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田中川の生き物調査隊

平成12年3月発足。伊勢湾に注ぐ田中川流域の自然と生き物を調べ、知らせる活動をしています。三重県内の生き物も紹介します。

アキノミチヤナギの季節

2010-09-23 | 草花

タデ科ミチヤナギ属のアキノミチヤナギ Polygonum polyneuron 

田中川干潟は秋の気配。ハマサジの花穂が赤茶色に変わってきた。ホソバハマアカザの株も大きくなってきた。そのホソバハマアカザが生えている所よりも少し高いところにアキノミチヤナギが群生している。

道端で普通に見かけるミチヤナギに良く似ている。ミチヤナギは高さ10~40cm,アキノミチヤナギの高さは約80センチ。40cmまでの成長過程のアキノミチヤナギはミチヤナギとの区別が分らない。花期はミチヤナギが5~10月,アキノミチヤナギが9~10月。

『野に咲く花』によると,アキノミチヤナギは「茎の上部では葉が小さく落ちやすいので穂状花序のように見える」という。その状態になるのはもう少し経ってからだと思う。今は未だ葉が落ちていない。

図鑑には海岸に生えると書いてあるが,この辺りの砂浜海岸には生えていない。ここでは干潟の塩生植物と一緒に生えている。二代目ハマボウの近くにも生えている。だから,アキノミチヤナギは塩生植物の一つだと私は思っている。

2010.9.22







左はホソバハマアカザ 右がアキノミチヤナギ







河川敷のノゲイトウ

2010-09-21 | 草花

ヒユ科ケイトウ属のノゲイトウ Celosia argentea

鈴鹿川派川の川原でノゲイトウの群落を見つけた。
ノゲイトウは熱帯原産の帰化植物で,一年草。

『野に咲く花』によると,「本州西部・四国・九州・沖縄に帰化している。畑などに生え,高さ0.4~1㍍になる。花期7~10月。」

2010.9.20







河川敷のブタクサ

2010-09-20 | 草花

キク科ブタクサ属のブタクサ Ambrosia artemisiifolia

安濃川の河川敷に見慣れぬ雑草が群生していた。調べると,ブタクサであった。名前は知っていたが,実物は初めてのような気がする。

ブタクサは北アメリカ原産の一年草。花粉症を起こすことで知られる帰化植物である。
『野に咲く花』によると,夏から秋にかけての花粉症の原因のひとつになっている。高さ0.3~1mになり,花期は7~10月。

2010.9.17





河岸にヒレタゴボウ

2010-09-19 | 草花

アカバナ科チョウジタデ属のヒレタゴボウ Ludwigia decurrens

津市安濃町の安濃川。河岸近くの湿地帯のような場所にヒレタゴボウが黄色い花を咲かせていた。株は何株も見られた。

ヒレタゴボウは北アメリカ原産の一年草で,アメリカミズキンバイの別名を持つ。
『野に咲く花』によると,「花は黄色で直径約2.5㌢。花弁は4個あり,花弁と花弁の間にはすきまがある。花は長さ1.2~1.8㌢。花期8~10月」

2010.9.17

ヒレタゴボウの果実。先端には先が鋭く尖った萼片が残る。

干潟のオオギョウギシバ

2010-09-05 | 草花

イネ科のオオギョウギシバ Cynodon dactylon (L.) Pers. var. nipponicus Ohwi

田中川干潟の砂浜との境にオオギョウギシバが群生している。砂浜から干潟の中へ入ろうとすると,必ずオオギョウギシバを踏み越えていかなければならない。
今日は,白い穂状花序が目に付いたので座り込んで撮影した。

長田武正著『日本イネ科植物図譜』によると,オオギョウギシバは「沿海地にはえ,大きな面積に広がる多年草で,ギョウギシバに比べ、目だって大きく,ほふく枝は太くて,長さ5mまたはそれ以上にもなり,節間は長さ20-30cmになる。稈頂の花序(総)の花軸は長さ5-10cm,小穂は長さ3-3.5mm。西日本の特産。タイプ産地は三重県二見ケ浦。大きさだけで見分けがつくが,ときに中間型があって基本種と結ばれる。」

植物にかなり詳しい人でも,オオギョウギシバを見て,オニシバと勘違いするくらいなので,あまり知られていないのではないかと思う。
芦原海岸には普通のギョウギシバも生えているので,オオギョウギシバと比べてみると面白い。私はギョウギシバをあちこちで見つけると,必ず田中川干潟のオオギョウギシバを思い浮かべる。
三重県をタイプ産地とする植物が近くで見られるなんて,誇らしく思えるし,愛さずにはおられない。

千葉県では準絶滅危惧種に,山口県では絶滅危惧Ⅱ類にそれぞれ選定されている。

2010.9.5





つる植物のニガカシュウ

2010-09-02 | 草花

ヤマノイモ科ヤマノイモ属のニガカシュウ Dioscorea bulbifera

四日市市塩浜の鈴鹿川河川敷で,オニドコロの葉に良く似たヤマノイモ科のツル植物を見つけた。
葉柄の基部に縮れたヒレがあり,ツルは紫色を帯び,ムカゴには突起がある。花の様子もオニドコロとは違う。葉は大きな円心形で先は急に尖り,尖った部分が少しよじれるものもある。大きな葉の幅は125ミリもあった。

手持ちの図鑑には載っていない。
ネット検索で,本州(関東地方以西)~沖縄に分布するニガカシュウであることが判明した。花期は8~10月だから,今が旬の植物である。マルバドコロの別名もあるようだ。
『鈴鹿市の自然』を調べると,ちゃんと記録があった。
つる性の多年草だから,また来年も見られることだろう。
2010.9.2




ニガカシュウの突起のあるムカゴ




葉柄の基部に縮れたヒレがある

水田雑草オモダカ

2010-07-23 | 草花

オモダカ科オモダカ属のオモダカ Sagittaria trifolia

田中川の源流部,鈴鹿市三宅町の丘陵地を訪ねた。
稲穂が出てきたばかりの水田に,オモダカが花を咲かせていた。
白い花は凛として美しいが,水田雑草の一つに挙げられているだけに,ところどころ稲株よりもオモダカの株の方が多いような水田も見られた。
オモダカは日本全土の水田,浅い沼,湿地などに生える多年草である。花茎は高さ20~80cmになり,上部の節ごとに白い花を3個ずつ輪生する。花序の上部には雄花が、下部には雌花がつく。
図鑑には花期は8~10月と書いてあるが,このところの真夏日続きで花期が少し早まったのかな。
2010.7.22




11月のハマニガナ

2009-11-16 | 草花
ハマニガナ
ハマニガナ Ixeris repens 浜苦菜

久しぶりに田中川干潟へ出かけた。砂浜には、ハマニガナの黄色い花が数多く見られた。
手持ちの図鑑には、花期は4~10月と載っていたが、11月中旬の今日でさえ今が盛りとばかりに咲いていた。この日の最高気温は17℃、最低気温は12.9℃。

三重県レッドデータブック2005では、「花は4~10月、頭花は径3cm内外」のハマニガナを準絶滅危惧に選定している。現況と減少原因を「尾鷲市や紀北町海山区では、砂浜の埋め立てや公園化により、生息地がなくなり、絶滅に瀕している」と説明し、「海浜にむやみに人工物を造らないこと、本来の自然のまま保全することが必要である。」と保護対策を訴えている。

県内のあちこちの砂浜で止め処なく行われている松植樹を見るたびに心痛めている。
ハマニガナの生息する、田中川干潟周辺の砂浜に松の植樹がされたなら、私は一人で引き抜きにでかけようかと思う。
2009.11.15

秋のハマニガナ

ハマニガナ

ハマニガナ

急斜面に咲くシコクママコナ

2009-09-22 | 草花
シコクママコナ
ゴマノハグサ科ママコナ属のシコクママコナ Melampyrum laxum var. laxum

四日市市の宮妻キャンプ場の奥、山の南斜面。
陽も差す、水はけは抜群に良い、花崗岩が細かく砕けた斜面に可憐な花を見つけた。草丈は約20~50cm。
東海地方から中国地方東部、四国、九州に産するシコクママコナと思われる。

『山に咲く花』によると、「シコクママコナは花冠内部に黄色の斑点が広がる。萼は有毛。苞のふちに刺毛状の歯牙が散生する。」
また、同書によると、ママコナ属は「半寄生植物の一年草。花冠は筒状で先は唇形となる。」

花期は8~9月。六甲山では中腹以上に分布する。
『鈴鹿市の自然』によると、鈴鹿市ではシコクママコナの記録は無く、同属のママコナやミヤマママコナの記録がある。
何に寄生するのか、調べても良く分からなかった。他の植物との混生は見られなかったので、不思議だなあ。 

