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なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

脳腫瘍

2024年06月19日 | 脳神経疾患

 6月14日(金)に熱中症疑いの90歳女性が救急搬入された。一人暮らしをしていたが、別居の息子さんが自宅にカメラを設置していて姿が見えないのに気付いた。

 自宅周辺を探して、畑で倒れているのを発見して救急要請した。暑い日に1時間くらい倒れていた可能性がある。

 非常勤の外科医が救急外来を担当していた。搬入時は発熱(高体温)もなく、会話可能だった。血液検査もさほどの異常がなかったので、当初は点滴をして帰宅を考えていたようだ。

 ところが画像検査で予想外の異常所見があった。頭部CTで右前頭葉に腫瘍があり、左前頭部に広がっている。腫瘤は単発だった。よくこれまで、ADL自立(認知力低下はある)だったと驚いた。

 胸腹部CTで右肺下葉背側に腫瘤様の陰影があり、その周辺に浸潤影が広がっている。肺炎の一部なのか、腫瘤と浸潤影なのかすぐには確定できない。

 肺炎の治療をすると腫瘤様の陰影も軽減するかもしれない。原発性脳腫瘍なのか転移性脳腫瘍なのか、確定はむずかしいかもしれない。

 入院で週明けまで経過をみることになった。入院後は38℃の発熱があり、6月17日(月)の血液検査で炎症反応の上昇があって、肺炎として矛盾はなかった(腫瘍の影響もあるか)。

 

 家族は、がんセンターへの紹介は希望しなかった。いったんは退院させたいというが、入院後は肺炎の発熱もあり、食事摂取は少ない。会話はできるが、閉眼していることが多い。脳腫瘍の症状が全面的に出てくると退院は難しそうだ。

 

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脳梗塞

2024年06月18日 | 脳神経疾患

 5月25日に記載した回復期リハビリ病棟に入院している83歳女性のその後。(大腿骨頸部骨折後で整形外科入院。内科は1型糖尿病の治療を担当。非感染性の微熱・炎症反応上昇が継続。)

 リウマチ性多発筋痛症(PMR)としてプレドニン10mg/日を開始した。解熱して炎症反応も次第に陰性化していた。動かした時の疼痛の訴えも改善していた。

 診断的治療という開始だったが、ほぼ確診して治療を継続することにしていた。6月23日(日)に自宅退院が決まり、1型糖尿病で通院していた地域の基幹病院糖尿病科の外来予約もとっていた。

 プレドニンの調整は、インスリン強化療法のインスリン量に関連するので、合わせて診ていただけませんかという診療情報提供書も準備していた。

 

 6月16日の午後5時過ぎに、看護助手さんが左半身麻痺と構語障害に気づいた。病棟看護師さんが日当直(バイト)で来ていた先生に診察依頼して、頭部CT・MRIが行われた。

 右中大脳動脈(MCA)の閉塞があり、MCA領域の脳梗塞を認めた。日当直胃から当方に、搬送してもいいでしょうかという連絡が入った。もともと診ていた(今回も同院の転院だった)基幹病院に搬送しますという。

 先方で受けてもらえて、救急搬送となった。急性期を診てもらって、今回の当院転院は整形外科だったが、次回転院の時は脳梗塞後遺症で内科になるはずだ。

 もし経口摂取困難で胃瘻造設が必要な時は、亀背で入れる自信がないので、基幹病院消化器内科で造設してもらってから受けたい。

 

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脳梗塞

2024年06月13日 | 脳神経疾患

 6月8日(土)の当直の時に、脳血管障害疑いの48歳男性が受診した。その日の約6時間前から右上肢のしびれが発症した。

 その20~30分後くらいから左下肢のしびれも生じた。筋力低下と確定し難いが、歩行すると右下肢に違和感があり、わずかに麻痺が出ているようだ。

 2年前に高血圧症の治療を短期間したことがあるが、すぐに中断したそうだ。受診の血圧は180/100mmHgと高値だが、脳梗塞があればすぐには下げないことになる。

 脳血管障害疑いとして頭部MRIを行った。おそらく小さなラクナ梗塞が出ると予想された。結果は、脳出血も脳梗塞も認めなかった(正確には指摘できなかった)。

 時間の問題なので、入院して経過をみるのが無難だと思われたが、患者さんの方にその気はなかった。結局、抗血小板薬を内服してもらって、10日(月)の受診となった。症状が進行する時は9日(日)に受診してもらうことした。 

