Straphangers’ Room2022

旧Straphangers' Eyeや習志野原の掲示板の管理人の書きなぐりです

誰得のタイ国鉄さよならファランポーンの長距離列車情報

2023-01-19 22:39:46 | 交通
1月19日、タイ国鉄の首都バンコクの中央駅であるファランポーン駅から長距離列車が消えました。


(夜のファランポーン)

若干の移動(当初はやや北側だった)はあったとはいえ、19世紀末の鉄道開業当初からの駅であり(開業日である3月26日が鉄道記念日としてSL列車運行日となっている)、ドームを持つ今の姿になってからも100年超の歴史を誇る名実ともにタイ国鉄の「中央駅」です。


(ドームに光差す)

バンスーへの移転が本決まりになりあとは改正の日を待つだけとなった2021年晩秋、都心からまだ離れているバンスーは地下鉄などへの乗り換えが必須という利便性低下もさることながら、ファランポーン駅の解体、再開発が目的という噂が流れて、ファランポーン駅を救え、というムーブメントが起こり、政府は国鉄に対しアセスのやり直しを命じ、予定直前の土壇場で移転が延期となった経緯があります。


(バンスー機関区の「救え」キャンペーンの横断幕)

東本線からのクルンテープ・アピワット中央駅(バンスー中央駅(Bang Sue Grand Station)だったが現国王が下賜した名称に改称)へのアクセス問題や通勤輸送対応を踏まえ、長距離列車(快速以上の優等列車)限定の移転で、ファランポーン駅と発着列車は普通列車と東本線特快、観光列車の全便を残すということで妥結し、2023年1月19日に長距離列車移転の日を迎え、タイ国鉄は1897年3月の開業以来126年弱にして大きな節目を迎えました。


(レッドラインソフトオープン期間だけの名称でした)

移転当日の1月19日は午後にクルンテープ中央駅を発車する列車から(定期列車は南本線快速171列車スンガイコーロック行きから=特急37列車とならぶタイ国鉄最長距離列車)運転を開始して、午前中発車の最後となる北本線の気動車特急7列車チェンマイ行きはファランポーン発車の最後の優等列車となりました。定期列車としては特急3本、急行2本、快速2本がファランポーンを後にしているはずです。


(ファランポーンで発車を待つ快速171列車)


(チェンマイ行き特急7列車)

タイ国鉄と言えば旧型客車をはじめとする新旧種々雑多な編成の長距離列車が魅力で、それを最大限味わえるのが夜行列車です。
1月19日午前中の発車は総て昼行であり快速2本以外は気動車列車と趣に欠けるわけで、「最後のファランポーン」のクライマックスは前夜の1月18日に各地に向けて発車する夜行列車群でした。(1月19日朝から昼にかけて到着する夜行列車は総てファランポーン着のはずですが、ムードは出発のシーンに勝るものがないので)


(ドームの下に新型特急寝台)

クルンテープ中央駅はチケットを持たない見送りや出迎えの入構が出来ないというアナウンスがなされており、今までのようにフラッと構内に入り、長距離列車が並ぶさまを見て旅情を感じる、といった「列車浴」が出来なくなりました。通勤列車を中心とした普通列車や観光列車は残りますが、普通列車は編成が短い、3等座席車だけ、とか編成の趣に欠けるのと、18時台が最終なので夜更けの発車といったシーンは過去のものとなりました。

タイ国鉄の虎の子である中国中車製の「新型寝台特急」も登場から7年近く経ちますが、その近代的な車体も重厚なファランポーン駅に馴染んでいましたね。JR西日本から譲渡されたブルートレインも臨時列車や多客期の増結で顔を出していましたが、赤系の塗装になってからはやや浮いていました。


(赤系塗装になった24系。チェンマイ行き臨時特急5列車)


(青系塗装時代。カンタン行き快速167列車)

夕刻以降の夜行列車の発車時間帯になると、ファランポーン駅では「新型寝台特急」の黄色の妻面や寝台車(一部の快速を除き通常は上り方に連結)のオレンジ色の妻面を向けて停車している各方面への夜行列車が並んでおり、扛上されていない地面レベルのホームからは見上げるような迫力ということもあり、重厚さがさらに際立っていました。