2009.9.13
シコクママコナ

シコクママコナ

シコクママコナ

シコクママコナ

砂浜のカワラナデシコ

2009-07-14 | 草花
カワラナデシコ
ナデシコ科のカワラナデシコ Dianthus superbus var. longicalycinus 

津市の白塚漁港の北に奥行きのある古くからの砂浜がある。今年はアカウミガメの産卵巣が2ヶ所で見つかっている。この時期、この白塚海岸の砂浜を歩くと、カワラナデシコの花に出会える。
近年、この砂浜の南部に松の木をせっせせっせと植樹している個人がいる。朝早くから松の選定作業をしたり、園芸植物を育てたり野菜を作るなど砂浜を自由に使って人生を楽しんでいるようだ。枝葉を燃えした灰を松や花に肥料として与えている。
この辺りの砂浜は海浜植物の植生も豊かなので、防砂林としての松は必要ない。おそらく、昔から聞きなれた「白砂青松」の言葉から砂浜には松が必要なんだと思い込んでいるのではないだろうか。

三重県内の他の砂浜海岸でも、松の植樹が留まることなく続いている。砂浜の管理者である市町や県に、砂浜の植生と砂浜に暮らす生き物に対する知識も思いやりも無いからこんなことになっている。

松の無い砂浜も立派な砂浜で、それも素晴らしい自然だ。守るべき価値があるものだ。町屋海岸、白塚海岸、豊津海岸、芦原海岸、鼓ケ浦海岸を連日歩き回っていて、つくづく思う。
2009.7.11

カワラナデシコ

カワラナデシコ

カワラナデシコ

キツネアザミ

2009-06-08 | 草花
キツネアザミ
キク科キツネアザミ属のキツネアザミ Hemistepta lyrata 

津市河芸町の新川沿いの農道にキツネアザミが咲いていた。
左側の擁壁は最近埋め立て造成が行われたもの。かつては田んぼ。
キツネアザミはこのような道端や明るい空き地、造成後間もない原野のような所で見かけることが多い。
アザミは同定が難しいが、このアザミだけは判ると思っていたが、キツネアザミはアザミ属ではなかつた。アザミ属の葉には刺があるが、キツネアザミの葉には刺が無い。和名にたがわず、狐につままれたような気分である。
2009.6.4

キツネアザミ
冠毛は羽毛状。

キツネアザミ
花は枝先に上向きにつく。

キツネアザミ

キツネアザミ

ハマナタマメ

2009-05-27 | 草花
ハマナタマメ
和具大島の堤防斜面に自生するマメ科ナタマメ属のハマナタマメ Canavalia lineata

熊野灘を眺めながら昼の弁当を食べているとき、隣でてこね寿司の弁当を食べていた老夫婦が大きな豆が入った莢を見せてくれた。
「堤防の斜面に生えているハマナタマメや。これは寒さに弱いのか、種をまいて生えてきても消えていく。こんなふうには育たない。ほら、そこに生えている。まだ豆もよおけあるが。」
見に行くと、ハマナタマメが堤防を登るように蔓を伸ばしている。蕾もあった。莢からこぼれた豆も転がっていた。アゼトウナの株もあった。

ハマナタマメは、日本では本州(太平洋側は千葉県以西、日本海側は山形県以西)、四国、九州、琉球、小笠原に分布しているツル性の多年草。海岸の砂地、礫地に生える海岸植物のひとつである。
蕾の様子から見て花が咲くのは6月中であろう。私はまだ花を見たことが無い。

老夫婦がてこね寿司を分けてくれた。量が多いので食べきれないから手伝って欲しいと。熊野灘を眺めながらの昼食は殊のほか美味しかった。
2009.5.24

ハマナタマメ

ハマナタマメ

ハマナタマメ

ナガミノオニシバ

2009-05-12 | 草花
ナガミノオニシバ
イネ科シバ属のナガミノオニシバ Zoysia sinica Hance var. nipponica Ohwi 群落

