フリーアナウンサー 松原敬生の『今日のエッセイ』

思っている事、感じている事などを自由に綴ります。

百薬の長

2015-01-28 21:59:41 | Weblog
昨日にうってかわって寒さがぶり返しました。ドラマでは、特に時代劇では寒さに震えながら居酒屋に飛び込んで、「おおっ寒む、熱いのを一本つけてくんな」という台詞がよくあります。私はお酒はほとんど嗜まないので実感はありませんが、酒には十徳があるそうです。その十徳とは『百薬の長、寿命長遠、旅行に慈悲、寒気に衣、推参にたより、孤独を慰む、徒労の疲れを癒す、憂いを払う、位なくして貴人に交わる、万人と楽しむ』とあります。先程の居酒屋の場合は、「寒気に衣」でしょうね。
この十徳は狂言の『餠酒』に出て来ますが、酒のもたらす幸福は豊かだと言っています。となるとどうも酒が飲めない下戸族は多くの幸せを逃していることになるのでしょう。十徳の中の「位なくして貴人に交わる」はいわゆる無礼講で話が出来る酒席を言うのでしょう。ただし、無礼講と言ってもなかなか、身分差という壁を乗り越えることは難しいですよね。飲みすぎての失敗もありそうですから、「孤独を慰む」という酒が無難ですかね(笑)。