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なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

右心不全

2017年01月11日 | Weblog

 72歳女性が昨年末からの下肢のむくみで内科新患(外部の先生担当)を受診した。労作時の息切もあった。新患担当の先生から、連絡がきたので、コンピュータ画面で画像を確認した。BNPが高値で心不全と思われるということだった。 

 3年前にたまたま受診した時の胸部X線の画像が残っていて、その時は異常がない。今日の胸部X線では心拡大があった。明らかな肺うっ血・水腫・胸水は指摘できない。心電図をみると、洞調律でそれほどの異常はなかった(後で見ると右房負荷・右室肥大傾向ととれなくもない)。

 ちょうど循環器科医がいて、かなりひどいうっ血性心不全の患者さん(91歳女性、初診)が内科医医院から紹介されてきていて、心血管センターのある病院に搬送するところだった。少し待っていれば心エコーで診ますということだった(現在はひとり循環器科状態)。

 室内気で酸素飽和度が80%後半くらいだった。酸素吸入を開始した。聴診すると、ⅳ音が聴取されるが、心雑音はわからなかった(心エコではMRもあった)。両下肺野にcoarse cracklesが少し聴こえた。心不全の原因はなんだろうと考えながら問診すると、若い時から喫煙しているという。現役のスモーカーだった。肺性心が疑われた。

 胸部CTでは気腫性変化はそれほど目立たなかった。肺うっ血・水腫・胸水はない。心エコーをいっしょに見せてもらうと、素人目にも明らかな右室の拡大があり、教科書的なD型の左室が描出された。慢性閉塞性肺疾患・肺性心・肺高血圧症だろうと言う。

 付き添いの夫にもお話して、入院で診ますといわれた。その後、病室で逢うと、帰っちゃいましたという。患者さんは入院拒否だった。専門病院での精査も行く気はないと言っていたそうだ。喫煙も努力しますと答えたそうで、やめる気はないようだ。やむなく利尿薬とサムスカ少量を2日分出して、明後日外来予約にしていた。

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ウイルス性筋炎?スタチン?

2017年01月10日 | Weblog

 昨日(祝日)の日直で、66歳女性が当番医から紹介されてきた。全身が痛いということだった。発症はその前日からで、微熱・嘔気もあった。筋原性酵素が上昇していた。炎症反応は白血球数正常域でCRP1.4と若干の上昇だった。

 脂質異常症で別の医院からスタチンが処方されている。スタチンの副作用の可能性があるが、ここまでひどいのは経験がなかった。CK-MBの若干上昇しているが、心臓由来の症状はなく、心電図・胸部X線・胸部CTで明らかな異常はなかった。バイタルは安定している。入院して経過をみることを勧めたが、その日は家庭の事情でそうしても帰るという(心筋炎の話もした)。夜間悪化した時はすぐ受診して、変わりなくても翌日外来受診することにした。

 その日の夜に倦怠感が強くなったと再受診して、結局入院となった。補液で経過をみることにした。今日再検したが、筋原性酵素はもっと上昇していた。CRPは1.0で血沈は30mm台だった。前日からスタチンは中止している。

 発症が急なので、多発性筋炎ではないと思われたが、抗核抗体・抗ARS抗体を提出した。数日気持ち悪い思いをしながら、経過をみることになりそうだ。ステロイドの投与は可否はどうなのだろう。

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低体温

2017年01月09日 | Weblog

 今日も日直をしていた。90歳男性が低体温で救急搬入された。救急隊到着時は体温30.0℃。おそらく夜間にベット脇に倒れて、そのまま朝まで倒れたままだったらしい。近所の人が気づいて、ベットに戻して布団をかけて、別居の息子さんに連絡した。認知症の妻も隣のベットに寝ているが、気づかなかったのか、単に寝ていると思ったのか、何の行動も起こさなかった。

 ちょうど寺沢秀一先生の「Dr.寺沢流救急診療の極意」を読み直したところだった。第8講義に「低体温・溺水」の項がある。加温輸液と電気毛布と布団乾燥機のような低体温用の器具を使って、体温32℃まで上がった。

