goo blog サービス終了のお知らせ 

Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

ルパン三世 風魔一族の陰謀

2024-02-24 | 映画(ら行)


◾️「ルパン三世 風魔一族の陰謀」(1987年・日本)

監修=大塚康生 銀河万丈 塩沢兼人 小山茉美 加藤精三

そもそもOVAの第1作として製作された作品で、短期劇場公開された。そのため劇場版第4作と呼ばれたり、劇場版にカウントされなかったりと扱いが微妙な「風魔一族の陰謀」。シリーズ唯一声優陣が異なることもあり、昔から興味はあったが、テレビで放送されないから観る機会がなかった。今回が初鑑賞。BS12に感謝。

五右衛門の結婚相手、紫の家に代々伝わる壺。そこには宝の在処が記されているという。長年宝を狙う風魔一族が紫を連れ去ったことから騒動に巻き込まれたルパン御一行。紫を救えるか。そして隠されたお宝とは。

劇場版としての期待とは違う、こじんまりまとまった話。「VS複製人間」のスケール感やハードな雰囲気、「カリオストロの城」の人間ドラマの深みには乏しい。それでも全編に貫かれたコミカルなアクションは、ルパンシリーズらしい魅力が感じられる。ルパン生存を知った銭形警部が復帰して、いつもの追いかけっこが始まるとやっぱりワクワクしてしまう。そこは期待どおり。

声優キャスティングに最初は居心地の悪さを感じるけれど、そこは実力もあるベテラン陣。話が進むと本作でしか味わえない魅力を感じた。古川登志夫のルパンは諸星あたるみたいな軽口が心地よいし、銀河万丈の次元大介もギレン・ザビ級にクール、塩沢兼人の五右衛門もぶりぶりざえもんに通ずる信念の人、小山茉美の峰不二子は「チャーリーズ・エンジェル」のシェリル・ラッドみたいなカッコよさ。そして加藤精三の銭形警部は星一徹にも負けない頑固さがある。




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ライフ・オン・ザ・ロングボード

2023-09-24 | 映画(ら行)

◾️「ライフ・オン・ザ・ロングボード/Life On The Longboard」(2005年・日本)


監督=喜多一郎

主演=大杉漣 大多月乃 小栗旬 勝野洋


好きなことを新たに始めたり、楽しんだりに、早いも遅いもない。そしてそれを通じて人は成長することができる。いくつになっても。日々これでいいのかな、なんてふと考えてしまう僕らに勇気をくれる素敵な作品だ。2018年に亡くなった大杉漣。冴えないけれど懸命な主人公が次第に変わっていく姿が心に残る。


55歳で長年勤めた会社を退職した主人公米倉一雄。特にしたいこともなかった一雄だったが、海を眺めていて、若い頃サーフィンを始めようとして失敗した時を振り返る。そして亡き妻が言った言葉を思い出す。

「カッコよかったのになあ」

一雄は種子島でサーフィンを始めることを決意する。55歳でよそ者の初心者を最初は笑うのだが、当の本人は日々現地の若者や一目置かれる名サーファーに教えてもらうのが楽しくて仕方ない。そこへ妻の死後関係がギクシャクしていた娘がやってくる。


島での日々を通じて、一雄も娘の優もこれまで言えなかった気持ちや出せなかった自分と向き合う。その様子を多くの人はベタと言うのかもしれないけど、僕は素直に感動できた。自分が退職の時期を迎えたら、何をしようと考えるのだろう。それほど遠い将来ではないけれど、幸いなことに好きなことだけはたくさんあるからな。


サーフィン場面はともかく、種子島の風景にビーチボーイズの名曲が似合うなんて思いもしなかった。走り去る軽トラに重なるAll Summer Longに、なんか感激。「アメリカン・グラフィティ」のラストでこの曲が流れる時、ひとつの時代の終わりを感じたが、この映画では新たな始まりの曲なんだもの。



ライフ オンザ ロングボード

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

リオの男

2023-09-07 | 映画(ら行)

◼️「リオの男/L'Homme De Rio」(1964年・フランス)

監督=フィリップ・ド・ブロカ
主演=ジャン・ポール・ベルモンド フランソワーズ・ドルレアック ジャン・セルヴェ シモーヌ・ルナン

休暇でパリに戻ってきた航空兵のアドリアンは、フィアンセのアニエスの家を訪れる。パリでは南米古代文明の像が持ち去られる事件が起こっていた。アニエスの父である教授が発掘に携わっていたことからアニエスは事件に巻き込まれ、犯人グループに連れ去られてしまう。あとを追うアドリアンが乗った飛行機が着いたのはリオデジャネイロ。彼女と像の秘密に関係する3人の男を追って、アドリアンはリオを駆ける。

