次回の出版では補足説明を加えたい」と聞いていた内容である。
又,同書に依れば,三重県の帰化植物数は678種となり全国一,四日市市の帰化植物数は581種で都市別で全国一。

私は,この本の発行を心待ちにしていた。
「まえがき」の中に「資料の提供や採集地の案内,採集などのご助力いただいた」という人の中に私の名前も入れてもらってあった。
太田先生,ありがとうございました。

アレチモウズイカ 初採集は三重県
松植樹とアレチモウズイカ

赤野島のクワズイモ

2011-01-19 | 草花

サトイモ科クワズイモ属のクワズイモ Alocasia odora

紀伊長島の赤野島で,最初に見つけた植物がこのクワズイモである。私は初めて見る植物だったので,何だろうなあと眺めていると,貝屋のN氏が「クワズイモですね。三重県内で他の産地はありますか」と植物屋のY氏に問いかけた。「三重県内では知りませんね。四国の足摺岬の辺りで見たことがあります。流れ着いたものでしょうね」とY氏は答えていた。N氏は「そうですね,足摺岬の辺りに有りましたね。クワズイモは弘法大師に絡んだ話があって,食べられないんですよね」などと解説してくれた。

クワズイモとは「食わず芋」のことで,サトイモ科の常緑性多年草。
株元を覗き込むと,細長い根茎がむき出しになっていた。

2011.1.16

赤花のゲンノショウコ

2010-11-11 | 草花

フウロソウ科のゲンノショウコ Geranium thunbergii

津市大里川北町。里山の林縁を歩いた。
舗装されていない道に赤紫色の花を見つけた。一瞬,園芸品種の花かと思えたほど美しい色である。田舎道には何と不釣合いな花色だこと。近くには四葉のクローバーもあった。
ゲンノショウコの花を踏まないように,気をつけて山道を歩いた。

ゲンノショウコの花は,東日本では白色が多く,西日本には赤色が多いようである。

2010.11.8


河川敷のメハジキ

2010-10-22 | 草花

シソ科のメハジキ Leonurus sibiricus

鈴鹿市の東海自然歩道を歩いた。流れのない川があって,その河川敷をうろうろしていて,淡い紅紫色の花に気がついた。何株もあった。高さは40センチ前後のものが多かった。
メハジキ属のメハジキだと思う。
『野に咲く花』によると,メハジキは「野原や道ばた,荒れ地に生える高さ0.5~1.5㍍の多年草。全体に白い毛が密生する。根生葉は卵心形で長い柄があり,花期には枯れる。」

メハジキの葉は成長するにつれ,どんどん変化していくようである。

2010.10.17



河川敷のツリフネソウ

2010-10-20 | 草花

ツリフネソウ科ツリフネソウ属のツリフネソウImpatiens textorii Miq.

津市の安濃川の河川敷でツリフネソウを見つけた。赤い花は目立つが,こんな場所へは私しか近寄らない,なんか素敵な人を独り占めしているような感じがした。

『野に咲く花』によると,「やや湿ったところに多い高さ50~80㌢の1年草。茎はやや赤みを帯び,節がふくらむ。花序は葉腋から斜上し,紅紫色の花を数個つける。花期8~10月」

実物はもっと赤い色なのに,なぜか赤さが写真では失われてしまって青みがかって見える。何枚撮っても同じようになってしまう。カメラの設定によるものなのか,よく判らない。

2010.10.18

答志島のツルボ

2010-10-17 | 草花

ユリ科ツルボ属のツルボ Scilla scilloides

答志島のメインロードを歩いていると,崖下の日当たりの良い道路脇に淡紅紫色の花が目に入った。ツルボが群生していたのだ。
花にはハナアブやハチ類が集まっていた。
宿で,ハチ屋のK氏に採集したハチを見せると,たいそう喜んでくれた。その中には絶滅危惧種も含まれているようだ。

