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なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

脳梗塞

2024年01月31日 | 脳神経疾患

 1月29日(月)に施設から79歳男性が紹介されてきた。脳梗塞後遺症で、右片麻痺・失語症がある。

 今回は1月27日(土)から急に嚥下障害で経口摂取ができなくなった。地域の基幹病院の救急外来を受診したそうだ。画像検査で異常なしとされて、施設に戻ったが、症状は同じだった。

 

 既往としては、2014年に当院外科(当時)で上行結腸癌の手術を受けている。2015年に早期胃癌の内視鏡治療(ESD)を行った(当時消化器科は2名体制)。心房細動があり、DOACをヘパリン注に切り替えて施行したが、処置翌日に脳梗塞を来した。

 左中大脳動脈領域の広範な梗塞だった。地域の基幹病院に搬送されて、急性期の治療後を受けた。その後当院の回復期リハビリ病棟に戻って、4か月過ごした退院した。退院後は施設入所となった。

 

 まず頭部CTを撮影したが、以前の画像を変わらないように見える。しかし何しろ神経症状が突発しているので、新規梗塞があるはずだった。頭部MRIを入れてと思っていると、地域の基幹病院消化器内科の先生から連絡が入った。

 リハビリや療養の転院は地域医療連携室経由で診療情報提供書が来る。直接連絡が入ったということは、(ベットを空けるために)すぐに転院させたい患者さんがいるのかと思った。

 27日の救急外来でこの患者さんを診察したそうだ。新規病変なしとして帰したが、その後放射線科の読影レポートで右中心前回に新規梗塞を認める、となった。先方の脳神経内科医と相談してほしいという。わかりました、と答えた。

 頭部MRIでは確かに新規病変を認めた。しかし症状はおそらく固定してしまうので、経鼻胃管で当院に戻されるだけになる。家族(妻)と相談して、当院で経過をみることになった。

 急性期が過ぎたら、胃瘻造設を予定することにした。ただし、胃は横胃で確実に造設できるかはわからない。また喀痰吸引を頻回に要し、経口摂取しなくても誤嚥性肺炎を来す可能性がある。

 

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心原性脳塞栓症

2024年01月12日 | 脳神経疾患

 1月11日(水)に脳血管障害の専門病院からの心原性脳塞栓症の83歳男性が転院してきた。経鼻胃管による経管栄養になっている。当院転院後に、内視鏡的胃瘻造設術を行う予定になっていた。

 

 昨年(2023年)の11月20日に地域の基幹病院に救急搬入された。診療情報提供書には、胸部症状で、とある。家族の話では胸痛や呼吸困難ではなかったらしい。

 発作性心房細動の診断で入院となり、レートコントロールやヘパリン持続静注が開始された。翌21日の構語障害・失語症が発症して、頭部MRIで脳梗塞(心原性脳塞栓症)を認めた。

 同日脳血管障害の専門病院へ紹介されて、転院搬送となった。その後の経過は、

 「頭部MRIの所見は左中心前回と左頭頂葉の脳梗塞で、MRAで左中大脳動脈(M2)の閉塞を認めた。機械的血栓回収療法を行って、TICI 1(再開通はあるが、末梢の灌流なし)だった。

 フォローの頭部MRIで左放線冠から中心前回の脳梗塞を認め、軽度の右片麻痺と重度の嚥下障害が残った。経鼻胃管による経管栄養の状態。」とある。

 この患者さんは入院中の12月31日にCOVID-19に罹患して、リハビリも中止となっていた。転院してきた1月11日は隔離解除日だった。(1月10日にコロナの抗原定性試験を行って陰性)

 当院で嚥下評価を行って、どうしても経口摂取が難しければ、内視鏡的胃瘻造設術を行うことにした。

 

 TICIというのがわからなかったが、Thrombolysis in Cerebral Infarctionで、血管内治療後再開通(再灌流)グレードのことだった。TICI1は「閉塞部を越えて順行性にわずかに造影される」だった。確かにあまり効果があったようには見えない。

 発症時にM2が閉塞しているが、梗塞巣の描出はわずかで、その後の拡大が予想されて脳血管内科での治療の適応という判断だったのだろう。

 

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BPSDにバルプロ酸

2023年12月26日 | 脳神経疾患

 11月14日に地域の基幹病院から、脳挫傷・脳梗塞の85歳男性がリハビリ目的で転院してきた。依頼があったのは10月4日だが、当院の病棟の事情と、10月24日の脳梗塞発症があり、受け入れがなかなかできなかった。

 転院依頼があった時は経管栄養をしていたが、転院時には経口摂取が始まっていた。胃瘻造設かと思っていたので、その点は助かった。

 9月15日に屋根から転落して頭部を打撲した。外傷性くも膜下出血・脳挫傷・後頭骨骨折を来していた。心房細動でDOAC(エドキサバン)を内服していたので、Xa阻害薬中和薬のアンデキサネットアルファ(オンデキサ)が使用したそうだ。オンデキサは338671円なり。(搬入時→再検→再検、脳梗塞発症時)

 保存的に治療していたが、不穏がひどく、精神科が介入して向精神薬が複数処方されていた。ブロナンセリン(ロナセンテープ)・クエチアピン(セロクエル)レンボレキサント(デエビゴ)に、バルプロ酸(デパケン)も入っていた。

 転院時は不穏はそれほどでもなかったので、夜間不眠ためトラゾドン・ラメルテオン(ロゼレム)を追加して、バルプロ酸は一般的でないので休止した。

 当初は転院後に胃瘻造設の処置を予定していたので、まず急性期病棟で受けていた。しかし経口摂取ができることから(嚥下調整食3から4へ)、その必要がなくなり、すぐにリハビリ病棟へ転棟となった。

 転倒後はリハビリの指示が入らないというのも困ったが、不穏がひどくなった。セロクエルを漸増していったが、(日中笑顔のこともあるものの)怒り出すと大声を上げて(歌謡のコンクールで出ていた方で、よく声が通る)、抑制をすり抜けた。

 これは施設入所は困難で、向精神薬の量からいっても精神科病院でないと対応できない、ということで精神科病院に転院を打診することになった。(受け入れはけっこう厳しい)

 エビデンスはないが、症例報告はあるバルプロ酸(デパケン)を再開してみた。先週末からだが、ちょっといい感じになってきた。突発的な大声は出るが、長くはならないそうだ。

 

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分水嶺梗塞

2023年12月25日 | 脳神経疾患

 12月4日に2か月前からの左半身不全麻痺で61歳男性が内科新患を受診した。その日は内科再来を診ていたが、新患担当医師が受診が多くて、診られないということで回ってきた。(再来を診てからなので昼近くになった)

 5年前に急性心筋梗塞で地域の基幹病院循環器内科に入院した。糖尿病・高血圧症もあり、2か月くらい通院したが、その後クリニックに紹介された。クリニックには1回受診しただけで治療を中断していた。

 頭部CTやMRI検査をしようとすると、お金がないのでやりたくないという。急性の症状ではないので、おそらく脳梗塞を確認するだけにはなるが、検査は必要と伝えた。

 胸部X線・心電図と血液尿検査までは受ける、ということで検査した。心不全症状・所見はなかった。血糖 mg/dl・HbA1c11.0%で、血圧も170/ と高値だった。

 降圧薬と糖尿病薬、それ抗血小板薬を開始すると伝えると、薬はいらないという。これから市役所の福祉センターに行って、生活保護の手続きをするので、処方は申請が通ってからにしてほしいといわれた。1週間分くらいならそれほどの金額にもならないし、申請が通れば今月分から支払いはなしになる。それでもまた来るといって帰ってしまった。

 12月12日にまた受診して、生活保護の申請をしたが、まだ決定はしていないという。支払いはなしでいいらしいので、頭部CT検査を行った。左前頭部に梗塞巣があり、それによる症状かと思われた。その日は薬をもらうというので、降圧薬(Ca拮抗薬)・経口糖尿病薬(DPP4阻害薬)・抗血小板薬(クロピドグレル)を1週間分出した。

 12月18日に受診して、生活保護の申請が通ったという。その日は頭部MRIを入れていた。結果は分水嶺梗塞があり、両側の前大脳動脈/中大脳動脈と中大脳動脈/後大脳動脈に認めた。

 拡散強調画像で高信号に描出されるので、最近の所見になる。頭部CTを見直すと、放射線科の読影レポートでも「両側前頭葉の陳旧性脳梗塞」とされていたが、MRIの所見に匹敵する変化がすでにあった。さらにMRAでは左内頚動脈は閉塞していて、右内頚動脈にも狭窄がある。

 神経症状としては初診時と変わらないが、初診時にMRIを行っていたら、新規の脳梗塞として入院になっていたはずだ。その日は入院してもいいというので、入院とした。

 降圧薬はCa拮抗薬にABRを追加して、経口糖尿病薬はDPP4阻害薬にメトホルミンを追加した。血糖が高値の時はインスリン皮下注で補正とした。

 この患者さんは喫煙者で、入院するとさっそくその日のうちに病棟で喫煙して、病棟看護師にタバコを没収されていた。翌日からも入院は耐えられないと言い続け、自宅に戻ってもいいかという。病棟看護師から絶対抜け出しますよといわれて、トラブルになる前に退院とした(4日目)。

 内頚動脈の狭窄については脳神経外科に紹介したい.。外来でまた話をして、一度は行ってもらわないとまずいと思う。

 

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脳出血だった?

2023年12月23日 | 脳神経疾患

 12月15日(金)に外来看護師から、その日頭部MRIを撮像した59歳男性を診てほしい、と連絡がきた。放射線科医が読影に来ていて、頭部CTで脳出血の有無を確認してほしい、といっているそうだ。

 頭部MRIで右頭頂部に嚢胞状の変化があり、周囲に浮腫を軽度に伴う。拡散強調画像・T1強調画像・FLAIRで高信号を示す帯状の像(出血?)を壁在性に認めた。(中脳水道左寄りに陳旧性小梗塞巣も)

 頭部CTを行うと明らかな脳出血はなかった。患者さんにも話を聞いたが、緊急に対処する必要はなさそうなので、予定通り12月21日の脳神経内科外来受診(再診)とした。

 12月7日に内科クリニックの紹介で、脳神経内科の外来(大学病院から)を受診していた。

 

 クリニックの診療情報提供書によると、昨年8月に起立時に倒れて、顔面蒼白・冷汗があった(10分くらいで回復した)。12月にも同様の症状があり、一過性意識消失(1~2分)があった。ただ、もともと朝礼などで倒れやすい?という。

 今年の1月に循環器センターのある専門病院に紹介していた。不整脈疑いでホルター心電図や植え込み型心電図も行ったが、原因は不明だった。頭部MRIではラクナ梗塞を指摘された(部位?)。

 その後失神(意識消失)はないが、歩行時のふらつき、自分の感覚と動きが違う気がする、歩行時にぶつかることがある、という症状があった。貴科的に異常がないか、ご高診をお願いします、という内容だった。

 12月15日の頭部MRIを行って、21日に再受診となったのだった。頭部MRIはすぐにできないとしても、頭部CTくらい行っても良かったが、症状が不定愁訴的だった?。

 

 頭部CTを確認して明らかな出血がないのを確認した。患者さんはCT室を出たところで車椅子にすわっていた。

 1か月くらい前に右後頭部の頭痛が急に出現した。クリニックを受診すると、片頭痛をいわれたそうだ。実際に片頭痛持ちだったが、いつもの痛みとは性質が違っていた(発症形式も突発)。

 その時から血圧が高値(170~180)あり、降圧薬が開始された。頭痛は続いたが、1~2週間すると軽減していった。話を訊いた時はほとんどなかった。視覚的におかしな感じがして、やはり自分の感覚を動きが違う気がするという。

 1か月前に何があったかだが、脳出血を来して、しだいに血腫が吸収されたところ?。嚢胞性病変がもともとあり、そこに嚢胞内出血などが加わって、それが吸収されたところ?。

 

 12月21日に脳神経内科の外来を受診して、「脳出血を伴う嚢胞性病変」として地域の基幹病院・脳神経外科に紹介となっていた。

 

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嘔吐は消失した

2023年12月19日 | 脳神経疾患

 12月14日に、11月30日に記載した79歳女性の夫が来院した。患者さんは2022年6月から精神科病院に入院している(その前は施設入所)。70歳ごろからの認知症だった。

 嘔吐が続いて、当院に転院してきた。消化管に問題(上行結腸、S状結腸の浮腫性狭窄)はあった。病態ははっきりしないが、経鼻胃管での吸引を継続すると、吸引量はわずかになって軽快した。

 ガストログラフィンで造影ずると問題なく、直腸まできれいに造影された。胃管を抜去したが、その後嘔吐はなかった。(大腸内視鏡はしなかった)

 精神科病院にいる時から、口を開けようとしないということもあるが、飲み込みが悪くなっていた。たまった唾液でムセたりしている。経口摂取は断念した。

 とりあえず、末梢静脈からの点滴で2週間も経過してしまっていた。高カロリー輸液に切り替えることにした。(頸部が展開できず、やむなく大腿静脈(オムツで隠れる部位のやや遠位)からCVカテーテルを挿入した。(はい、穿刺部位としては好ましくありません)

 夫は県庁所在地在住だが、元々は合併吸収された町の住所なので、外れの方になる。幸い近くに認知症対応の老人病院がある。

 当地にはまったく土地感がないが、何度か車で来たのですこし慣れたようだ。それでも近くはない。上記病院への転院を希望された。(老人病院は勝負が速い?といわれているが、それは言わない)

 この夫婦には子供がいない。夫はかなり元気な方で、妻より3歳下だというから76歳になる。まだまだ運転免許書を返納するつもりはないという。(十分審査に通るだろう)

 子供がいないので、二番目の連絡先は患者さんの姉(すでに死亡)の夫(義理の兄)になっていた。高齢でもあるし、自分が妻より先に亡くなったらどのくらい関わってくれるかわからないという。間違いなく奥さんが先ですとはいえないので、長生きする必要がありますね、とだけ伝えた。

 ちなみに紹介を考えている病院には、以前当院の外科に勤務していた中堅の先生がいる。当院から別の病院の外科に移動になり、その後は外科医をやめてしまったようだ。外来はほぼない病院だが、入院患者30名以上(~40名)の担当になるはずだ。

 

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多発性脳梗塞

2023年12月12日 | 脳神経疾患

 12月9日(土)の日中に右半身の不全麻痺で89歳女性が救急外来を受診した。前日からの症状なので、日直の内科医が頭部CTを行うと右後頭葉に梗塞巣が描出された。症状とは合わない。

 頭部MRIで確認すると、両側の小脳と左右の大脳にも多発性脳梗塞を認めた。同時期に発症しているので、心房細動からの心原性脳塞栓症が疑われた。(MRAは年齢の割に動脈硬化が目立たず、きれいだった)

 心電図は正常洞調律だったが、市内の内科クリニックからDOAC(エドキサバン=リクシアナ15mg)が処方されていた。発作性心房細動で治療していたのかもしれない。

 発語はあり、簡単な会話が成り立ったり、成り立たなかったりだった。嚥下評価では飲み込みはできそうということで、嚥下調整食3から開始となった(評価と訓練を兼ねて昼のみから)。

 軽度の腎機能障害があるが、年齢も考慮して管理の面倒なワルファリンよりはということでのエドキサバン15mgだろうか。気持ちはわかるのだった。

 

 この患者さんはCTで肝臓内の多発性腫瘤もあった。トルソー症候群の要素もあるか。

 

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慢性硬膜下血腫

2023年12月05日 | 脳神経疾患

 12月1日(金)の午後に発熱外来を診ていると(救急室でやっている)、救急室のストレッチャーに横になっている患者さんがいた。

 看護師さんに訊くと、消化器科で診ている患者さんだという。ふだんはアルコール性肝硬変・糖尿病で通院している。その日は3日前からの左半身麻痺での受診だった。(救急車ではなく、家族が連れてきた)

 これは頭だ、ということで、さっそく頭部CTを撮ると、右側の慢性硬膜下血腫があった。濃度から見ると、ちょっと経過しているのか、水腫が加わったのか。

 頭といっても、当初は脳梗塞疑いだったので、まず頭部CTで頭蓋内出血の有無を診て、頭部MRIを続いて行うようにしていた。急遽MRIは中止となり、搬送先を探していた。

 一番近い地域の基幹病院脳外科は受け入れ困難ということだった。どこに当たったらいいでしょうか訊いて、お勧めされた県内随一の市立病院の脳外科に連絡すると、受け入れてもらえた。

 

 医局に戻ると消化器科医がいて、別の先生から依頼された胃瘻造設の相談をされた。脳梗塞後遺症の高齢者で経口摂取困難だった。

 上記の硬膜下血腫の患者さんの話を聞いてから、次の火曜日にいっしょに内視鏡的胃瘻造設術(PEG)をすることにした。

 

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脳出血

2023年11月19日 | 脳神経疾患

 11月14日(火)に地域の基幹病院脳神経内科から、脳出血の50代男性がリハビリ目的で転院してきた。

 10月28日左半身不全麻痺・軽度の構語障害で発症して、脳出血の診断で入院していた。右被殻出血とあるが、軽度に脳室内にも出血があり、視床出血と表現した方がいいのかもしれない。高血圧症があるが、未治療だった。

 通常は本当にリハビリ目的だが、この患者さんは先方の病院で問題を起こしていた。病院側でも手に負えないかったが、ご本人もこんなところには居たくないと主張したらしい。5日目の11月1日に当院に転院依頼がきていた。

 とにかく病院の何もかもが気に入らず、暴言が続いていたようだ。最初の診療情報提供書には普通に「ご検討ください」とあるが、転院時のには「ご面倒をおかけするかもしれませんが」になっていた。

 地域医療連携室の話では、主治医(若い女性)に相当なことを言ったらしい。当院に転院してからも、内服薬のことでさっそくもめていた。

 当院の担当は、赴任したばかりの先生だが、ベテラン医だ。カルテには、病棟を朝夕2回回診して、病棟看護師さんが困らないようにする、となっていた。

 転院時の送られてきた画像は、発症時と10日後のCTでまだ出血があった。転院時に当院も撮影したが、わずかに出血が残っていた。

 ちゃんと家族(妻と子供3人)がいて、仕事もしている。家族の話では、脳出血の影響というのではなく、普段からそういう人のようだ。たぶん当院のことも気に入らず、早期の退院になりそうだ。

 

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むずむず脚症候群亜型

2023年11月04日 | 脳神経疾患

 千葉大総合診療科の症例集「外来診療のUncommon disease 4」(日本医事新報社)が出たので、さっそく購入した。4とある通り、4冊目になる。

 内容と関係ないが、このシリーズは紙質が良い。表面が滑らかで薄い。若干裏面の印刷が透けて見えるが、さほど気にならない。宮田靖志先生の「一発診断」(文光堂)は3冊出ているが、紙質は落ちる。

 

 序文に、「今回、むずむず脚症候群の亜型をUncommonとして2例掲載した」とあり、Case 54にRestless back syndrome、Case 62にRestless abdomen syndromeの症例がある。

 Case 54のLectureは、

 Restless back syndrome 

 ➡Restless back syndrome(RLS)は下肢の異常感覚が一般的な症状であるが、下肢以外にも生じる場合があり、発症部位に応じてrestless back syndromerestless abdomen syndromerestless face syndromerestless arm syndromerestless genital syndromeなどが報告されている。

 ➡ドパミン機能障害と考えられており、パーキンソン病(PD)で発症リスクが高いが、RLSがPDの先駆徴候になるかについては明らかでない。錐体外路症状であるために言語化しにくく、訴えは局所のふるえやだるさなど多彩となる。

 ➡また、RLSの寛解因子として、シャワー・マッサージ・歩き回るなので動的刺激のほかに、クロスワードパズル・コンピュータ作業などの知的活動や、ビデオゲームなどの感覚刺激でも症状が改善することが報告されている。

 Case 62のLectureは、

 Restless back syndrome

 ➡夜間に下肢の異常感覚が生じることで不眠の原因となるRLSだが、症状の部位は下肢に限局されず、腹部・体幹部にも生じうる。異常感覚を圧迫感(7%)や痛み(5%)として訴えることがある。歩き回ったりマッサージによって症状が寛解するが、対処行動を繰り返した結果、転倒し骨折するなど、二次的に外傷を生じた例が報告されている。

 ➡不快感がトリガーとなり反復行動を生じる結果として、トゥレット症候群や、抜毛・爪噛みを繰り返す身体集中反復行動症などが挙げられる。これらは内的衝動の前兆が反復行動の原動力となっている点でRLSと類似しており、島皮質・基底核など関連する神経経路の重複が示唆されている。

 

 CareNeTV千葉大GMカンファランス第1回でRestless legs syndrome(Restless X sndrome)の症例を扱っていて、そちらの方が総説的に記載している。(当blogで2022年11月10日に記載)

 Restless legs syndromeは思ったよりcommon diseaseで、千葉大総診で年に数例扱うそうだ。薄くてもいいので、それだけに特化した著書を出していただくと助かる。

 

外来診療のUncommon Disease vol.4

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