ジャン・ポール・ベルモンドはスタントなしでアクションをこなす役者として知られているが、本作でも数々の見せ場が用意されている。3体の像を揃えるとお宝が隠された場所がわかるというクライマックスは、「レイダース/失われたアーク(聖櫃)」で、メダルに差し込む光が場所を示す場面を思わせる。スピルバーグも本作がお気に入りらしく、インディ・ジョーンズシリーズの元ネタと聞くが、わかる気がする。ベルモンドに協力する靴磨き少年も「魔宮の伝説」のショート君につながるのかも。

一方で、ベルモンドは魅力的な女性に振り回される役柄もよく似合う。「暗くなるまでこの恋を」ではカトリーヌ・ドヌーブの嘘に振り回されるが、本作ではドヌーブの姉フランソワーズ・ドルレアックが相手役。

像を持つ男の一人、ブラジルの富豪を演ずるのは「007/サンダーボール作戦」の悪役アドルフォ・チェリ。こういうキャスティングも楽しい。また地理の授業で計画都市(都市計画に基づいて人工的に建設された都市)の例として挙げられるブラジリアの、できて間もない頃の様子が見られるのも興味深い。

気楽に楽しめるアクションコメディ。




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

リップスティック

2023-07-28 | 映画(ら行)

◼️「リップスティック/Lipstick」(1976年・アメリカ)

監督=ラモント・ジョンソン
主演=マーゴ・ヘミングウェイ アン・バンクロフト クリス・サランドン ペリー・キング

性暴力を扱った映画は数多く製作されている。正面に据えるテーマはそれぞれあるが、センセーショナルな場面が存在するだけに、製作側には話題性につながるものだととらえられがちなのだろう。

ジョディ・フォスターがオスカーを獲得した「告発の行方」は、直接手を下さずとも周囲で煽った人々を教唆の罪に問えるかを争う法廷劇が主たるテーマ。しかし、ピンボール台に押し倒されるシーンの話題ばかりが先行していて、主題が伝わったとの印象は薄い。東陽一監督の「ザ・レイプ」も法廷劇が大きな部分を占めているけれど、描かれるのは事件と公判とで深く傷つくヒロインの姿。女性がいたぶられる映画は、正直観ていて辛い。

それだけに最近、性暴力場面を間接的に描いた作品「プロミシング・ヤング・ウーマン」が出てきたのは注目すべき。酷い目に遭う女性を身体張って演じる場面がなくても、その行為の卑劣さは表現の仕方で十二分に伝えることはできると世に示した作品だった。

さて。レイプ裁判を前面に打ち出した70年代の作品に「リップスティック」がある。事件の被害者は、マーゴ・ヘミングウェイ演じるファッションモデル。妹の音楽教師に自宅で襲われたのだ。苦痛に耐えて裁判に臨むが、実社会でも法廷でもこうした事件をまともに取り扱わない。そんな状況に果敢に戦いを挑む女性検事とヒロイン。検事役はアン・バンクロフトが演じており、他の代表作にも劣らないカッコよさ。しかし法廷の現実は厳しい。そしてヒロインが選択したのは…。

70年代のウーマンリブ運動を経た時期に製作されただけに、社会的な問題を訴えた作品となっている。しかしこの映画を紹介する記事は、ヒロインを演じたマーゴ・ヘミングウェイの衝撃シーンに触れてばかり。伝わるべきところは他にあるはずなのに。実の妹マリエル・ヘミングウェイは本作がデビュー作である。音楽担当はミシェル・ポルナレフ。




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ローズ

2023-05-23 | 映画(ら行)

◼️「ローズ/The Rose」(1979年・アメリカ)

監督=マーク・ライデル
主演=ベット・ミドラー アラン・ベイツ フレデリック・フォレスト ハリー・ディーン・スタントン

確か中学生の頃、叔父に連れられてダスティン・ホフマン主演作を映画館で観た時だ。予告編の中で妙に印象に残る音楽映画があった。ベット・ミドラー主演の「ローズ」である。主題歌The Roseがヒットしていて、ラジオからよく流れていたから、特に印象に残ったんだと思う。ピアノと幾重にも重なるボーカルが感動的で、好きな曲だった。

映画の内容は深く知らなかったが、とにかく観てみたくって。うちの親は認めてくれなかった。映画はジャニス・ジョプリンをモデルにした女性歌手の物語で、ドラッグ、セックス、ロックンロールの世界だと聞いた。そりゃ親もいいよとは言わないよな。それ以後ずっと観たい映画の一つだった。