2010.10.10



神島のハマゼリ

2010-10-14 | 草花

セリ科ハマゼリ属のハマゼリ Cnidium japonicum

神島。セリ科のハマゼリがたくさん生えていた。ハマアザミやハマエノコロと一緒に生えていることが多かった。時化のとき,海水の飛沫がかかるような場所に生えていた。

『野に咲く花』によると,ハマゼリは「海岸の砂地に生える高さ10~50㌢の2年草。根は太い。セリ科のつぼみは花弁や雄しべが内側に巻いた独特の形をしている。果実は長さ約3㍉の扁平な球形で,隆起線が竜骨状にはりだしてよく目立つ。花期8~10月。ハマゼリの果実は煎じて強壮剤にする。」

葉は厚く硬くて,セリ科特有の香りがした。
2010.10.11





アレチニシキソウかも

2010-10-09 | 草花

トウダイグサ科ニシキソウ属のアレチニシキソウ Chamaesyce ssp. aff.prostrata(=Euphorbia chamaesyce ssp. massiliensis)

津市河芸町の千里海岸。テトラを並べ,砂を入れ,半円状の階段を設置するなどして,整備された人工的海岸。海浜植物などの草も増えてきた。中ノ川に近いところにある堤防西の池がどんどん埋め立てられていっている。今年の冬鳥は,この地には来られないだろう。海側へ入っていくと,堤防際は荒れ地状態である。そこに見たことのない植物を見かけた。

熱帯アメリカ原産の一年草で,海岸近くの砂地や道端で見られる帰化植物,アレチニシキソウではないかと思われるが,太田久次さんの改定三重県帰化植物誌1997にも載っていない。『鈴鹿市の自然』にも記録されていないので,自信はない。
原色日本帰化植物図鑑に「アレチニシキソウssp. massiliensis Thell.はハイニシキソウと果実は変わらないが葉がだ円形で長さ1cm,コニシキソウに似ている。」とある。

ニシキソウなら,茎の色が赤いものの,茎がもう少し斜めに立ち上がっているだろう。コニシキソウなら,葉に暗紫色の斑紋があるはずだし。この2種なら,何度も出会っている。
問題はハイニシキソウとの区別点だが,葉や茎の毛の様子を確認しないと同定できないようである。ハイニシキソウなら三重県内の記録がある。
さて,どちらだろう。
2010.10.7








アレチニシキソウが生えている千里海岸


クルマバザクロソウ

2010-10-07 | 草花

ザクロソウ科のクルマバザクロソウ Mollugo verticillata 

鈴鹿市の磯山海岸。堤防下へと車が入っていけるところがある。
車を駐車した辺りに,地を這う植物があちこちに生えていて,白い小さな花がみえる。花の付き方からクルマバザクロソウと知れた。

クルマバザクロソウは熱帯アメリカ原産の帰化植物である。
『野に咲く花』ではツルナ科ザクロソウ属としていて,「江戸時代末期に渡来し,各地に帰化している。花期 7~8月」とある。

日本帰化植物写真図鑑によると,ザクロソウ科とし,「全世界の熱帯から温帯にかけて広く帰化している一年生草本。夏に葉腋に花弁のない小さな花を数個固めて着ける。明治年間の中頃に新潟県で見いだされ,現在では全国で畑地,道端,荒れ地などに普通に見られる。」などとある。

渡来した時代と発見した時代とが図鑑によって異なっている。

2010.10.7

白い花弁に見えているが,実は花弁ではなく萼片。果は3裂し,種子は褐色で光沢がある。






水路脇にネコハギ

2010-10-04 | 草花

マメ科ハギ属のネコハギ Lespedeza pilosa 

鈴鹿市の鈴鹿川中流域の堤防際。水路沿いの農道を歩いていると,水路にせり出すように茎を延ばし,白の花をまばらに咲かせているネコハギが目立つ。株数も多い。

『野に咲く花』によると,ネコハギは日当たりのよい草地などに生える多年草。花期は7~9月。分布は本州,四国,九州。

海岸に近いところで暮らしてきた私は長年見たことがなかった。10年前に町内の山手のほうで初めて出会った。漁港の近くに,砂浜に山土を入れて造成した海浜グラウンドがある。その片隅に今年ネコハギが生えているのを見て,海岸部でも生きていけるんだと感心した。ネコハギは潮風にも負けないんだ。

2010.10.4



砂浜のマルバアカザ

2010-09-29 | 草花

2010.9.28 津市白塚町 白塚海岸漁港南にて アカザ科アカザ属のマルバアカザChenopodium acuminatum Willd.

