忘却への扉

 日記? 気づいたこと 何気ないひとこま 明日への伝言 願い 子供たちに 孫たちに そしてあなたに・・ 

公助のほころびをよそに

2017-05-05 | 共に

 【 地 軸 】 2017/4/30 地方紙1面下段コラムより

[ 「君は何も悪くない」。食糧支給所で、空腹のあまり缶詰を開けて食べてしまったシングルマザー。彼女を励まし、その尊厳を救ったダニエルの言葉に胸が詰まった。
 ▲英国映画「わたしは、ダニエル・ブレイク」を松山で見た。病で働けず国の援助を受けようとした59歳の大工が、行政の理不尽なたらい回しに傷つけられ、困窮していく。それでも、他者に手を差し伸べ、懸命に支え合い、静かに叫ぶ。「俺は番号じゃない。一人の市民だ」と。
 ▲80歳のケン・ローチ監督の「引退撤回作品」の原動力は、国家への怒り。「官僚主義が非効率なのは庶民に無力感を与えるため」「貧困の原因は自己責任だと追い詰めるんです」。言っても無駄と諦めてはいけない、誰かのためにノーを、と叱咤された気がした。
 ▲日本でも6人に1人、シングルマザーの半数が相対的貧困。最後の安全網の生活保護も、行政の冷たい「水際作戦」がやまない。公助のほころびをよそに、自助や自己責任ばかりが強調されて、社会は分断されつつある。
 ▲映画では、ダニエルの不慣れなパソコン作業を手伝ってくれたのも「何かできることは」と声掛けてくれたのも皆貧しい人々だった。「共助」は行政の下請けではなく、支える側、支えられる側という行政の線引きを越えて生きるために必要な力。
 ▲明日は世界の労働者の連帯の日「メーデー」。「私も、ダニエル・ブレイク」と、連帯を胸につぶやく。]

 ( 忘却への扉 ) 政府の禁止で中断され戦後46年に復活したメーデー、この村でも労働者たちが赤旗を振る姿が見られた。労働組合が民主的に運営されていた会社には、寮があり定時制に通えると、遠く離れた村からも中学を卒業したばかりの主に女子が就職した。
 だが、争議への警戒心や、会社の内情隠し。労働者が仲良くなることを嫌い、組合つぶしを実行した会社も幾つかあった。昔も今も変わらない部分だ。
 憲法の真髄は「個人の尊重、個人の尊厳」との言葉を本で読んだことがある。安倍政権になって急激に憲法に反する国家主義が進み、個人が切り捨てられる危機感が強まる。

コメント
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