初めて観たのは社会人になってから。映画冒頭のWhose Side Are You On。ビートとかき鳴らすギター、高らかに響くホーンセクションに身体がじっとしていられない。ライブで聴衆に語りかける。
ブルースを聴いたのは生まれた時よ。
愛って素敵よね。
そしてWhen A Man Loves A Womanのイントロに流れ込む。なんてカッコいい。この場面最高😆。いろんなアーティストがこの曲を歌っているけど、この映画のベット・ミドラーが僕にとってはスタンダードだ。

ところが、話が進むにつれてヒロインに腹が立ってくる。いけ好かないヒロインの言動にイライラしながらも、圧倒的なライブシーン、マーク・ライデル監督のドラマティックな演出に引き込まれてしまう。クライマックスのライブ会場の空撮。ビルモス・ジグモンドのカメラに捉えられたステージの輝きに、「未知との遭遇」のマザーシップに匹敵する感激を味わった。

コンサートオープニングに流れて、楽器が増えて8小節ごとに盛り上がっていくインストロメンタルCamilla。この曲は後にレベッカがライブのオープニングで演奏していたっけ。NOKKOはジャニス好きだったから、そのつながりでの選曲なのかな。

疲労と薬物中毒、恋人にも去られて失意の中にあるヒロインが歌う、渾身のロッカバラードStay With Me。いけ好かない女と思っていたはずなのに、聴衆だけに素の自分を見せたような姿に心が震える。このクライマックスには力業でハートを掴まれた。しかし彼女にはもう聴衆にも現実にも向き合える力は残っていなかった。

かすれて呟くような声で歌うラスト。そこに重なる名曲The Rose。僕はこの曲の歌詞に何度か勇気づけられてきた。ジブリの「おもひでぽろぽろ」のエンドクレジットで流れた時、「ローズ」の記憶と重なって涙がにじんだ。






コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

リトル・ミス・サンシャイン

2022-12-20 | 映画(ら行)

◼️「リトル・ミス・サンシャイン/Little Miss Sunshine」(2006年・アメリカ)

監督=ジョナサン・デイトン、ヴァレリー・ハリス
主演=グレッグ・キニア トニ・コレット スティーブ・カレル アビゲイル・ブレスリン

不祥事で活動自粛していた映画コメンテーター有村昆氏が、テレビ番組「ロンドンハーツ」でイジられてるのをテレビで見た。ひと言だけインタビューして引っ込ませる意地悪な企画。唯一の質問は「活動自粛中にどんな映画を観てましたか」。自分の蒔いた種で離婚にも発展した。映画で発散してたのかな、逆にどーんと重いの観てたのかな。有村氏の答えは「リトル・ミス・サンシャイン」だった。

ミスコンの全米大会に、7歳のオリーブが繰り上げで地区代表として出場できるようになった。オリーブの父親リチャードは自己啓発セミナーでひと山当てると意気込んでおり、母シェリルは気が気でない。さらに自殺未遂をしたシェリルの兄フランクと一緒に暮らすことになり、オリーブの兄ドウェーンはパイロットになる夢を達成するまで口をきかない無言の誓いを実行中。オリーブのミスコンの振り付けを担当したのは、ドラッグ中毒で口の悪い祖父エドウィン。問題だらけの家族は、フォルクスワーゲンの黄色いバンで一路、ミスコン会場のあるカリフォルニアを目指す。その珍道中を描いた物語。

カリフォルニアへの道中は、次々と事態が悪化していく。冒頭自信満々だったリチャードは自己啓発セミナーのアイディアが受け入れられず、破産の危機。ドウェーンはパイロットとなる上での更なる問題が発覚。そして祖父エドウィンが…。映画とはいえ、ここまで追い詰められるなんて…と辛すぎる展開に驚くが、そこを勢いと話しかけるフランクの優しさで乗り越えていく様子が面白い。特に祖父の× ×が積まれた荷台を警察官に見られる場面の緊張感と、予想を超えたトラブル回避に大笑い。

ミスコンに集う人々のお高く止まった感は、様々な映画で目にしてきたが、主催者側まで選民意識に支配されてるような様子にイライラする。オリーブには世界が違うぞ。出場をやめさせようとするリチャードとドウェーンだが、ここまで頑張ってきたからとオリーブはステージに向かう。ここで祖父の振り付けがとんでもない事態を引き起こす。
ダメだよ!おじいちゃん!🤣
ミック・ジョーンズのSuper Freakをバックに開き直った家族が繰り広げる大騒ぎ。サイコーやんw。

