フリーアナウンサー 松原敬生の『今日のエッセイ』

思っている事、感じている事などを自由に綴ります。

言偏(ごんべん)

2016-08-30 22:02:38 | Weblog
先般、亡くなられた永六輔さんの忘れられない言葉があります。「ラジオは言偏にこだわってほしい」です。私がラジオ局に入社したころは深夜放送が全盛期、また車社会によるカーラジオが重宝され、ラジオの存在感は今の数倍だったかも知れません。そのラジオが他の媒体に押されて存在感がいまいちになった時の永さんの言葉でした。
ラジオが家族や故郷をあわせ持っていたのです。それがいつの間にか歌謡曲の詞を含めて、故郷がなくなり、家族が消えてしまったのです。そこで言偏になるのです。放送内容の中に言偏を活かす、つまり、語る、話す、訴えるといった言偏のつく言葉を駆使すべきだと教えてくれたのです。放送界に生きる私としては、この永六輔さんの言葉を大切な遺言として守っていきたいと思っています。
特に、老人の場合は体験といった財産があります。この体験から訴えることが多々あるはずです。それを言葉として伝えるのが、アナウンサーとして過ごした私の恩返しです。

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