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【結局バブル頼み?】「モノ作り」を忘れたヨーロッパのたそがれ②

2013-05-09 00:02:26 | ヨーロッパ

(前回からの続き)

 さて、欧州17カ国で構成される「ユーロ圏」はどうでしょうか。

 かつては数多くあった域内の炭田や鉄鉱山のほとんどが閉鎖されてしまった現在、ユーロ圏が「鉱業立国」としてやっていけるわけもなく、したがって、もっと豊かになるか、少なくともいまの生活レベルを維持できるほどの経済状態を保つには、ユーロ圏もまたわが国などのように製造業で稼いでいくべきでしょう。そもそもさまざまな民族・言語・文化などの違いを超越して統一の経済圏を作ろうとしたのは、そうすることによってわが国やアメリカ、アジア諸国などにひけをとらない「モノ作り」産業を再興しようという狙いもあったものと思われます。

 しかし、ユーロ圏で国際競争力のある製造業の基盤を保てたのは実際にはドイツだけ、といってもいいくらいです。その他のフランス、イタリア、スペインといったユーロ圏主要国は、ユーロ発足以降、むしろ製造業の国際競争力を落としています。経常収支の赤字はともかく(実際、3カ国ともここ数年間は赤字)、得意なはずの工業製品別の貿易収支でも赤字となっている分野が増えている状況です。たとえば「機械類・輸送用機器」をみると、ドイツは1500億ユーロほどの黒字ですが、フランスやスペインなどは赤字となっています(2010年;経産省データより)。仏西両国、とりわけフランスの製造業の柱である自動車産業の衰退ぶりが推察されます。

 仏・伊・西といった主要国ですらこんな有様なのに、すでにEUなどの国際機関から資金援助を受けているギリシャ、アイルランド、ポルトガル、そして銀行危機が顕在化したスロベニアや、先日EU・IMFから100億ユーロもの巨額の支援を受けることになったキプロスなどのユーロ圏の周辺国に、貿易黒字をもたらすほどの「モノ作り産業」の育成など、(たいへん失礼ながら)できるわけはないでしょう。元来、これらの国々では農業、水産業、観光業などがメインだったわけで、それはそれで立派な産業ではあるけれど、ユーロ加入以降に重ねた「ぜいたく」のツケを払うには、これらの産業だけではまったく力不足ということになります。

 で、「製造業立国」になり難いこれらユーロ周辺国は、今後どうするべきか・・・。

 緊縮財政の厳格な実行は当然のこととして、あとは国有資産の売却などが考えられます。具体的には電気、ガス、通信などの公益企業の民営化といったあたりでしょうか。もっともこれらの引き受け手は最終的には外資になる可能性もありそうです。それにしてもライフラインを外資にすら売らざるを得ないというのは、いかに資金繰りが厳しいとはいえ、国家の安全保障の観点からはリスクが大きすぎるような気がしますが・・・。

 それでもこうした民営化は、国家資産を売り払ってしまったらそれで終わり。製造業はダメ、第一次産業や観光業だけでは力不足、資産売却は一回きりの打ち上げ花火・・・で、切羽詰ったユーロ圏周辺国、そしてスペインのような一部のユーロ中核国までもが当てにするのが、結局は「不動産バブルなのでしょう。

(続く)


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