「女とヤリまくれ」とけしかける祖父役アラン・アーキン。経験こそ価値みたいな言い方するお年寄りいるよね。ここにちょっとイラッとしたが、ところどころ良いこと言う。「お前は内面も外見もキレイだから大好きなんだ」言われたら嬉しいよな。

やってることはやっぱり問題だらけなんだけど、この旅で一家の結束力はきっと高まったはず。そして観ている僕らを勇気づけてくれる行動や台詞が散りばめられていて、とても励まされた気持ちになる。ポンコツ車で走り出す一家に幸あれ。





コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

楽園追放-Expelled from Paradise-

2022-12-18 | 映画(ら行)

◼️「楽園追放-Expelled from Paradise-」(2014年・日本)

監督=水島精二
声の出演=釘宮理恵 三木眞一郎 神谷浩史

長男からのおススメ作品。人類のほとんどが肉体を捨ててデータ化され、ディーヴァと呼ばれる仮想空間で理想的な生活を送る未来。そこに突然地球からの不正アクセス。メッセージの内容は人類が生活可能な惑星を探す旅への勧誘だった。既に理想的な生活を謳歌している人類に、新たなフロンティア開発は無用だが、不正アクセスという脅威からディーヴァの幹部たちは捜査官としてアンジェラ三等官を地球に送り込む。彼女は地球での協力者ディンゴと共に謎に挑む。

電脳世界とリアルワールドのお話だから、あー、また「攻殻機動隊」の亜流かよ、と思っているとなかなか面白い着地点にたどり着く。マテリアルとしての肉体を与えられるアンジェラ、生身の人間であるディンゴ、そして自我が目覚めたAI。機械と人間の境目が曖昧な存在を通じて、人間の存在について考えさせる。なるほど「攻殻」ほどハードでなく受け入れやすい。そしてディーヴァで暮らす身体を捨てた人々の現実。

音楽がそれぞれの登場人物をつなぐ一つの要素になってるのも好印象。心地よい環境音楽しかディーヴァでは聴いてこなかったアンジェラに、ディンゴはロックは骨で感じる音楽だと語る。AIが「好き」という感覚を説明するくだりがいい。システム的にはノイズでしかないのに、プロセッサの処理能力を活性化させる現象で、自我を認識するきっかけになった。あー、わかるわかる。上手いこと表現するよな。

クライマックスはハイスピードのバトルが展開されて、ロボットアニメとしての見応え十分。







コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ロッキーVSドラゴ ROCKY IV

2022-08-27 | 映画(ら行)


◼️「ロッキーVSドラゴ ROCKY IV/Rocky IV:Rocky vs Dorago」(2021年・アメリカ)

監督=シルベスター・スタローン
主演=シルベスター・スタローン ドルフ・ラングレン カール・ウェザース タリア・シャイア

「ロッキー4」本編に使われたシーンやカット、台詞にシルベスター・スタローンは不満があった。コロナ禍でできた時間で再構築に挑んだ作品。本国では2021年に限定公開され、配信なしとの触れ込みで日本では劇場公開となった。

「ロッキー4」は初公開時に、熊本市の電気館で観た。あの頃、米国国威高揚映画だの、レーガン大統領が賛辞を送っただの、プロパガンダ映画だの散々言われていたのを覚えている。そう受け取られる描写が入ったのも、きっと時代の空気だったのだろう。

人間ドラマ重視で観るならば、圧倒的に「ロッキーVSドラゴ」が優れている。「ロッキー4」は、とにかく"東対西、国対国"の話に持っていこうとする流れが明らかにある。国旗に彩られたグローブが激突するオープニングに、なんて挑発的!とドン引きしたのを覚えている。エキシビジョンマッチに参戦したいと言い出すアポロに、ロッキーは「自分自身との戦いじゃないのか」と言うが、オリジナルだと「ソビエトに思い知らせてやらないと」めいた台詞が目立つ。

試合前の控室でもそんな事を言ってるのだが、今回の再編集ではアポロのそうした対立をあおる台詞は記者会見シーンに絞られている。それだけにリングに向かう前に「試合が終わればわかるさ」とのアポロのひと言は、自分のファイターとしての生き様や考えが理解できるさ、と受け取ることができる。こんなに印象が変わるとは。ドラゴの妻ブリジット・ニールセンの台詞がかなりカットされていることも同様。

また、この二つの試合に向けられる登場人物それぞれの思いが、再編集版では色濃く出ている。ロッキーがドラゴ戦を決心するまでの追加シーンもいい。特にアポロの葬儀シーンは別アングルから撮られた全く違う台詞になっており、オリジナルと違ってロッキーは嗚咽を抑えられない。また、アポロのトレーナー役トニー・バートンの弔辞が加わっている。これがロシアでトレーニングを始める場面でのロッキーとの会話への前置きになっているから、「お前が意志を受け継ぐ」との言葉がズシリと重い。

