Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

007/サンダーボール作戦

2023-01-03 | 映画(た行)

◼️「007/サンダーボール作戦/Thunderball」(1965年・イギリス)

監督=テレンス・ヤング
主演=ショーン・コネリー アドルフォ・チェリ クローディーヌ・オージェ 

僕に映画を仕込んだ親父殿と叔父は、007映画が大好き。大人たちがボンドガールをめぐってこんな会話をしていた。
「兄貴は誰が一番?」
「そりゃタチアナ・ロマノヴァやろ」
「「ロシアより愛をこめて」か。いいね」
その会話に少年は介入した。アメリカ映画以外の渋いやつに詳しい叔父の意見に興味があったのだ。
「おいちゃんは誰が好きなん?」
よくぞ聞いてくれたという顔をした叔父は
「ドミノ」
と答えた。「サンダーボール作戦」である。

「サンダーボール作戦」を観たのはTBS系の「月曜ロードショー」の放送だった。僕が初めて観た007映画である。改めて観て思う。こんなアダルトな雰囲気の映画だったっけ?。親はよく笑って観せてくれたよな(汗)。ガラス越しに絡みあったり、ミンクの毛皮で愛撫したりの保養施設の場面は、僕が観たテレビ放送版ではカットされていた。それを抜きにしても、悪役女性フィオナとのベッドシーンや会話はお子様には刺激強いし、叔父さんが大好きなクローディーヌ・オージェは水着姿が大半を占める。フィオナが身支度をする場面で、背中のジッパーをボンドに頼む場面。
「こいつはいつやってもいいもんだ」
(吹替版育ちなもので😅)
って粋な台詞。実生活でつい使ってしまったことありまーす(恥)。

それにしてもここまでの3作品とはスケールが違う。スパイの活躍は国際レベルの危機を救うものだ、という厳しさと重大さが伝わってくる。北大西洋条約機構(NATO)を脅迫するスペクターの企みもデカいけれど、これだけの水中撮影をやって一本の映画にするにはかなりの期間と工夫が必要だったはず。撮影の規模が違う。クライマックスの水中戦は、巧みな編集でテンポ良くしかも何が起きているのかきちんと伝わる。ゆったりとした動きだし、ダイビングマスクで表情もわかりにくいはずなのに、緊張感も伝わってくる。一方で、次に何が起こるかわからない水中シーンは、ジョン・バリーの劇伴はどこか不安定な二拍三連符のメロディが続き、緊張感を高めてくれる。プロの仕事が積み重なった映画。

ただスパイアクションのスピーディな展開を期待するとじれったく感じる。ボンドが指令を受けるまでが長いし、なかなか事態は進展しない。そしてボンドが真相を報告することができたのはタイムリミットもギリギリ。観ているこっちまで焦らされる。

話は変わるが、「月曜ロードショー」での荻昌弘氏の解説が大好きだった。見どころを伝えるだけじゃなく、期待をあおるだけじゃなく、映画の良さや作者の意図を考える手助けをしてくれる解説だった。007映画を放送する回はとてもウキウキしてるように見えた。きっと、映画は自分で感想を噛みしめるのもいいけれど、多くの人と一緒に楽しめるものだと伝えてくれていたような気がするのだ。僕が大学4年の夏。荻昌弘氏が亡くなった。追悼の文言が「月曜ロードショー」の本編終了後に映し出された。「007/サンダーボール作戦」が放送された日だった。







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