なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

山田悟先生の講演会

2015年04月09日 | Weblog

 昨日はSGLT2阻害薬の講演会で山田悟先生の講演を聴いてきた。講演の直前に来られて、直後に帰るという相当お忙しいスケジュールだったようだ。CareNeTVの講演では穏やかそうに話されているが、実際に生で聴くと、演壇から離れて動かれて、身振り手振りも大きくエネルギッシュな講演だった(座長も過激と表現)。

 これまでのカロリー制限・脂質制限・蛋白制限はエビデンスがなく、推奨度が高いが、あくまでコンセンサス(専門家の意見)によるだけというものだった。CareNeTVで見られる分は全部見ていたし、著書も買っているので内容は知っているが、やはり直接聴くのはインパクトが大きい。出席者からの指摘があったように、カロリー制限食の批判と糖質制限食の正当性の話だけで終わったので、具体的な糖質制限の方法についての話はなかった。まあ、1時間の講演では無理だろう。

 山田先生は、「食・楽・健康協会」を設立されていて、企業への働きかけもあるらしい。コンビニでも糖質制限食を買えるようにしたいと言っていた。実際飲食店でも糖質制限のメニューがあるところも出てきている。糖質制限が商売になるとわかれば、企業が参入すると思う。

 閉会のことばを述べられた先生が、私も糖質制限に賛成ですと述べられた、注意すべきは、患者さんたちは三度の食事ではご飯を茶碗に一杯か半分にしている人がほとんどだが、間食が多いという。また清涼飲料水の摂取が多く、健康にいいと思って飲むヤクルトやポカリスエットも糖分が多いので注意が必要と話された。糖質制限の間食用の食べ物があるといい。いつもチーズとナッツというわけにはいかないから。(私が糖尿病学会に入会する際に推薦状を書いてもらった先生で、大分白髪が増えていたが、お元気でなによりです) 

 それに先立って、杏林大皮膚科・塩原教授の講演もあった。薬疹が専門という。薬疹は1~2週間で出ることが多く、以前に感作されていれば数時間~数日で出現する。重症薬疹は、皮疹が皮膚それに粘膜(口腔・眼・陰部)に出現する。剥けているのが10%以下ならStevens-Johnson症候群(SJS)で、10%以上ならはTENになる。皮疹だけでは皮膚科医でも薬疹と断定することはできず、経過と副所見で判断するしかない。皮疹の割に粘膜症状が重篤な場合は重症薬疹(鑑別は麻疹)。定義上ステロイドの内服や外用を使用すれば、重篤な薬疹とすることになるので、実際はそれほどでもないものも含まれるという。

 皮膚の乾燥は、角質の水分量で決まり、湿度・汗・水分の供給と皮膚表面からの蒸発のバランスによる。糖尿病の患者さんは、皮膚が乾燥しやすく、乾皮症から乾燥性湿疹になる。ステロイドの外用は皮膚を乾燥させるので保湿剤(ヒルドイドなど)をたっぷり使う。SGLT2阻害薬スーグラで報告された湿疹は、実際は乾燥性湿疹が多かったという話につながるのだった。

 それにしても、今時は開会のことばをOpening Remarksといい、閉会のことばをClosing Remarksというんですね。

コメント
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