(前回からの続き)
以前から何度も指摘しているように、アメリカは目下の資産バブルの崩壊に耐えられない―――強烈な資産デフレ(株、ジャンク債、不動産などなどのリスク資産価額の大暴落)により経営危機(≒巨額の債務超過)に瀕する大手金融機関を救済するための数千億~兆ドル単位(!?)もの財政資金を工面することができない―――ため、インフレ政策を続けるしかないでしょう。具体的には、FRB(アメリカの中銀)が現在は停止しているQE(量的緩和策)を再開し、米国債はもちろん、不動産担保証券等のリスク度の高い債券などもじゃんじゃん購入して、ドルを市中に吐き出しまくる、というものです。こうして資産価額を下支えし、米銀等が保有する債権の不良化を防止することで、米金融システムの破綻を免れようというのが、FRBの絶対的なミッションとなるでしょう。先日のFOMC(連邦公開市場委員会:FRBの金融政策決定会合)でFRBは、5月からバランスシートの縮小ペースを緩め、9月末には停止(!?)する方針を決めましたが、これはまさに次期QEに向けた第一歩といえそうです・・・って、それしかないでしょ、どう考えても・・・(?)
・・・といった金融環境のもと、一般の米国民の暮らし向きはどうなるかといえば・・・当然ながら、さらなるインフレで劣化は避けられないでしょう。ドルが大量に散布されるということは、その単位当たりの価値が一段と下がることを意味するから、ドル建てで取引される石油や小麦等の価格は上昇する可能性が高くなります。それは多くの人々の日々の生計を一段と圧迫することでしょう。そして不動産価格や賃貸料なども同じように上がり、マイホーム実現の夢が遠のく・・・ばかりか、いま住んでいる賃貸住宅の家賃も値上げされ、その支払いまで難しくなるようなケースが増えるような気がします・・・
これらと連動して上記ドル安は、アメリカの輸入物価を引き上げるため、米国民は中国製の日用雑貨品や日本やドイツ等からの輸入自動車等を買うのにドルを余計に払わないとならなくなります。先述のようにアメリカは、いま輸入に頼っている外国産品の多くを輸入代替することが難しい(モノによっては、不可能な)ため、このドル安輸入インフレを甘受せざるを得ないでしょう。まあ自動車とかは輸入高級車の購入を断念して安い(けれど顧客信頼度が・・・の?)アメ車で我慢するという選択があり得るかもしれませんが、もっと生活に密着した身近な商品などは中国産以外の選択肢はない(?)でしょうから・・・インフレが激化するにつれて同国輸入品に対する関税措置に対する反感が強まり、結局、ドナルド・トランプ政権はこの撤廃に追い込まれ、「米中貿易戦争の敗者はアメリカに決定!」みたいなプライドを傷つけられるような(?)言われ方を内外からされる・・・可能性も十分あると予想しています(?)。