1週間前に内科クリニックから66歳女性が誤嚥性肺炎で紹介されて、救急搬入となった。救急当番は外科医で、電話が来た時に年齢が若いので変だと思った。既往歴を見ると、6年前に脳出血が発症して、ほとんど寝たきりになって在宅介護を受けていた。その1週間前にもたこ焼きを喉に詰まらせて救急搬入されていた。その後は全粥刻み食とろみ付きにしていたらしい。
脳出血後遺症で嚥下障害による誤嚥性肺炎ということになるが、もっと複雑な事情があった。まず、大学病院に全身性硬化症(CREST症候群)で通院していた。食道の蠕動低下があることになる。またパーキンソン症状と低血圧症があり、多系統萎縮症の疑いがあった。聞いたところでは、脳外科外来扱いなので神経内科で診ていないという。
入院後は、抗菌薬投与(ユナシン)で解熱軽快した。STが入って嚥下を診ているが、なんとかソフト食(ムース状)は飲み込めるが、嚥下したというよりも、いつの間にか口腔内からなくなるという飲み込みらしい。
今回、胃瘻造設を行うかどうかだが、早めに行った方がいいようだ。経口摂取は楽しみ程度をするのが、適切と思われる。消化器科から今週末に内視鏡的胃瘻造設術が2例あるので手伝ってほしいと言われていた。この患者さんは来週行うことにしよう。