 10日(月)に受診した時は、まだ右上下肢のしびれは残っているが、範囲と程度が軽減していた。右下肢の違和感はなくなり、歩行は問題ないということだった。

 一過性脳虚血発作ではないので、脳梗塞確定のために予定通りに頭部MRIを再検した(予約は入れていた)。放射線の技師さんから、ありましたと報告が来た。

 左橋の背内側(小脳橋脚部近傍)に数mmの梗塞巣があった。てっきり大脳に出るものと思い込んでいたので、意外な結果だった。やはり入院として時間をおいてMRIを再検していくべきであった。

 やはり入院する気はなかったので、抗血小板薬を継続(今更だが1週間は倍量)とした。降圧薬は発症1週間後からの開始とした。

 患者さんは元気いっぱいで、タレントの彦摩呂さんに雰囲気がそっくり。ただ好き嫌いがはっきりしていて、気に入らないと思うと治療を受け入れないかもしれない。

 

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頭部切創だけではなかった

2024年05月09日 | 脳神経疾患

 5月6日(月、振替休日)は日直で出ていて、当直で来た整形外科医に午前中に入院した胸椎圧迫骨折の患者さんを申し送った。

 当直帯が始まってさっそく救急要請が来ていたが、救急隊との話しぶりからは高齢者の転倒・頭部打撲による切創らしかった。外来で処置(縫合)をして帰宅のつもりなのだろうと思って、帰った。

 7日に確認すると、その患者さんは91歳男性で、入院になっていた。

 左後頭部の切創は小動脈性出血があり、5針縫合していた。頭部CTで頭蓋内出血を確認していて、軽度に硬膜下に出血があった。経過観察のため入院になったのだった。市内のクリニックから抗凝固薬(リバーロキサバン=イグザレルト10mg)が処方されている。

 7日に頭部CTを再検して、硬膜下血腫の進行はなかった。しかし血液検査でHb7.7g/dLと貧血があり、輸血がオーダーされた。昨年11月に外来を受診した時はHb12.0g/dLだったので、かなり出血していた。

 

 抗凝固薬は心房細動の処方かと思ったが、心電図では正常洞調律だった。発作性でもないようだ。

 昨年11月に両下腿浮腫でクリニックから当院内科外来に紹介されていた。担当の先生が検査すると、浮腫の原因として心・腎・肝は問題なく、血清アルブミンも3.5g/dLだった。

 胸腹部CT(単純)を行っていて、肝臓に著大な嚢胞があり、ちょうど下大静脈を圧排している。これによる下大静脈以下の血流障害あるいは血栓症(による浮腫)の可能性があります、という返事を出していた。

 Dダイマーが3.1と微妙に上昇していた。造影CTではないので、下肢深部静脈血栓症の有無は正確にはわからない。

 クリニックではこの返事をみて、直接経口抗凝固薬(DOAC)を開始したと思われる。出血性病変が起こると、これが裏目に出るのだった。

 

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硬膜下血腫(水腫)

2024年04月20日 | 脳神経疾患

 整形外科に入院が増えているが、なにしろ高齢者(~超高齢者)なので、内科疾患などが問題なる。整形外科入院患者の内科疾患は内科が分担して対応することになった。

 

 4月17日腎臓内科の若い先生から、整形外科の入院患者さんが慢性硬膜下血腫を呈していると相談された。その先生が内科管理で診ている整形外科入院の患者さんだった。

 4月4日に転倒して、胸椎圧迫骨折を来して整形外科に入院していた。2月には腰椎圧迫骨折で同じく整形外科に入院している。頭部も打撲したので、頭部CTも施行されたが、その時は異常がなかった。

