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18.12.17 特許実用新案審査基準 発明の単一性の要件 その2

2006-12-17 13:39:50 | Weblog
特許実用新案審査基準 発明の単一性の要件

2.発明の単一性の判断の基本的な考え方 

2.1 発明の単一性の判断対象 
 発明の単一性の要件は、特許請求の範囲に記載された発明どうしの関係で判断する。
 通常は、「請求項に係る発明」どうしの関係で判断する。
 一の請求項において発明特定事項が形式上又は事実上の選択肢(以下、「選択肢」という。)で表現されている場合には、各選択肢どうしの関係についても発明の単一性を判断する。

2.2 基本的な考え方
 発明の単一性は、二以上の発明が同一の又は対応する特別な技術的特徴を有しているかどうかで判断する。
 すなわち、一の発明の一の特別な技術的特徴に対し、その他の全ての発明のそれぞれの特別な技術的特徴が同一の又は対応するものであるかどうかで判断する(注1、2)。ここで、特別な技術的特徴が「同一」の場合と「対応する」場合とを峻別する必要はなく、いずれともいえる場合がある。

(注1)「特別な技術的特徴が同一の又は対応するもの」であるか否かは実質的に判断するものとし、単なる表現上の異同にとらわれないよう留意する。

(注2)二以上の発明が「特別な技術的特徴が対応するもの」であるとされる例には、特定構造のねじ山を有するボルトとナットなどがある。

 具体的には、次のように判断する。

 まず、明細書、特許請求の範囲及び図面(以下、「明細書等」という。)の記載並びに出願時の技術常識に基づいて、それぞれの発明の「特別な技術的特徴」を把握し、これらの「特別な技術的特徴」が同一の又は対応するものであるかどうかを判断する。同一の又は対応する特別な技術的特徴が存在しないときは発明の単一性の要件を満たさない。

 上記の判断により発明の単一性の要件を満たすとされる場合でも、「特別な技術的特徴」としたものが、先行技術の中に発見された場合など、発明の先行技術に対する貢献をもたらすものでないことが明らかとなった場合(注3)には、ほかに同一の又は対応する特別な技術的特徴が存在しない限り、事後的に発明の単一性の要件を満たさなくなる。

(注3)「発明の先行技術に対する貢献をもたらすものでないことが明らかとなった場合」とは、「特別な技術的特徴」とされたものが先行技術の中に発見された場合のほか、一の先行技術に対する周知技術、慣用技術の付加、削除、転換等であって、新たな効果を奏するものではない場合や、単なる設計変更であった場合が含まれる。ここで、「先行技術」とは特許法第29条第1項各号に該当する発明を意味し、出願時に公開されていないものは含まない。
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