火曜日の午前中に腰椎椎間板ヘルニアの患者さんが救急搬入されたが、午後には急性腰痛の43歳男性が救急搬入された。救急当番の別の内科医が診て、整形外科にコンサルトしていた。
2日前にビール樽(20L)を持ち上げた時に、突然腰痛が生じた。前日は腰を曲げられなかったが、歩行はできた。搬入されたその日は、朝から腰痛で起き上がることができず、救急要請していた。
腰椎MRIでは有意な所見はなかった。搬入後にアセトアミノフェン1000mg(アセリオ)を点滴静注した。整形外科医が診ることには症状が軽快していて、NSAIDs(ロキソプロフェン)などが処方されて、1週間後に整形外科外来受診となった。
内科医から整形外科医が椎間板の所見を指摘していたと後で聞いた。椎間板(L4/5)にhigh intensity zone(HIZ)があるという。
HIZは腰痛で見られるという意見と、症状がない人にも見られるので関係ないのではという意見があるようだ。
「ぎっくり腰」は、NHK今日の健康によれば、
急性腰痛、いわゆるぎっくり腰には、主に4つのタイプがあります。まず、筋肉が炎症を起こすタイプ。椎間板ヘルニアのような椎間板が原因のタイプ。脊柱管狭窄症などの変形性脊椎症を代表とする椎間関節が原因のタイプ。そして骨盤を形成する仙腸関節が原因のタイプです。
ぎっくり腰の場合、特に多いのが筋肉性のタイプです。首から腰にかけて、体の表面にある脊柱起立筋を使い過ぎることで負担がかかり、炎症を起こすことがあります。その予防には、体の深部にある腹横筋や多裂筋などのインナーマッスルを使って脊柱起立筋を助け、負担を軽くすることが有効です。
日本整形外科学会の「一般の方へ」では、
いわゆる「ぎっくり腰」は急に起こった強い腰の痛み(腰痛)を指す一般的に用いられている名称(通称)で、病名や診断名ではありません。
何か物を持ち上げようとしたとき、腰をねじるなどの動作をしたときなどに起こることが多いですが、朝起きた直後や何もしないで起こることもあります。
痛みの原因はさまざまで、腰の中の動く部分(関節)や軟骨(椎間板)に許容以上の力がかかってけがしたような状態(捻挫、椎間板損傷)、腰を支える筋肉やすじ(腱、靱帯)などの柔らかい組織(軟部組織)の損傷などが多いと考えられます。
しかし、下肢に痛みやしびれがあったり、力が入らないなどの症状があったりするときには椎間板ヘルニアや中年以上では腰部脊柱管狭窄症などの病気(疾患)の可能性もあります。さらに、がんが転移して弱くなった背骨の骨折(病的骨折)や、ばい菌による背骨や軟骨(椎間板)の化膿など重大な原因が潜んでいることも時にあります。通常ではない強い腰痛のときは整形外科を受診して正しい診断を受け、万が一にも重大な原因に対して手遅れにならないように注意する必要があります。
要は、椎間板ヘルニア・腰部脊柱管狭窄症・骨折(圧迫骨折や転移性骨腫瘍による病的骨折)・化膿性脊椎炎の鑑別が必要です、ということのようだ。