 画像検査を行うと、頭部CTは萎縮のみで新規病変はなかった。胸部CTで予想されたように両側肺に重度の肺炎像を認めた。年明けに、電話で息子さんに風邪を引いたと言っていたらしいが、肺炎をきたして進行していた。低酸素血症になっていたのだろう。昨年左大腿骨頸部骨折で人工骨頭置換術を受けているが、身の回りのことはできていた。新たな病気がなければ、急に動けなくなるはずはない。

 体温が32℃になると上肢をうごかすようになったが、まだ発語はなかった。肺炎と低体温の治療を継続するが、はたして軽快するだろうか。

 他には、気管支喘息発作の高齢女性、感染性腸炎の高齢女性が入院した。入院を勧めたウイルス性筋と思われる中年女性やインフルエンザ+気管支肺炎の高齢男性は、入院したくないと言って帰宅してしまった。

 年末年始6日のうち5日出勤して、この3連休は2日連続の出勤して、さすがに疲れた。

(後日記)低体温・両側肺炎の90歳男性は入院後は体温が上がって、38℃の発熱がみられた。翌日の胸部X線で両側肺の浸潤影が広がって、全体に真っ白状態だった。結局入院翌々日の早朝に亡くなった。

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いろいろ来ました

2017年01月08日 | Weblog

 今日は日直で病院に出ている。入院は2名。ひとりは76歳男性で、午前8時に受診した。宿直医(外科医)が検査を提出していて、結果は内科日直で診てもらうようにということだった。内科外来に高血圧症・気管支喘息で通院している。高熱と咳・喘鳴があり、インフルエンザ迅速試験でA型陽性だった。炎症反応上昇もあって、気管支肺炎も併発している。ラピアクタ・セフトリアキソン・デカドロン点滴静注で治療を開始した。

 もうひとりは、3日前に退院したばかりの72歳男性。進行性核上性麻痺で寝たきり状態だった。11月に誤嚥性肺炎で入院した。嚥下障害で経口摂取は無理だった。胃瘻造設となるところだが、食道癌術後で胃管による再建を受けていた。通常の内視鏡的胃瘻造設(PEG)ができないので、外科で腸瘻造設の処置を受けての、経管栄養だった。昨日から発熱・喀痰の増加があり、奥さんが介護タクシーで連れてきた。胸部X線・CTで両側肺の背側に浸潤影を認め、誤嚥性肺炎として入院した。ほぼ院内肺炎と同じなので、抗菌薬はゾシンにした。

 72歳男性が心窩部痛で受診した。50歳代に急性心筋梗塞になり、さらに60歳代で腹部大動脈瘤の破裂で手術を受けているという華々しい既往歴だった。心電図は依然と変わりなかった。炎症反応上昇、血清ビリルビン上昇を含む肝機能障害(胆道系酵素の上昇が目立つ)、、血清アミラーゼ上昇があった。腹部CTで総胆管末端に結石があり、総胆管結石による急性胆管炎・急性膵炎と判断された。当院では胆膵の内視鏡治療はできない。連休の真ん中でどうなるかと思ったが、幸い地域の基幹病院に連絡すると受けてくれた。これは助かった。

 夕方施設入所中の82歳女性が連れてこられた。脳梗塞後遺症・症候性てんかん・嚥下障害に対する胃瘻造設・経管栄養の方だった。胃瘻のチューブが詰まったそうだ。今月中の胃瘻(器具)交換だが、若干早目に詰まってしまった。当直の看護師さんが、処置になれた内科外来の看護師さんだったので、器具を準備してもらって無事交換した。

 今日は内科当番(宿直は外科医)なので、このまま病院に泊まって、明日はまた日直になる。これで1日半の仕事のうち1/3が終わった。

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経営も考えましょう

2017年01月07日 | Weblog

 CPFE(Combined pulmonary fibrosis and emphysema)の79歳男性は、基幹病院呼吸器科に転院を依頼していたが、ベットがないので来週になると連絡がきた。治療を始めていてという指示で、ステロイドパルス(ミニパルス)とプレドニン0.5mg/Kgを開始することになった。その時ついでにといった感じで、別の患者さんの転院依頼の話をされた。

 65歳男性で、6年前から透析導入されていた(IgA腎症からの腎不全)。肺癌(扁平上皮癌)と診断されて、一時放射線療法を受けたが、その後は抗癌剤の適応なしとして経過観察になった。昨年は溢水(全身浮腫)で5回入院したそうだ。肺癌も両側肺に転移してきて、透析通院が困難になった。現在入院中だが、当院転院で最期まで診てほしいという依頼だった。