 

 食事摂取も良く、頭痛や神経症状はなかったが、17日に頭部CTを再検していた。すると、入院時にはなかった左硬膜下血腫(水腫)を認めた。

 整形外科で電子カルテで画像を見て、そのままにしていたらしい。それを目ざとく見つけた腎臓内科の先生が、保存的治療を開始しようとしていた。

 「五苓散でいいですよね」といわれた。脳外科に紹介しても、おそらく保存的に経過をみると思われる。地域の基幹病院脳外科ではアクアポリンに効く五苓散を使用している。(もっと効かせたいのでと、柴苓湯を使用していたこともある)

 「投与期間は?」、とも訊かれたが、それは経過を見て決めるしかないと思う。後でカルテを見ると、まず1か月使用してみる、とあった。

 病院内のさまざまなことに目配りしている先生だった。

 

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慢性硬膜下血腫

2024年04月16日 | 脳神経疾患

 4月15日(月)に84歳男性が歩行時のふらつきで受診した。その日腰部脊柱管狭窄症で通院している整形外科の外来があったので、ついでに内科も受診したようだ。

 妻の受診もあり、本人が運転する車で病院に来ていた。会話はできて、反応が鈍い気もするが、見当識障害はなかった。歩行してもらうと、動きは少し緩慢でやや両足を広げているように見える。頭痛・嘔気はないそうで、明らかな麻痺はない。

 1月26日に自宅で転倒して、整形外科外来を受診していた。左腓骨骨折があったが、偏位は軽度で保存的治療となっていた。後頭部も打撲していて、頭部CTが行われたが頭蓋内出血はなかった。

 3か月近く経過していて、1か月前から歩行がふらつくという。妻の話ではもっと素早く動いていたらしい。頭の検査を希望しての受診だった。

 頭部CTで右慢性硬膜下血腫を認めた。健側を軽度に圧排している。

 地域の基幹病院脳外科に連絡すると、診てもらえることになった。車は病院の駐車場に置いて、妻とタクシーで向かってもらうことにした。

 年齢だけでも運転免許返納が好ましいと思うが、さらに脳病変をかかえて、普通に?運転していたのだった。

 

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頭がぼーっとする

2024年04月01日 | 脳神経疾患

 3月29日(金)の午前中に、82歳女性が「頭がぼーっとする」という訴えで救急搬入された。

 前日28日からの症状で、その日は高血圧症・甲状腺機能低下症で通院してる内科医院を受診している。特に麻痺などはなかった。

 29日は近所の方が、様子がおかしいというので救急要請していた。名前はいえるが、生年月日はいえなかった。ただし、一人暮らしなのに息子夫婦と同居しているといったりするので、意識障害なのか認知力の問題かわからない。

 午前中の早い時間だったせいか、前日の当直医(内科)が対応していた。(時間外の最後に搬入依頼があったのだろう)頭部CTで左後頭葉に血腫があり、診断はすぐについた。

 脳出血なので地域の基幹病院脳外科に搬送となった。保存的治療になりそうだ。急性期が過ぎてもすぐには自宅退院でいないので、いずれ当院に転院になるかもしれない。

 突然発症の病歴がつかめれば脳血管障害に思いいたるが、この患者さんから訊きだすことは難しそうだ。

 

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外傷性硬膜下血腫、脳挫傷

2024年03月18日 | 脳神経疾患

 3月13日(水)の当直は腎臓内科の若い先生だった。循環器の専門病院から外傷の72歳男性が紹介されてきた。

 脳出血を来して、当院の脳神経内科(当時)に入院したことがある。幸い保存的治療で軽快して、右半身不全麻痺はあるが、ADL自立で仕事を続けていた。その後、胆嚢や大腸の手術も受けたが、乗り切っていた。

