なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

大腸憩室出血

2021年11月23日 | Weblog

 高血圧症・高脂血症で内科外来に通院している79歳男性が、前日からの血便で月曜日に受診した。

 色は赤色から赤黒色だったそうだ。腹痛はない。健診で便潜血陽性となる、今年の4月に大腸内視鏡検査を受けていた。大腸憩室が上行結腸とS状結腸にあった。処置するほどではないとされた大腸ポリープも散在していた。大腸憩室出血が疑われた。

 腹部は平坦・軟で圧痛はない。直腸指診では普通便が付着してきて、血便はなかった。血液検査を行ったが、普段と比べて貧血もない。

 電話で受診したいという連絡が入った時は、大量に出血しているようなら地域の基幹病院に紹介しようかと思っていた。出血量はさほどではないので、少なくとも緊急性はないようだ。

 腹部造影CTで見ると、内視鏡の画像より憩室がよくわかる。S状結腸の憩室はまさに多発だった。造影剤の漏出はない。

 絶対入院というほどではないが、この患者さんは抗血小板薬(バイアスピリン)を内服していた。本人はあまり乗り気ではなかったが、家族が心配だという希望もあり、入院で経過をみることにした。

 バイアスピリンは休止する。ところでなぜ内服していたのかと、改めて確認した。13年前に一過性全健忘で入院した既往がある。症状とは無関係に左被殻などにラクナ梗塞が散在して、MRAで中等度の脳動脈硬化とされていた。

 以前、何となく抗血小板薬が投与されている患者さんが多く、問題にされた。(たまたま撮影した頭部CTやMRIでラクナ梗塞がちょっとだけあったので投与されたというような)今回は投与の根拠がないわけではない。それでもぜひ再投与を開始するかというと迷うことになる。

 

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