Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

マリー・アントワネット

2007-02-04 | 映画(ま行)

■「マリー・アントワネット/Marie Antoinette」(2006年・アメリカ)

●2007年アカデミー賞 衣装デザイン賞
●2006年ワシントンDC映画批評家協会賞 美術賞

監督=ソフィア・コッポラ
主演=キルステン・ダンスト ジェイソン・シュワルツマン リップ・トーン

 世間じゃ好意的な評を聞かないし、先に観に行ってた職場のお姐様方はその後話題にもしないから、こりゃ楽しい映画ではない?・・・という先入観でおそるおそる劇場へ。ロックが流れるガーリーテイストな映画と聞いていたから、若い子が多いのかと思いきや、劇場内はお年を召した方々が多い。世界中で知らぬ人はない王妃様のお話だから当然ではあるな。

 母マリア・テレジアの命でフランス王太子に嫁いだ主人公は、それまでの自由な生活から一変、衆人環視の宮廷生活を送ることになる。目が覚めればお世話係の女性がうやうやしい礼をして迎え、高位の女性が妃へ衣類を手渡す特権があるだの言って裸で待たされたり。
「ばかみたい」「これがヴェルサイユでございます」
初夜のベッドにまで人々が集まるなどプライベートもありゃしないし、お世継ぎを生まなければ結婚は成立しないとプレッシャーをかけられ、陰口と中傷に傷つく日々。多感なお年頃の女の子がこんな閉鎖的で自由のない生活をするなんて・・・家から出してもらえない姉妹が主人公のデビュー作「ヴァージン・スーサイズ」にも通ずるテーマ。ソフィア・コッポラの興味がまずそこにあったのは言うまでもない。セレブって大変なのだ。そんなプレッシャーと退屈なおつき合いから解放されたいマリーは、田舎に自分の隠れ家を設けて、贅沢の限りを愉しみ尽くすことになる。このあたりからのポップな色彩が炸裂。色とりどりの靴、ドレス、ケーキ・・・おぉこれがガーリーテイストな部分なのか。娘と庭で遊ぶ場面は抜きにして、退屈を紛らすために繰り返される賭け事や夜会・・・正直こっちが退屈してしまった。睡魔に何度も負けそうになった。

 キルステン・ダンストの庶民的な風貌が、”オーストリアから来たよそ者”としてマリーを描くには適役だったのではないだろうか。重厚な歴史劇にして美貌の王妃として描くならもっと他の女優になるところだが。フェルゼンとの恋も宮廷でのお遊びの一つとしか描かれなかったし、クライマックスのフランス革命にしてもあくまでも宮廷内からの視点で描かれるので劇的な盛り上がりはない。「ベルばら」に慣れている我々ニッポン人には、ここが不満な部分かな。宮殿に押し寄せた群衆の前にバルコニーから姿を見せる場面は、王妃が初めて世間に触れた瞬間。観客にも伝わる緊張感。黙って頭を下げるマリー。映画はヴェルサイユを去る馬車からの風景で唐突に終わってしまう。僕は再び「ヴァージン・スーサイズ」のラストシーンをそこに重ねた。物事が終わるのはいつも突然なのだ。

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コメント (6)
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