高波が運んできた漂着物がゴロゴロしているような,砂浜の比較的不安定な場所に生育するマルバアカザは,6月頃に見る姿と9月末に見る姿とでは大きく異なる。この時期のマルバアカザは茎の色も異なり,葉の殆んどが無くなっている。近似の種も含めて,植物図鑑にもあまり載っていないので,この植物と出会っても同定が難しい。私も10年前にK氏に同定してもらって,ようやくにしてマルバアカザの名前を知った。3年前の夏の写真も引っ張り出して,詳しく紹介しておく。

CD-ROM原色牧野植物大図鑑によると,マルバアカザは
「本州から琉球列島,および朝鮮半島,台湾,中国,モンゴル,シベリア,中央アジア北部の温帯から亜熱帯に分布。海岸の砂地などにはえる1年草。全体に無毛。茎は下部が横にはい,斜上し,高さ30~50cmになる。葉は多肉質。花は夏に咲き,がくの背には稜がある。種子は黒くて光沢がある。和名は葉の形が丸いアカザの意。」

同図鑑によると,近似のカワラアカザは
「本州,四国,九州,琉球列島,および朝鮮半島,中国,ウスリーの温帯から暖帯に分布。河原の砂の上にはえる1年草。無毛。茎の高さ30~70cm,直立しほとんど分枝しない。葉は長さ5cm位,質は厚い。花は夏,黄緑色。花には柄がなく小苞もない。がくは5深裂,宿存し,果実を包む。胞果には種子が1個入る。和名は河原によくはえるから。」

愛知県ではマルバアカザを「海浜の砂地を特徴づける植物の一つで、愛知県では減少傾向が著しい。」として準絶滅危惧種に選定している。
また,愛知県のレッドデータブックには「茎は直立するか斜上して分枝し、高さ20~60cm になる。葉は互生し、有柄、葉身は長楕円形~広卵形、長さ2.5~6cm、幅1.8~4.5cm、先端は鈍頭~円頭、基部は鈍円形、辺縁は全縁で狭い膜質半透明部があり、やや厚くて裏面に粉状物がある。花期は5~10 月、花は密集して細い穂状につき、花序の下部では枝を出すが、それ以上は分かれない。」とある。

『鈴鹿市の自然』には,マルバアカザは鼓ヶ浦海岸と千代崎海岸での記録がある。カワラアカザの記録は無い。ハマアカザは江島海岸と鼓ヶ浦海岸で1968年に記録されている。


2010.9.28 津市白塚町 白塚海岸漁港南


2010.9.28 津市白塚町 白塚海岸漁港南


2010.9.28 津市白塚町 白塚海岸漁港南


2010.9.28 津市河芸町 芦原海岸


2010.9.28 津市河芸町 芦原海岸


2007.6.27 津市河芸町 芦原海岸


2007.6.27 津市河芸町 芦原海岸


2007.6.20 津市河芸町一色 豊津海岸


2007.6.20 津市河芸町一色 豊津海岸

ネコノシタ 津市の海岸にも

2010-09-27 | 草花

キク科のネコノシタ Wedelia prostrata 

芦原海岸にもかつては生息していたと聞いている。津市内の海岸にも生息していると聞いていて,何度も探しに出かけたがこれまで見つけられなかった。
この日,偶然にも見つけた。
砂浜に長い茎を延ばした見慣れない植物を見つけた。すぐに黄色い花を確認した。探し回っていたネコノシタだ。
周りに何株か見つけたが数えるほどしか生えていない。

津市の海岸では絶滅危惧種だと感じたが,念のため『三重県レッドデータブック2005植物・キノコ』をみると,絶滅危惧Ⅱ類(VU)に選定されている。
同書によると,「海岸の砂地にはえる多年草。茎は長く地を這い,節から根をおろす。葉は対生で,卵形被針形,葉面剛毛がある。花は7~10月に頭花をつける。特に個体数が激減している種ではないが,生育地での生育面積は狭く,小群落状である。開発等で砂浜の自然環境が改変されると容易に消滅する可能性が高い。」としている。岡与一さんの担当執筆。
2010.9.27







ネコノシタ