田中川干潟の東南端にナガミノオニシバの群落がある。
ナガミノオニシバが花期を迎えた。

『日本イネ科植物図譜』によれば、
「海辺の砂地に生える多年草で、根茎は地中を深く横にはい、節ごとに直立した稈(かん)を地表に伸ばす。葉先は硬化して刺状となるが、オニシバのようにはさわっても痛くない。
オニシバに比べ、葉も稈も花序も細く、花序が明らかな柄によって最上部の葉鞘からわずかながら抜け出ている点は、花序の下部が葉鞘内に包まれるオニシバとのよい区別点となる。分布は本州(関東以西)、四国、九州。朝鮮南部、中国に広がる。タイプ産地は福岡県古賀町。」
大阪府では、海浜(塩性湿地)に生息するナガミノオニシバを海浜の埋立・改修工事により生存に対する脅威があるとして絶滅危惧Ⅰ類に選定している。
神奈川県では海岸の湿地に生える本種の生息地の現状は不明であるとし、絶滅危惧ⅠA類と判定している。
千葉県では要保護生物。また、和歌山県や高知県などでは準絶滅危惧としている。
2009.5.11 

ナガミノオニシバ
ハマサジの今年花が咲く株も見えている。

ナガミノオニシバ

ナガミノオニシバ

休耕田のウマスゲ

2009-05-06 | 草花
ウマスゲ
カヤツリグサ科スゲ属のウマスゲ Carex idzuroei Franch. et Savat.

津市河芸町の休耕田でウマスゲと思われる群落を見つけた。例年、ヨシが茂り、シロバナサクラタデが群生している休耕田である。おや,こんな所にシオクグがと思ったほど似ている。シオクグよりも果胞の嘴が長く葉の幅が2倍以上広いので、これは違うと確信した。

ウマスゲは平地の水湿地に生える高さ40~60センチの多年草。雌小穂はやや離れて付き、下方のものには短い柄がある。
日本(関東以西の本州・四国・九州)と中国大陸(中部)に分布。
ウマスゲの和名は大型のスゲであることから牧野富太郎が命名したと何かの図鑑に書いてあった。

埼玉県では準絶滅危惧(NT)。神奈川県では絶滅したとされている。
大阪府では「湿地・池沼・河川の埋立・改修工事」により生存に対する恐怖があるとし、絶滅危惧I類にしている。
福井県では「低湿地の開発により減少が著しく、現在知られている生育地は1地区のみである」とし、県域絶滅危惧Ⅰ類に選定している。
各県とも生育地は1~数町村でしか確認されていないか、あるいは絶滅種となった県もあり、生育地の環境破壊などが絶滅の主な要因になっているようだ。
三重県では既知の生息地点数は10以下であり、近くまで埋め立てが迫っている生息地もあり、存続が懸念されるなどとし、絶滅危惧ⅠB類(EN)に選定している。
『鈴鹿市の自然』によると、2004年に磯山町で加田勝敏さんが採集されている。

河芸町のこの群落は最近耕運機で耕されていて、多くの株が土の中に埋まるなどしていたが、一部の群落は耕運機の刃も負けてしまうほどの密集した群落のため、生き残っていた。しかし埋め立てがすぐそこまで迫っている。
2009.5.3

後日、加田勝敏さんに標本を見てもらったところ、ウマスゲで間違いないと同定してもらった。「白塚の終末下水処理場予定地でも堤防際に自生していたが、もう埋められてしまっているだろう」と聞いた。

ウマスゲ
柱頭は3個。

ウマスゲ
雌小穂。果胞はふくらみ、上部は長いくちばし状になる。

ウマスゲ
茎の基部の葉鞘(ヨウショウ)は暗赤紫色を帯びる

ウマスゲ
葉鞘(ヨウショウ)は暗赤紫色を帯びないものも見られた。耕運機により土に半ば埋まっていたからかも。

ウマスゲ
地下匐枝(チカフクエ)を長く伸ばしてふえる。

休耕田にアゼナルコ

2009-05-06 | 草花
アゼナルコ
カヤツリグサ科スゲ属のアゼナルコ Carex dimorpholepis

津市河芸町の堤防道路沿いの休耕田に、アゼナルコの群落を見つけた。ヨシがびっしり生えていて、所々刈り取ってある。隣の水田耕作者が草刈をしたのだろう。少し日当たりが良くなって、アゼナルコには好都合だったようで、休耕田のあちこちに株が見られる。

川岸や田のあぜなどの湿地に生える高さ40~80センチの多年草。頂小穂は上部に雌花、下部に雄花がつき、雄花の部分は細い。ほかの小穂には雌花だけつく。花期は5~6月。(『野に咲く花』より)

アゼナルコ

アゼナルコ