東矢憲二の「気づきの経営」

経営コンサルタントとしての長年の経験を活かして、様々な気づきをご紹介します。
毎日読んでいただくと、心がホンワカ・・・

魔法の糸毬

2009-10-05 | 経営の気づき
ノーベル賞作家アナトール・フランスのエッセイに「エピクロスの園」という作品がある。

妖精が少年にある特殊な糸毬(まり)を渡す。その糸毬を引く早さによって、時間のスピードが調整できるのだ。すると、少年は、上手に時間経過を使い分けようとする。

早く大人になりたいと言っては急いで糸を引き、病気になれば、早く治したいと思って糸を強く引く。更に、年老いてくると、老いの苦痛から逃れるために、更に思いっきり糸を引く。

このようにして、少年は、糸毬を貰って4ヶ月と6日目に死んでしまう。

企業経営者の方であれば、この糸毬をどのように使われるであろうか。多分、不況の真っ只中にある今、この糸毬を猛烈なスピードで引こうとされる方が多いのではなかろうか。しかし、それでは、環境変化に対する抵抗力を養うチャンスが失われることになる。


実は、今の時期というのは、経営体質を整える、抵抗力を養う絶好の時期なのである。したがって、魔法の糸毬を手に入れたとしても、時計の針の動きにあわせて糸を引くのが正しい。