ホーム先端側に回るとドームも半ばで消え、番線によっては上屋も無くなったオープンエアの空間になりますが、はるか後方にドームを従えて無骨な電気式DLに牽引された長大編成が発車を待っていました。そして発車時刻になるとロコの騒音の後、静寂のなか客車がジョイント音を刻みながら走り去っていく、日本では忘れられた光景が見られました。


(ホーム端部はこんな感じ)

発車シーンは普通列車でも見られますが、優等車両で明るい時間帯であれば駅員と車掌がともに緑旗を振って出発し、日が傾くとフラッシュするストロボライトをお互いに振りながら出発していました。これはどの駅でも見られるシーンですが、ファランポーン駅のそれはさすがに絵になりましたね。


(緑旗を振りあって発車するハジャイ行き特急31列車)

こうした思い出を残して、今日、ファランポーン駅から長距離列車が去りました。
同様にバンスー駅(クルンテープ中央駅)までの間にあるサムセン駅からも優等列車が消え、北本線側はレッドライン併設の新線経由に変わることから、地上旧線のバンケーン、ラクシ、ドンムアンの各駅からは列車の発着そのものが消えました。(ドンムアン駅のみ新線側にホームあり)


(サムセン駅)


(ドンムアン駅)

暫定運行のはずのファランポーン発バンスー旧駅経由でレッドライン経由となるハイブリッド運行の北本線、東北本線の普通列車に乗ってみたいのですが、いつの日になるかですね。最終的には全列車クルンテープ中央駅発着になるはずですから。(ファランポーン駅発着が残るにしても、南側のアプローチ線を完成させて経由させるはず)



稀代の詐欺師とお先棒を担ぐ連中

2023-01-19 20:58:07 | 交通
高速道路のETC深夜割引、各種割引の老舗であり、休日割引と並んで「最後の砦」でしたが、遂に改悪されることになりそうです。
近年、本線料金所手前の路肩やSA、PAでの大型車が時間調整で並んでいるというのをメディアが間歇的に報じていましたが、満を持した格好での国交省の方針打ち出しです。本線上にセンサーをつけて、深夜割引時間帯の走行距離(区間)に応じた割引しかしないとのことで、日中目いっぱい走って0時1分に流出したら全区間深夜割引、という利用が出来なくなります。

確かにセコイ手口ではありますが、一方で20年近く続いてきたルールを今更変えるというのは、ただの「値上げ」です。料金徴収をさらに50年延長して2115年まで有料とする、という方針変更も報じられましたが、今回の基本割引の改悪と、値上げの総仕上げです。休日割引も利用の分散を図るという理由で割引対象日を振り替えるのではなく、単純に割引適用をしない、という改悪をCovid19による移動抑制にかこつけた実施に味を占めて恒常化しており、割引の改悪、将来の無料化の頓挫、さらに「高い方に合わせる」大都市圏での改悪と、昨今の物価高もびっくりの「値上げ」が続いています。

いよいよもって道路関係4公団の分割民営化でユーザーは値下げになる、と大見えを切った推進委、とりわけ委員長の元都知事は全国民を欺いた詐欺師であり、万死に値します。そして近年のメディアの報道は明らかに深夜割引にメスを入れたい国交省や高速道路会社の意向を汲んだ提灯記事であり、こういう「癒着」を露骨にしていて何が社会の木鐸か。恥を知れと言いたいです。まあ道路特定財源の国によるネコババをもろ手を挙げて歓迎してきたような「ゴミ」ですから、これくらいはカエルの面にしょんべんなんでしょうが、それにしてもさすが「特権階級」ですね、42%の値上げですからね、それが当然という神経ですから。(割引は100×0.7=70の30%引きだが、無割引に戻すのは30÷70=0.42の42%上げになる)

ちなみにこういう時に必ずと言っていいほど「それは割引価格で定価(あるべき数字)に戻るだけ」とか抜かす擁護が出てきますが、消費者庁や公取が小売りでの「冷凍食品X割引」といった宣伝につき、それが日常的な販売価格になっている場合は「X割引」というのは事実に反する、と排除命令を出しており、深夜の利用においては「3割引」が「定価」というところからスタートできないのはよほどのボンクラかであり、そうでなければ高速道路会社や国交省の意を汲んだ為にする意見に過ぎません。