 透析担当の先生に相談してから返事しますと伝えた。肺癌としての予後は2~3か月の見込みとある。まずDPC病院なので、どういう会計になるのか事務に確認したが、透析の分は別になるそうだ。その後、透析担当医と相談したが、肺癌の緩和ケアもまとめて診てくれるということだった。さっそく地域医療連携室の間でやりとりして、連休明けの転院となった。

 患者さんと家族にとっても、ちょっと良くなると退院になって入退院を繰り返すより入院継続の方がいいと思うが、経営的な問題で損にならないので受けるというのも世知辛い話ではある。いやいや経営は大事だ。主治医になって、透析だけお願いする形になると思ったが、全部お任せになってしまった。

 今日は、jmed「プレイマリケア現場での女性診療」、「状況別に学ぶ内科医・外科医のための精神疾患の診かた」を購入した。精神科コーナーで見つけた、「大人の発達症のための医療系支援のヒント」も購入した。発達障害のわかりやすい本が欲しかったが、これまでなかなかいい本がなかった。DSM-5では、神経発達症群と訳されているため、これまで使用されてきた発達障害を発達症と記載しているそうだ。

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ある患者さんの死

2017年01月06日 | Weblog

 循環器科に通院している89歳男性が発熱で内科外来を受診した。両側肺にスリガラス様陰性と胸水を認めた。炎症反応とBNPの症状もある。心不全も悪化していた。歩行器で少し室内歩行程度のADLで認知症もある。今週末は循環器科不在なので、他院紹介も考えたが、家族と相談して、肺炎+心不全の増悪として当院で治療することにした。悪化したさいも人工呼吸器管理もなじまないと家族に伝えた。何となりそうという見込みだが、どうなるか。

 

 いろいろと訳ありの75歳男性が看護タクシーに連れてこられた(救急要請だと思うが)。低体温で血圧測定できず、意識朦朧として発語もない。救急室に運んだところで心肺停止となった。普通に心肺蘇生術を行ったが、反応はなかった。

 この方は首都圏から当地に引っ越してきた。精神病ではないので、人格障害というべきなのか、奇異な性格だった。自宅はいわゆるゴミ屋敷となり、行政で介入して撤去になった。それだけなら、困った人という地域と行政の問題になるが、れっきとした病気があった。

 重症の食道炎・食道潰瘍でPPI倍量でも改善しなかった。消化器科で内視鏡的食道バルーン拡張術をしたこともある。中下部食道が全周性に狭窄して、びらんがある。何度か入院したが、タケキャブが出てからは何とか維持できるようになった。それでも鉄剤を継続しても、鉄欠乏性貧血は現状維持がやっとで中等度の貧血が続いた。

 消化器科の先生が開業した時に内科に回されてきた。せっかくのタケキャブも中断して悪化した。入院すると、一日中ナースコールで呼び出したり、病棟中を徘徊した。点滴を継続して、経管栄養食を飲んで、ミキサー食を食べることができた。

 その後に、自宅に帰るか施設に入所するかで行政ともめにもめた。やっと他市の施設に入所する時は、何としても自分の車で行くというので、前後を行政の車がはさんで送って行った。

 それから半年以上、外来通院していた。とにかく施設では対応に苦慮していた。よく投げ出さずに面倒を見るものだと感心した。通院は嫌がるので、なだめすかしてやっと連れてくる。

 年末から食事摂取できなかったが、受診しようとしなかった。今日はあまりにひどいのと、抵抗する力もなくなっていて連れてきた。血性消化液を吐いていたそうだが、病院に来てからも吐いた。

 もう縁を切ったという弟さんが、入院するたびに遠方から来ていた。もう何があってもかまいませんと言っていた。それまで散々迷惑をかけてきたのだろう。今日久しぶりに電話して、病状を伝えた。最初は嫌がっていたが、今亡くなるところというと、行きますといってくれた。ある意味病院では有名人で、今日の経緯を知ったスタッフからは、孤独死にならなくてよかったのでは、と言われた。

 

