木洩れ日通信

政治・社会・文学等への自分の想いを綴る日記です。

消費税は金持ち優遇、庶民いじめの行き着く果て。

2012年01月01日 | Weblog

消費税増税は本当に必要なのか。
今年最後の新聞の一面には「政府、消費増税案を決定」の見出しが飾った。
信濃毎日新聞のトップは「信大発」がん治療臨床へだったが、朝日新聞はトップだ。
雑誌「週刊金曜日」に、元大蔵官僚で現在経済ジャーナリストの武田知弘氏が「数字が見抜く理不尽ニッポン」と題して、今の日本の税制の不公正を解説している。
「今、億万長者が激増している」と言えば、にわかに信じがたいが、国税庁の統計資料によると、5千万円以上の報酬をもらっている人は1999年には8,000人ちょっとだったのが08年には約2万人に達している。これは給与所得者のみの統計なので、自営業者や配当所得者を含めれば5万人を超えると推測される。
「億万長者が増えれば景気は悪くなる」と武田氏。
理由は単純で、金持ちは収入の一部を消費に回し、残りは貯蓄・投資に回す。
一方、庶民は収入の殆どを消費に回す。
高額所得者が激増したこの10数年、日本の消費は減り貯蓄ばかりが増え続けた。その結果景気は低迷し続けた。
日本経済が一番元気のよかった時代は「一億総中流」と言われ、格差が非常に小さい時代だった。国民全体の収入が増えていて消費が伸び、好景気が続いた。
今政府がしなければならないのは、金持ちからも貧しい庶民からも等しく負担させる消費税を増税することではなく、金持ちからもっと税金をとることである。
「有り余るカネを持つ大企業と金持ち」
この20年、金持ちや大企業に有利な大幅な減税が行われてきた。
今、1,980年代の税制に戻せば税収は2倍ほどに増え、消費税を上げることなく東日本大震災の復興費などは簡単にまかなえる。
1988年、バブル経済崩壊直前、消費税導入前の税制とどこが違うか。
①大企業の税率が大幅に下げられた。
②高額所得者の税率が大幅に下げられた。
③資産家の相続税の税率が大幅に下げられた
④消費税が導入された。
その一方で04年には「配偶者特別控除」が廃止された。「年収一千万円以下の人で配偶者に収入がない場合は税金を割引します」という制度で、子供が小さくて妻が働きに出られない家庭などにとっては大事な制度だった。平均4万から5万円の増税となった。
子供が小さい家庭にこれだけの増税をするなど「少子高齢化」の国がやってはならないこと。
そして07年には定率減税が廃止された。
これは低所得層の負担を減らすために作られた制度で、多い人は20万円以上の減税になっていた。
88年以降、国の税制は金持ち優遇、庶民いじめの税制に変わったのである。
なぜこんなことになったのか。それは金持ちと大企業が政府に「税金を下げろ」と要求し続けたから。
お金持ちの言うことを聞いてくれる政治家に多くの献金をし、当選はもとより、政党内で力を持てるように支援をして、要求実現にこぎつけたのである。
ホント選挙は大事だ。候補者の立ち位置がどこにあるか、よく見抜かなければいけない。
戦後、日本の税制は金持ち・大企業に高い税金をかけてきた。
これはアメリカ=GHQの政策だった。
アメリカは、戦前の日本の軍部が暴走したのは、貧富の格差が激しかったのも理由だと、税制の面から格差解消に努めたのだ。
マネーの暴走を許している今のアメリカからは信じられないことだけど。
戦前の日本は富の殆どが財閥に握られ、産業の収益の多くが財閥に集中していた。
財閥のトップの収入は国民の平均収入の一万倍。しかも所得税は一律8パーセントだったので、格差は開くばかりだった。
戦後の日本は、アメリカの経済学者カール・シャウプが勧告した税制を守り続けていたが、経済大国になった時期、金持ち達は一気に自分達の野望を遂げたのである。
大メディアでこの点に触れるところは皆無といっていい。
こぞって「財政赤字と社会保障のためには消費増税やむなし」の記事ばかり。
「消費税のカラクリ」を解いて、反消費税の論で、孤軍奮闘しているジャーナリストの斉藤貴男氏は各地で講演などして回った体験では「消費税の非民主性をわかってもらうには一時間半はかかる」と言っていた。
それだけごまかし・からくりが巧妙なのだ。

コメント (2)
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