オリジナルに出てくるロボットは、潔くスパッとカット。一方で、No Easy Way Outが流れるほぼMTV的な演出はそのまま。ラストにビル・コンティのオーケストラスコアが少しだけ付け加えられているのと、ロッキーたちが試合会場を去る後ろ姿が付け加えられたのはいい余韻が感じられた。

この映画のキーワード、Changeが強く心に残る。オリジナルでは対ソビエト色が濃厚だったので、いい事言ってるよな!と思ったけれど薄味に感じられた。アポロとの会話でもChangeがキーワードだったとも気付かされる。ウクライナ侵攻があって製作された映画ではないけれど、「2000万人が殺し合うよりマシだ!」のメッセージが今心に響く。映画館で観られてよかった。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

流浪の月

2022-06-20 | 映画(ら行)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ローマの休日

2022-06-05 | 映画(ら行)

◼️「ローマの休日/Roman Holiday」(1953年・アメリカ)

監督=ウィリアム・ワイラー
主演=オードリー・ヘプバーン グレゴリー・ペック エディ・アルバート

ほぼわたくし事です。ご了承を。

映画に夢中になり始めた中学生の頃。同じクラスで生徒会長だった映画好きのW君と仲良くなった。僕らは世間が名作と呼ぶものを片っ端から観てやる!と、意欲に燃えていた。そんな折、地元の映画館がクラシック二本立てを500円で上映し始めた。僕らはまずはここからだと心に決めて映画館へ。「ローマの休日」と「ロミオとジュリエット」の二本立て。とても男二人で観る映画ではないww。ともかく、映画にますますのめり込むきっかけとなった。気づくとオードリー主演作は、大部分を映画館で観ている

2022年5月、早見沙織(「俺妹」のあやせが好き)、浪川大輔(「ヴァイオレット…」のギルベルト少佐が好き)の新録吹替版が、金曜ロードショーで放送されたのでウン十年ぶりに鑑賞。靴の場面がカットされてるのが残念。あそこはキャラクターが伝わるいい場面なのにもったいない!キャメロン・クロウ監督が「エリザベスタウン」で引用してるし、あの場面に思い入れがある人多いことだろう。でも今回のような放送で映画の楽しさが若い人に伝わるといいな。

初めて観た時はオードリーに見惚れながらも、王女様に振り回されるグレゴリー・ペックを中心に観ていた。今観ると逃げ出した王女の気持ちや、自分の役割を果たすために戻った気高さに感激する。オードリーがオスカーを獲得したのも納得。彼女を利用してスクープ記事を書こうとしたのに断念するジョーの優しさ。誠実そうなグレゴリー・ペックのパブリックイメージがあってこそ伝わった気もする。エディ・アルバートも含めてキャストが見事なこと。美容室の場面も、黒服の秘密警察の一団登場も、好きな場面しかない。

そして無言のラストシーンで胸がいっぱいになる。この間をじれったいなんて思わないで。黙って歩き出すまでの彼の気持ちを考えたら、あの場面は観ている僕らにとっても名残惜しい場面。何度も観てるはずなんだけど、ええ歳になった自分、キスシーンから先をウルウルしながら観ていた。でも写真渡すところで声あげて笑ってしまう。

2004年に「オードリー・ヘプバーン展」と題した展示を観に行った。「麗しのサブリナ」の白いドレス、「ティファニーで朝食を」の黒いドレスをこれかぁーと感慨深く眺めたけれど、「ローマの休日」で使われたベスパが展示されててちょっと感激。

父の机をあさっていたら古い映画の半券やチラシが大量に出てきた。その中に「ローマの休日」初公開時の上映スケジュールが記載されたものが。画像アップしときますね。*クリックすると拡大します。

別のチラシには「ローマの休日」にわざわざ赤鉛筆で丸つけていた。*クリックすると拡大します。

待てよ。まだ親父が独身の頃だよな。誰と一緒に行ったのだろう。妹が母に尋ねた。
「私じゃないわよ」

そしてその父の子である僕は、新婚旅行でイタリアに行くことになる。ローマの行く先々でガイドさんが黙ったら喋る客と化した(恥)。
「ここでブルース・リーとチャック・ノリスが…」
「ここでモンゴメリー・クリフトが…」
「ここでアニタ・エクバーグが…」
少しは黙ってろ、オレ(心の声)。
ところが「ローマの休日」ゆかりのスペイン広場と真実の口を目の前にして、感激して何も言えなくなったのでした😭。


コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする