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なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

脳梗塞

2023年10月27日 | 脳神経疾患

 10月26日(木)に市内の内科医院から、55歳男性が当院の脳神経内科外来(大学病院から応援)に紹介された。 

 内科医院には高血圧症(ARB、Ca拮抗薬)・糖尿病(DPP4阻害薬、メトホルミン)で通院している。10月21日に定期受診した時に、10月8日(日)に右上下肢の麻痺が出現した、という話が出たそうだ。上肢の麻痺は強かったが下肢はそれほどでなく、歩行はできたらしい。

 患者さんの住所は隣町で、当番医であった町内の個人病院を受診した。頭部CTで異常は指摘できず、内服している薬の副作用ではといわれたそうだ。(明らかに半身麻痺なので頭部MRIが検査できる病院へ紹介すべきだった)

 自宅で様子をみているうちに、翌日には上下肢麻痺が軽快(ほぼ消失)していた。良くなったので、連休(9日月曜日は祝日)明けにも受診はしなかった。

 内科医院としては、一過性の半身麻痺でTIA疑いとしての紹介だった。当院で頭部MRIを行うと、左内包後脚に新鮮なラクナ梗塞(拡散強調画像で高信号)が描出された。すでに発症19日目で亜急性期になってしまう。

 脳神経内科医は抗血小板薬2剤(DAPT=クロピドグレルとバイアスピリン)を早速開始していた。80歳くらいの高齢者ならわかるが、55歳がよくそのまま様子をみていたものだと思う。

 

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ウェルニッケ脳症

2023年10月25日 | 脳神経疾患

 内科の先生が非常勤の脳神経内科医に、入院しているウェルニッケ脳症の42歳男性の相談をしていた。記憶障害(短期記憶)で、ついさっきのことを忘れてしまうのだという。何とかなりませんかねえ、という相談だった。

 

 長年実家暮らしだったようだ。一人暮らしをしたいと、実家を出て新聞配達の仕事をしていた。3か月前の7月から仕事をやめてしまった(勤まらなかったのだろう)。

 お金がなくなり、食事がとれず、水ばかり飲んでいた。徐々に体力がなくなり、9月28日に動けなくなって倒れているところを発見された。

 地域の基幹病院に救急搬送された。傾眠状態で、画像としては頭部CT、胸腹部CTが行われたが、有意な所見はなかった、頭部MRIで視床~中脳水道~延髄にかけてFLAIRで高信号を認めて、ウェルニッケ脳症と診断された。

 

 ビタミンB1は11ng.mL(24~66)と低下していた。血液濃縮があり、脱水状態でもあった。ビタミン補充療法と点滴で回復した。

 10月5日の頭部MRIの再検が行われて、FLAIRでの高信号は軽減している。

 10月19日に当院の回復期リハビリ病棟に転院してきた。自力歩行はできるが、ふらつきがある(下肢の運動失調)。会話は可能だが、ナースコールを引っ張ってみたり、変な態勢(何故か壁にへばりつく)でいたりする。

 ついさっきのことも忘れてしまうので、病棟の看護師さんとは常に初対面のようになってしまう。

 10月23日に頭部MRIを行っていて、放射線科の読影レポートでは病変は指摘できないくらいになっている、とあった。ビタミンB1は56ng/mL(20~50)と正常域だった。

 

 

 脳神経内科医のアドバイスは、認知症のテストをして下さい、だった。今後は実家(当院の隣の市)に戻るしかないのだろう。

 

 

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心原性脳塞栓症

2023年10月17日 | 脳神経疾患

 10月13日に脳血管障害の専門病院から82歳男性が転院してきた。住所は隣の市内だった。

 8月24日の午前5時に自宅の台所で倒れているのを妻が発見して、救急要請をしていた。地域の基幹病院に救急搬入された。

 頭部MRIで右基底核から放線冠の脳梗塞を認めて、MRAで右中大脳動脈M1の閉塞があった。心電図で心房細動を認めて、心原性脳塞栓症と診断された。血栓回収目的で先方の専門病院へ転院搬送されていた。

 脳血管内科で血栓回収が行われたそうだ。しかし右放線冠の梗塞が残り、左半身完全麻痺が残った。経口摂取困難ということでNGチューブ挿入による経管栄養が行われていた。(当院転院時の頭部CT)

 診療情報提供書には、「貴院での回復期リハビリテーションをお願いします」になっていた。当院の回復期リハビリテーション病棟は胃瘻造設による経管栄養は引き受けるが、NGチューブでは受けないそうだ。急性期病棟に入院することになった。

 転院依頼が来た時に、経口摂取は難しく経管栄養継続になる見込みか、地域医療連携室から問い合わせてもらった。現状NGチューブによる経管栄養というだけだった。

 NGチューブによる経管栄養だと、現在は施設でも嫌がって受けてくれない。胃瘻があれば、施設によるが少数の受け入れはある。

 頭の先生しかいないので、胃瘻造設はできない病院だった。胃瘻造設できるかどうかの判断もできないと思われたので、転院後にこちらで判断することにした。

 リハビリといっても完全麻痺が1か月以上変わらないので、狭義のリハビリ(歩行訓練)の適応はない。関節拘縮予防や座位保持できるかの訓練もりっぱなリハビリではあるが。

 

 転院後に誤嚥性肺炎の有無と胃の位置を確認するために、胸腹部CTを行った。胃の腹側に大腸(横行結腸)大きくかぶさっていて、内視鏡的胃瘻造設術は施行できない。

 ただ患者さんは会話可能だった。肺炎もなかった。経口摂取できそうだ。先方の病院では嚥下訓練を何故進めなかったのだろうか。

 言語聴覚士(ST)さんに診てもらうと、これは経口摂取できるということだった。NGチューブを抜去して、昼のみ嚥下調整食3で開始となった。3食摂取できるまで、点滴2本を併用することにした。

 利き手交換は不要なので、座位保持で自力で食事摂取できるようになれればいいが、このまま順調にいくだろうか。

 

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脳梗塞

2023年10月14日 | 脳神経疾患

 10月13日(金)に97歳女性が脳梗塞で入院した。脳幹部の小さな梗塞巣だった。

 住所は隣の市内で、一人暮らしをしている。症状はめまいがして動けないというものだった。一人暮らしなのでふだんはADL自立なのだろう。BPPVのような回転性ではない。

 救急隊から当院に搬入依頼があった。救急担当の先生が急性期病棟に訊くと、いっぱいで無理といわれた。事情を伝えて、おことわりとなった。市内の病院に連絡すると、MRIがないのでMRIをどこかの病院で施行してからなら引き受けるといわれた。地域の基幹病院は当院でMRI撮像をして、所見があれば引き受けるという返事だった。

 また当院に連絡が来て、搬入となった。頭部MRIで延髄の左外側にポチッと脳梗塞を認めた。その時点で病棟に入院できるかまた訊いたところ午前中に退院予定だった患者さんがちょうど帰るところで、引き受けられるという。当院入院となった。

 

 放射線科の読影レポートは、大学病院の遠隔診断と、応援医師2名が直接当院での読影になっている。その日は放射線科医がいて、すぐに読影してくれた。まあ、撮像した放射線技師さんもオーダーした先生も普通に読める。(以前当院の放射線科常勤医だった先生で、定年後(延長を含む)なって、その後は週に2日だけ読影に来ている)

 MRAでみると脳幹部の動脈の狭窄があり、めまいはこの梗塞と椎骨脳底動脈の血流不全の症状でいいのだろう。

 

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脳梗塞

2023年10月03日 | 脳神経疾患

 10月1日(日)の日直の時、午後2時ごろに83歳女性が救急外来を受診した。

 当初は転倒して、左大腿部を打撲してそれから歩けなくなったという話だった。ところが実際は、立位で農作業をしている時に、急に左下肢の脱力が生じたということなのだった。

 意識は清明で、普通に会話できて認知症はなさそうだ。左上肢の脱力はなかった。腰痛はない。左大腿に疼痛・圧痛はなく、整形外科の問題ではなく、脳の問題だった。

 頭部MRIで左大脳の皮質に罹る病変を認めた。確かにこの病変だと下肢>>>上肢の症状が出てもおかしくないか。

 急な脱力で脳梗塞としては合わないかと思われたが、FLAIRでも病変は写っていて、脱力を生じた時よりも前に脳梗塞は発症していたはずだ。

 隣町の内科医院から高脂血症の処方を受けているが、抗血栓薬の処方はない。心電図は正常洞調律で心房細動はなかった。MRAで明らかな脳動脈の閉塞は指摘できない。

 入院してもらって、抗血小板薬(DAPT)とエダラボンで治療を開始した。本人と家族には入院後の症状の進行がありえること、1週間経過をみないと症状が確定できないことを伝えた。

 

 

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