(前回からの続き)
前回、わが国の憲政史上、首相在任期間が最長となった安倍晋三氏と時を同じくしてそのメインの政策「アベノミクス」(≒円安誘導目的の金融政策「異次元緩和」)を主導したのは日銀の黒田東彦総裁だと綴りました。ということは経済の「マイナス成長王」として世界の記録と記憶に残る(?)のは安倍氏に加えて黒田氏も、ということになりそうです(?)。というより黒田氏の場合は「キングメーカー」(安倍氏をマイナス成長王に押し上げた方)であり、ご当人は「金融政策で一国の経済をもっとも大きくマイナス成長させたセントラルバンカー」として中銀史にその名を刻まれることになるような・・・
・・・って実際にそうなるでしょう、1兆数千億ドルですよ黒田氏がリードしてもたらされたマイナス経済成長幅は。そして本邦GDP(名目)の成長率・・・ではなく減少率は、戦後ピークの2012年(6.20兆ドル)から2015年(4.39兆ドル)でマイナス29.2%と、まさに経済恐慌時に匹敵するほどの激墜ちぶりです。ちなみに第二次世界大戦前のアメリカの恐慌(1929年~30年代にかけて)では恐慌の底に当たる1933年に1919年から45%減少しました。まあアベノミクスはそこまではいかないものの、これと十分に比較できるほど驚異的なマイナス成長率を延々と7年間もたたき出し続けています。
加えて黒田総裁らがスゴいのは、この日本経済の巨大マイナスを自身らが演出したことを非常に前向きに捉えているフシが見受けられること。そのあたりは日ごろの発言、たとえば、こちらの記事に書いたように、直近のGDPボトムとなった上記2015年に向けて円安と輸入インフレが進行していた頃を振り返り、2016年7月の会見での「2014年の夏ごろまでは順調だった」との発言などからも窺えます。ようするにこれ、円安誘導が順調だった、つまり結果としての日本のGDP激減はポジティブだ、と信じているようなもの・・・
その黒田氏の総裁任期は2023年春まで。ということは同氏の考え方が180度変わらなければ、日本経済は短くともあと3年以上!にわたって本来から1兆ドルもの経済力を失われた状態を続けることになるのでしょう・・・か? そして安倍首相もまた黒田総裁と二人三脚でこの歴史的な経済縮小策アベノミクスを続けることになるのでしょうか。まあ安倍氏の場合は政治家だから、その間の選挙や国会運営等の状況では退任もあり得ますが、他方で安倍氏を脅かすべき野党等がもっとも問題にしているのは上記アベノミクスのGDPマイナス誘導ぶり・・・などではなく「桜を見る会」みたいなので、「安倍一強」そしてアベノミクスはびくともしないのかも。よって心身の健康さえ維持できれば安倍氏もあと3年くらいは首相の座に留まることも不可能ではなさそうです・・・?