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急性膵炎

2017年01月05日 | Weblog

 救急当番の先生が、内科クリニックから感染性胃腸炎として紹介になった82歳女性を診ていた。血清アミラーゼの上昇があり、腹部CTで膵腫脹・浸出液貯留・腹水(胸水も)を認めた。総胆管・主膵管が拡張していた。高齢女性で胆石性かとも思ったが、アルコール摂取が自称日本酒2合/日ということで、アルコール性らしい。LDH上昇以外は肝機能は正常域だった。

 予後因子からみると、重症相当。当院には集中治療の余裕はない。地域の基幹病院消化器内科で受けてくれて、救急搬送になった。日ごとに悪化していく経過になりそうだ。お正月でふだんよりも飲酒量が多かったということか。

 

 急性膵炎重症度判定基準:予後因子
重症度判定基準(厚生労働省2008 年改訂)
予後因子
1.BE≦-3mEq/L またはショック(収縮期血圧<80mmHg)
2.PaO2≦60mmHg(room air)または呼吸不全(人工呼吸が必要)
3.BUN≧40mg/dl(またはCr≧2.0mg/dl)または乏尿
(輸液後も一日尿量が400ml 以下)
4.LDH≧基準値上限の2 倍
5.血小板数≦10 万/mm3
6.Ca≦7.5mg/dl
7.CRP≧15mg/dl
8.SIRS 診断基準における陽性項目数≧3
9.年齢≧70 歳
SIRS 診断基準項目:(1)体温>38℃ あるいは<36℃
(2)脈拍>90 回/分
(3)呼吸数>20 回/分あるいはPaCO2<32torr
(4)白血球数>12,000/mm3 か<4,000/mm3 または10% 幼若球出現
予後因子は各1 点とする.スコア2 点以下は軽症,3 点以上を重症とする.また,造影
CT Grade≧2 であれば,スコアにかかわらず重症とする.
厚生労働省難治性膵疾患調査班

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呼吸器科もどき?

2017年01月04日 | Weblog

 12月28日に呼吸器科外来担当の先生(外部から出張)から連絡が来た。外来に通院している79歳男性の入院治療をお願いしたいということだった。ともと慢性閉塞性肺疾患で在宅酸素療法(3L/分)を受けている。その日は微熱・呼吸苦で予約日外に受診だった。

 胸部X線・胸部CTをみると、両側上肺野には著明な気腫性変化がある。両側中~下肺野にはスリガラス様陰影が広がっていた。4年前には気腫性変化のみでスリガラス様陰影が多少あるが目立たない。その間は胸部X線だけのフォローなので、進行度合いが不明だが、combined pulmonary fibrosis and emphysema(CPFE)にようだった。喘鳴はなかった。炎症反応は白血球数は正常域で、CRPは4だった。LDHは以前から軽度に上昇していた。

 その日のうちに、外来担当の先生が地域の基幹病院呼吸器科に連絡していて、年末でそちらにはベットもないので、当院で抗菌薬投与で経過をみて、また相談することになっていた。入院後は一時的に良くなったようにもみえたが、その後の経過からみて改善していない。肺線維症に対する治療が必要と判断され、今日再度連絡して、転院で診てもらうことになった。

 1月1日に高熱。呼吸困難で救急搬入された86歳男性は、内科医院に高血圧症と気管支喘息で通院していた。搬入時は両側肺全体にcoarse cracklesが聴取されて、吸引で多量の痰が引けた。胸部CTでみると気管支拡張症を認め、その周囲に浸潤影があった。気管支拡張症+肺炎として入院した。

 頻回の喀痰吸引を継続すると(当初は10分おきだった)、喘鳴も聴取されるようになった。本当に喘息もあるのか?。家族の話では最近浮腫があり、横臥する時は下肢を上げる様にしていたという。以前たまたま受診した際に、BNP測定と胸部CTが施行されていた。比べてみると、今回BNPが有意に上昇している。肺うっ血?ととれなくもない。肺性心なのか?。

 治療は抗菌薬に、ステロイド(デカドロン)・利尿薬(ラシックス少量)で継続していたが、今日は全体的に改善していた。それにしても、気管支拡張症と気管支喘息は両立するのだろうか。

