木洩れ日通信

政治・社会・文学等への自分の想いを綴る日記です。

私物化の国、アメリカ

2008年03月23日 | Weblog

『東京大空襲・後編~邂逅』
日本テレビのドラマの後編は3月10日を生き延びた後にも地獄が続いたことを描いていた。
伝染病、戦災孤児、辛うじて生き延びても手足を失ったり、ヤケドの跡が残ったり。
しかも米軍による空襲はこれで終わったのではなく、首都圏ではこの後、東京西多摩地方を、そして横浜を襲う。この空襲で、ドラマでは、東京大空襲を生き延びた朝鮮人の青年が犠牲になる。
最近、ガンのために亡くなった作家の小田実氏は、大阪の軍需工場近くに住んでいたが、日本が降伏することがすでにわかっていたはずの8月14日にも米軍による爆撃があったと言っていた。(もちろん犠牲者がいた)
ドラマのナレーションでは、天皇の玉音放送があった昼まで、米軍による空襲は行われたとあった。

戦争が終わっても、戦争の犠牲は続く。その典型が被爆者。
原爆症の認定を最近まで拒まれてきた入市被爆者に加えて、長崎では大村の病院に運び込まれた被爆者を看護した人にも、被爆者の衣服などに付着した残留放射能によるのではと疑われる原爆後遺症(ガンの発病)があることが明らかになりつつある(NHKクローズアップ現代より)。



イラク開戦5年。
再び、「クローズアップ現代」からだが、今、イラクから帰還した米兵でホームレスになる者が増えていると伝えていた。
まず、イラクでの殺戮への自責と、どこから襲ってくるかわからない自爆テロ(抵抗)への恐怖が、イラクを離れても心の傷となって、帰還兵の心を悩まし、アルコール、ドラッグが手離せなくなり、仕事にも就けず、ホームレス化してしまうのだという。
そして、アメリカ社会のイラク戦争(侵略)に対する冷たい視線が余計に帰還兵の心を刺す。
イラク帰還兵だと就職にも不利だという。精神的に不安定で何をしでかすかわからないと、警戒されているのだろう。
開戦時には70パーセントのアメリカ人が支持したイラクへの侵略。それが今は30パーセントほど。30パーセントもまだいるのかと思うけど。
イラクに行った兵士は志願兵。しかも志願することによって、何とかアメリカ社会の一員として認められようとした下層の若者達だ。
自分達とは関係ないという意識がアメリカ社会を覆う。
東京外語大教授西谷修氏は「どう見るイラク開戦5年」(信毎・3月20日付け)で、
この「戦争」は誰の役に立ったのか、米国にとっては失敗だったのか、たぶん米国というふうに考えないほうがよいのだろう、というのは米国では政治も政府も「民営化」されているからだ。
日本では「民営化」というふうに訳されているが、「プライバタイゼーション」つまり「私物化」のことだ。
副大統領のチェイニーは軍需企業ハリバートンに巨大な市場と利益をもたらした。今でもこの会社が「復興事業」の多くを受注している。つまり「私的」な事業としては「失敗」ではないということだ。と言っている。
経済至上主義による「温暖化」と、戦争という環境破壊による地球の大気候変動は、このままいくと20年ぐらいで、破滅的局面を迎える可能性があると、科学の専門家は警告している。
「地球滅びて、儲けが残る」。実に愚かなことだが、欲の深い人間は、その愚かさに死ぬまで気づかない。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする