フリーアナウンサー 松原敬生の『今日のエッセイ』

思っている事、感じている事などを自由に綴ります。

とっさの一言

2009-01-19 20:26:43 | Weblog
新聞広告で「とっさの一言」(成美文庫)が出版されているのを知りました。我々アナウンサーにとっては、この「とっさの一言」が評価の対象となります。評価ががくんと落ちたり、評価が上昇したり、この一言が決めてとなってメインの番組が担当できるかどうかなのです。つまり時間に限りがあるアナウンサーの瞬発力が問われるのですね。
日常においても「とっさの一言」でコミュニケーションがうまくいくか台無しになるかの分かれ目です。とっさという事は不意を付かれる事でもあり、事前の用意が出来ません。それだけに本音が出てしまう事があります。
政治家の記者会見でも一方的に原稿を読みあげるまでは無難ですが、記者の予想もつかない質問に本音の一言が出てしまう事があります。小泉元総理の「女の涙は最大の武器」「人生いろいろ」などが思い出されます。
かつて喜びすぎた「とっさの一言」が大変な結果になった事もありました。1989年の「巨人-近鉄」の日本シリーズで、王手をかけた近鉄の投手が巨人をくさす様なとっさの発言で、そのシリーズ大逆襲を食らって日本一を逃しました。まさに口は災いの元です。
一方マニュアル言葉も笑える事があります。ハンバーガーを何十人分購入した人に対して「店内で召し上がりでしょうか?」はビックリします。とっさの対応が臨機応変に粋にこなせる様になって一人前かもしれません。
私が心掛けているのは別れ際の一言です。「お逢いできて嬉しかったです」あるいは「又、お逢いしたいですね」です。
上手に使ってみてくださいね。