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18.12.18 審査基準 3.発明の単一性の判断類型

2006-12-18 14:57:22 | Weblog
3.発明の単一性の判断類型
 以下に発明の単一性の判断類型を示す。これらの判断類型では、典型的な場合について、発明の単一性の考え方を上記の基本的な考え方に基づいて具体的に示した(注)。
 なお、判断類型中の事例では、請求項に係る発明は先行技術に対する貢献をもたらす技術的特徴を含むことを前提として説明している。
(注)一の判断類型だけではなく、複数の判断類型に同時に当てはまることもある。

3.1 基本的な判断類型

3.1.1 同一の特別な技術的特徴を有する場合 
 二以上の発明が、同一の特別な技術的特徴を有している場合は、発明の単一性の要件を満たす。

例1:
請求項1:高分子化合物A(酸素バリアー性のよい透明物質)
請求項2:高分子化合物Aからなる食品包装容器
(説明)
 高分子化合物Aが先行技術に対する貢献をもたらすから、請求項1及び2は同一の特別な技術的特徴を有する。

例2:
請求項1:光源からの照明光を一部遮光する照明方法 
請求項2:光源と照明光を一部遮光する遮光部とを備えた照明装置
(説明)
 照明光を一部遮光する点が先行技術に対する貢献をもたらすから、請求項1及び2は同一の特別な技術的特徴を有する。

3.1.2 対応する特別な技術的特徴を有する場合
 二以上の発明間で、先行技術との対比において発明が有する技術上の意義が共通若しくは密接に関連している場合又は特別な技術的特徴が相補的に関連している場合は、それぞれの発明が対応する特別な技術的特徴を有しているといえるから、発明の単一性の要件を満たす。

例1:
請求項1:窒化ケイ素に炭化チタンを添加してなる導電性セラミックス 
請求項2:窒化ケイ素に窒化チタンを添加してなる導電性セラミックス 
(説明)
 発明全体としてみれば、請求項1、2の特別な技術的特徴は、それぞれ、炭化チタン、窒化チタンであり、両者は窒化ケイ素からなるセラミックスに導電性を付与する点で、先行技術との対比において発明が有する技術上の意義が共通している。なお、この例で、先行技術との対比において技術上の意義が共通、又は密接に関連していると言えなくなった場合は、発明の単一性の要件を満たさない。

例2:
請求項1:映像信号を通す時間軸伸長器を備えた送信機
請求項2:受信した映像信号を通す時間軸圧縮器を備えた受信機 
請求項3:映像信号を通す時間軸伸長器を備えた送信機と、受信した映像信号を通す時間軸圧縮器を備えた受信機とを有する映像信号の伝送装置 
(説明)
 請求項1、2の特別な技術的特徴は、それぞれ、時間軸伸長器を備えること、時間軸圧縮器を備えることであるが、両者の機能は、それぞれ、時間軸を伸長し映像信号を送信すること、時間軸を圧縮し映像信号を受信することであり、両者は相補的に関連している。また、請求項3は、請求項1、2の特別な技術的特徴である時間軸伸長器と時間軸圧縮器の双方を含むものであり、請求項1、2に係る発明と密接に関連している。