 自宅の階段から下に転落した(高い位置からではないのだろう)。その後から背部の激痛があり、本人は整形外科疾患ではなく、大動脈疾患と思ったそうだ。

 救急要請して循環器の専門病院に搬入されたが、大血管は問題なかった。左肩甲骨の骨折があり、階段転落時の骨折と判明した。体動困難で保存的治療でも入院を要する。そちらの病院には整形外科はないことと、当院に関わりがあるということで、搬送されてきた。

 頭部CTも撮影されたが、特に病変はないと判断したようだ。当院に搬送後、CT像確認で硬膜外出血と脳内出血が疑われた。頭部CTを再検して矢状断・冠状断の像も作成した。急性硬膜下出血があり、脳挫傷も疑われた。

 受けた先生は、地域の基幹病院脳外科に連絡した。保存的治療でそのまま経過をみていいとされたが、何かあったら(悪化したら)搬入も考えるともいわれたそうだ。

 翌日に頭部MRIを行うと、CTで予想したよりははっきりしなかったが、やはり脳挫傷疑いありとされた。脳浮腫の治療も追加となった。急性期の悪化は今のところなさそうだ。

 

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脳梗塞画像の推移

2024年03月14日 | 脳神経疾患

 2月24日に記載した脳梗塞の76歳女性のその後。

 2月13日に言語障害(失語+構語障害)で受診して、頭部MRI・MRAで左中大脳動脈(MCA、M1)の閉塞を認めた。拡散強調画像でMCA領域にまだらに高信号を認めた。

 翌14日には右半身麻痺が出現してきた。次第に病変が広がり、2月20日の頭部CTが最も広がった像になる。

 それでも食事摂取はできるようになり、嚥下調整食4を食べているが、半身麻痺の方の回復は難しかった。

 

 担当の先生がフォローの頭部CTを3月11日に行うと、低濃度域が随分縮小して、驚いていた。(他の人にも見せたかったらしく、これを見て下さいといってきた)浮腫が改善したのと病変自体の萎縮の結果なのだろう。

 食事摂取がどうなるかと思われたが、食べれれて車椅子移乗ができるようにはなれた。

 

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脳梗塞

2024年02月24日 | 脳神経疾患

 先週午後8時過ぎに70歳代後半の女性が言語障害で救急外来を受診した。当直は腎臓内科の若い先生だった。家族の話では、日中と比べて呂律が回らないようで、内容がかみ合わずおかしいという。構語障害より失語が疑われた。

 頭部MRIを行うと左中大脳動脈(MCA)のM1で閉塞を認めた。ただ梗塞巣の描出はMCA領域の一部に留まっていた。FLAIRでも描出されるので、24時間は経過していたかもしれない。

 発症時間からみてt-PAや血栓回収療法の適応はないとして、入院として急性期の治療を最大限行っていた(脳神経内科でもそれ以上はないくらいの治療)。

 家族にはMCA領域全体に及ぶ可能性を伝えていた。なんとか梗塞域を少なくしたいと治療して、翌日の頭部CTでは変化がないように見えて、症状もあまり変わらなかった。

 

 しかし残念ながら、その後に右片麻痺の症状が出てしまった。病変がまだらに出ているので、(側副血行も含む)他の血管からの血流に依存しているのだろう。

 座位保持しての食事摂取はできるが、失語症で会話が成立しない。受診時の症状が閉塞部の割に比較的軽度だったので、残念がっていた。MRAの結果からは予想された梗塞巣ではある。

 

 血栓回収療法は条件はあるらしいが、適応拡大で24時間以内にはなるようだ。それでも適応がないかもしれないが。

 脳血栓症は発症後に症状が進行することがあるので、急性期は(症状の軽度なラクナ梗塞以外)脳神経内科か脳外科に搬送して、責任を押し付けるようにしています、と答えた。

 急性期が終わってからリハビリで引き受けるのがいいが、入院の逼迫で(特に80歳代後半以降だと)なかなか受けてもらえないことがある。とりあえず、3か所くらいの高次医療機関には当ってみる。

 

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