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【適切な「ドル円」は反比例で算出】円安:適切な為替水準を議論すべき時⑤

2014-01-19 00:01:02 | 日本

(前回からの続き)

 「ドル」はいわずと知れた基軸通貨。では基軸通貨とは何か、といえば、石油を買うことができる通貨、と言い換えることができると思います。だからドルはいわば「石油引換券」

 そのドルですが、2008年のリーマン・ショック以降の米FRBによる量的緩和策(QE)により、石油産出量の伸び率を大きく超える勢いで増刷されています。そしてアメリカが世界最大の経常赤字国であることも、さらなるドルの発行を予感させます。借金相手国(中国・日本・産油国など)に対して、ドルを刷ることによってドル建ての借金の返済を図ろうとするからです。

 かくしてドル=石油引換券は今後も増え続ける―――ということは、ドルは必然的に石油に対して減価する、つまりドル建ての石油価格は上昇していかざるを得ない―――そんな気がするわけです。

 で、ドルよりも「弱い」通貨を持つ国々は、ドルにお付き合いをさせられることになります。つまり上記の事情でドルが増えれば、それに「比例」するかたちで自国通貨も増えてしまい、(しばしばドル建ての石油価格以上に)自国建ての石油価格が上がってしまう―――アメリカ以上に激しい石油価格の値上がりに国民が苦しめられる、ということです(まあアメリカ国民もこれ[ガソリン代の上昇等]に苦しめられているわけですが・・・)。これは、不安定な政情が続くエジプトや、QE縮小観測等にともなう外資流出に見舞われているインドブラジルなどの新興国が直面している哀しい現実です・・・。

 これに対し、ドルよりも「強い」通貨である「円」を持つ日本は、先述のとおり、「適切な円安を議論」できる、つまり円建て石油価格の値上がりを回避するために円の対ドルレートを自力で調整できるわけです(繰り返しになりますが、これはとても幸せなことだと思います)。これに関し、現時点での円安の許容ラインは「1ドル=87円」くらい、という見方を本稿②で示してみました。

 でもこれはあくまでも「現時点」で、ということ。ドル建ての石油価格が変動すれば、この許容範囲もまた上下します。なので、円安限界ラインとなる対ドルレートは「わが国の実体経済が耐えられる円建て石油価格/その時点のドル建て石油価格」で算出するのがよろしいのではないかと思っています。

 具体的な数字を入れてみると・・・かりに本稿②で述べた「8496円/バーレル」が現時点での円建て石油価格の上限ライン(これ以上になったらトータルの日本経済に悪影響が及ぶとされるライン)だとします。この場合、ドル建て石油価格が1バーレル100ドルのときの円安許容レートは8496円/100=約85円になるし、同90ドルのときは8496円/90=約94円、などとなります。つまり「適切な円安」とされるギリギリのラインを「反比例」で求める、ということです。

 このように「ドル建て石油価格×ドル円レート=固定(わが国の実体経済が耐えられる円建て石油価格)」という反比例の式から「適切な」為替レートをはじき出す―――こうすることでわたしたちは、名目レートに基づく「1ドル100円は円安か円高か」などといった表面的な議論を超えた、もっと日本経済の実体に即した「適切な円安の議論」をすることができる―――そう考えています。

(続く)


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