まあ、大規模修繕は民営化のFSから外し(あわよくば国費負担)、半永久的に料金を徴収し、割引は次々削減と、民営化された高速道路会社はますます肥え太るわけです。その「作られた」ピカピカの会社の株式公開に与ろうとする勢力もこうした対応に賛同していることは想像に難くなく、「おともだち」が濡れ手に粟で肥え太るさもしい社会には反吐が出ます。「ぼくのだいすきなじぇいあーる」系がJRが出すのは舌でも嫌だと言わんばかりの自治体へのおねだりを正当化するのも、それこそJR株でウマー、という勢力でなければいいんですけどね。

余談ですが、2001年のETC全国展開を機にETCを導入した「高速道路利用車のETC比率0.9%」「ETCモーゼ」の時代からのユーザーですから、どういう割引がどういう名目で導入され、そしてどういう経緯、お題目で消えていったか、総てをリアルタイムで見ているユーザーですからね。騙そうったってそうはいきません。



対照的な取り扱い

2023-01-19 20:55:42 | 時事
福岡・博多で起きたストーカー殺人、またもや悲劇となったわけで、つきまといの禁止命令とか制度はあっても実効性が無いというか、エスカレートした犯罪とそれによる取り返しがつかない結果を防止できないところに根本的な問題があるように見えます。

そもそも「禁止命令」であって、違反して初めて刑事罰(懲役刑及び罰金)となるわけで、その時点では拘束どころか監視、護衛もなく、刑事罰を覚悟した確信犯であれば何でもできる状態です。この問題は何度となく発生する「ストーカー殺人」でも指摘されていますが、放置されている格好で、実効性の問題というよりも最悪の結果を防げていないという致命的な問題をどうして放置しているのか。

「男女の仲」でもありなかなか積極的に介入できない、という理由が出てきそうですが、実際には同じような状況で警察は積極的に介入していますから、より悪質、危険性が高い事例に介入しないというおかしな事態になっています。

おりしも同時期に元プロ棋士がSNSで元妻の名誉を棄損したとして「逮捕」されたのですが、ストーカー行為という物理的なつきまといですら「命令」どまりなのに、SNSの書き込みで「逮捕」とは何ともバランスが悪いですね。ちなみにこの棋士、急にプロ棋士そのものから引退を表明して憶測を呼んでいたのですが、その際に聞こえてきたのが「家庭の問題」、すなわち今回の逮捕の原因となった(元)妻との関係でした。

これ、一方的なストーカー行為と違い、お互いのトラブルであるはずですし(元妻による実子の連れ去り)、元棋士はメンタルヘルスを患うような事態になっているのに、こちらは一方的に逮捕で、一方的なストーカー行為は実質放置されて挙句の果てに殺人と、どう考えてもおかしいでしょう。元棋士の場合も表現は悪いものの、犯罪予告というレベルではなく中傷レベルで逮捕なのかという疑念があるわけで、しかもこれ以前にも名誉棄損で逮捕となっているのもどうなんでしょう。SNSでの名誉棄損で速攻逮捕なら、1回も登院せずに国外にいる暴露系ユーチューバーの某国会議員はどうなのか。当選前から当局は及び腰でしたけどね。

トラブルの当事者間の話ですから、トラブルに関する法的判断次第では元棋士側に分がある結論もあり得るなかでの一方的な逮捕ですし。(その場合は表現は悪くても中傷とされた部分が一片の真実になり得る)
中にはメンタルヘルスを患っているので逮捕という名の保護では、という声もありますが、今の制度上はそんなものはありませんから。自殺するかもしれないから逮捕しました、なんて話が通るんであれば、ハンセン氏病患者や優生保護法による断種被害者への国の所業と同じレベルを肯定していることになります。

禁止命令にしても、どういう状況で発信できるのか。ストーカーというレベルではなく、単に「縁を切りたい」という段階で警察による命令となると、一方的に別れたい側から都合よく使われる懸念があるわけで、本物の「危ない」ストーカーには効き目が無くて、ご都合主義での悪用を防げるかも怪しい、という制度は抜本的な見直しが必要でしょう。