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今年も忙しい

2017年01月03日 | Weblog

 昨日の日直は忙しかった。58歳男性が心肺停止で救急搬入された。急性心筋梗塞で地域の基幹病院循環器科に入院して、その後も心不全で何度か入院した既往がある。糖尿病があり、脳梗塞での入院歴もあるそうだ。自宅で倒れているのを家族が発見して、救急要請した。救急隊が到着して、心肺停止を確認して心肺蘇生が開始された。何度も入院しているその病院は満床で受け入れできないということで、当院で引き受けることにした。その少し前に、慢性硬膜下血種の高齢男性を受けてもらっていたので、お互い様ということになる。

 心肺停止になってすぐに家族が気づいたわけではないことと、要請から救急隊到着までの時間も合わせると、回復は困難と思われた。実際、救急隊の処置にはまったく反応せず、搬入時には瞳孔散大・対光反射なしだった。搬入後も治療を継続したが反応はまったくなかった。家族に事情を説明した後に、救急室での心肺蘇生の状況を見てもらった。処置をやめていいかどうか家族に確認して、死亡を確認した。

 Autopsy imagingを行うと、頭部CTでは陳旧性脳梗塞を認めたが、出血はなかった。胸部CTで両側肺野に肺うっ血・水腫を認めた。胸水貯留はなく、急性の変化だった。急性心筋梗塞再発だったのか、致死的不整脈だったのかはわからない。

 前日夜間からの腹痛・嘔吐(50回以上と)で救急搬入された60歳代女性は、2年前に癒着性腸閉塞で当院外科に入院歴があった。救急隊から連絡が来た時から、腸閉塞再発と判断された。撮影時立位になれるというので、すぐに腹部X線で確認して、外科で診てもらうことにした。

 同じころに30歳代前半男性が、「また憩室炎だと思います」と受診していた。この方は3年前に下行結腸憩室炎を発症して、穿孔による膿瘍形成に至った。当院外科でラパロ下にドレナージ術と回腸瘻形成術を受けた。経過良好で、その半年後に回腸瘻の閉鎖手術を受けている。CTで確認すると確かに下行結腸の憩室炎だった。前回のような明らかな膿瘍形成はないが、通常の憩室炎よりは周囲脂肪織の炎症が目立ち、穿孔・膿瘍形成が危惧された。腸閉塞の女性とこの憩室炎の男性は、いずれも前回入院時はその日の外科当番の先生が主治医だったので、外科入院でお願いした。

 肺炎の30歳代男性と、S状結腸憩室炎の50歳代男性は外来治療で経過をみることにして、休み明けに外来受診(途中で軽快しなければ入院へ)とした。後者は3日前からで、当番医で抗菌薬内服(キノロン)を処方されて、症状が軽快してきていた。CTでS状結腸に多発性憩室を認めたが、周囲脂肪織の炎症像が目立たなかったので、希望通り外来でやってみることにした。

 

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病棟で急変

2017年01月02日 | Weblog

 今日は日直で病院に出ていた。70歳男性が構語障害・嚥下障害ということで救急搬入された。昨年から心不全で複数回入院していて、昨年も4か月くらい入院していた。主治医が開業してこともあり、若干無理気味だが、退院としてそちらのクリニックに通院することになった。

 脳梗塞の後遺症で左半身麻痺があり、車いす生活だった。症状からは脳梗塞再発かと思われたが、高血糖・高ナトリウム血症・著しい肝機能障害・腎障害があり、画像上脳梗塞再発はなかった。心臓の処方が限界と思われるような処方で、ダイアート・サムスカ(高ナトリウムの原因)・ピモベンダンというものだった。在宅酸素療法で夜間はASVを装着している。いつ何があってもと主治医に言われていたそうだ。

 急激な補正は避けて、少しずつ補正することにした。病棟に上がってからは。救急搬入時よりも意識が改善して、会話もできていい感じだった。他の病棟で指示出しをしていると、急に反応が悪くなったと連絡がきた。急いでいくと、VT・VFになっていた。すでに看護師さんたちが心肺蘇生をしていた。除細動の準備をしているとそのまま心静止になった。気管挿管・心臓マッサージ(胸骨圧迫)・アドレナリン注をして、QRS波形(心室性)が出たが、脈拍は触知できなかった。さらに心肺蘇生を継続すると、かすかに心拍が頸動脈で、その後大腿動脈で触れるようになった。自発呼吸は出なかった。瞳孔散大も認めた。心拍はnarrrow QRSで安定した。人工呼吸器をつないで、経過をみることにしたが、時間の問題だろうか。

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