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なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

急性胆嚢炎

2023年11月07日 | 消化器疾患

 11月6日(月)の午後に前日当直だった先生が、急性胆嚢炎で入院した81歳男性を救急搬送していた。地域の基幹病院は受け入れ不可で、消化器センターのある専門病院への搬送だった。

 この患者さんは心窩部痛で11月1日の夜間に救急外来を受診した。当直の腎臓内科の若い先生が診て、CT(単純)で目立った所見がなく、胃痙攣として(?)帰宅としていた。

 症状が続いて、11月2日に内科外来を受診した。現在は内科をしている先生(もともとは消化器外科)が診て、前日のCTで所見に乏しいことから、血液検査だけ行った。

 白血球15500・CRP3.0と炎症反応の上昇を認めたが、それ以外はLDHが248(124~222)と若干の高値だが、それ以外の肝機能は正常域だった。アセトアミノフェン投与で帰宅とした。

 11月3日・4日はいったん治まっていたらしいが、11月5日にまた心窩部痛が出現して救急外来を受診した。日直は大学病院から来ている外科医だった。

 腹部CTを行うと、胆嚢の壁肥厚と腫大を認めた。(胆管も若干拡張?)急性胆嚢炎で入院として、受診したのが夕方だったので、当直の内科医に申し送っていた。連休明けの6日月曜に手術可能な病院は転送予定となった。

 11月6日の血液検査では、白血球8800・CRP14.5となり、AST 293・ALT 316・LDH 283・ALP 355・γ-GTP 397・総ビリルビン4.6と肝機能障害を認めた。

 総胆管結石疑いでMRCPも追加したので、午後になってしまったようだ。総胆管の拡張はあまり見られなかった。

 腹部エコーをしていないので、胆嚢結石はよくわからない。こんな経過で進行するということがわかる症例?となった。

 

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総胆管結石

2023年10月23日 | 消化器疾患

 10月19日(木)の午後に、糖尿病・高血圧症・高脂血症で通院している90歳女性が心窩部痛で外来を受診した。

 

 今年の2月14日に心窩部痛で内科新患を受診した。腹部CTで総胆管結石と診断されていた。胆嚢にも数個の結石があるが、胆嚢炎の所見はなかった。肝機能障害と炎症反応上昇を認めた。

 地域の基幹病院に連絡したが受け入れ困難だった。県庁所在地にある消化器病センターのある専門病院に搬送となった。そこの消化器内科の先生が以前から当院に診療応援に来ている。

 内視鏡的に総胆管結石が摘出されて、無事に戻ってきた。変形性股関節症で歩行器を使用しているが、認知症もなく、元気な方だった。

 

 今回は、本人と家族がそれの再発ではないかと思っての受診だった。その日の午前6時ごろに心窩部痛で目が覚めた。痛みは2時間くらいで治まったそうで、受診時には痛くないという。ただ食欲がなく、朝から水分だけとっていた。

 さっそく腹部CTと点滴・血液検査を行った。その日は月1回の感染管理のラウンドとICT会議があり、その後にコロナ対応についての会議も続けて予定されていた。

 検査室から肝機能障害がかなりあります、と連絡がきた。会議を退席してCTを確認すると、総胆管末端に結石があり、嵌頓しているようだ。嵌頓して結石が動かないと腹痛が治まることがある。

 白血球15900・CRP1.5と炎症反応は発症早期の像で、AST 978・ALT 414・ALP 372・GTP 425・総ビリルビン3.3と著明な肝機能障害を認めた。

 以前の治療があるので、消化器病センターのある病院に連絡を入れた。その日はベットがなく受け入れできないが、翌日に受診してもらえば、対処してくれるという。それでお願いした。

 患者さんに一晩当院に入院して翌日の搬送を勧めたが、腹痛が消失していることから帰宅を希望した。入院の準備をしてから行きたいという。夫と息子さんが付き添っていたが、本人の希望が強く、翌朝に車で連れて行くことになった。

 夜間や翌朝に状態が悪ければ、救急要請して当院にいったん来てもらって、搬送を交渉することにした。点滴500mlと抗菌薬1回を入れて、疼痛時のカロナール500mgを持たせて帰宅とした。

 翌朝まで当院に連絡はなく、家族の車で向かったようだ。乳頭切開は前回しているので、専門医としては処置は楽なのかもしれない。処置の経過観察で入院継続が必要な時は当院で引き取ることにする。

 

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前胸部の皮疹

2023年10月19日 | 消化器疾患

 10月18日に糖尿病・高血圧症・高脂血症で通院している77歳女性が受診した(定期の予約日)。HbA1cは6%台後半で推移していて、その日はHbA1c6.7%だった。

 3か月前に右前胸部(乳房部)に細かな皮疹(丘疹状紅斑)が散在して、チクチクしていたそうだ。まだ皮疹の後が薄く残っている。

 1週間前からは左前胸部(乳房部)に同様の皮疹が出現して、チクチクするのも同じだった。水疱ではなく、痂疲にもなっていない。肋骨に沿っているといえなくはない。

 患者さんとしては、これは帯状疱疹ではないでしょうかというのが一つ、それと帯状疱疹ワクチンを接種した方がいいでしょうかというのが訊きたいことだった。

 症状と部位は帯状疱疹様ではあるが、皮疹が違うように思える。皮膚科外来に連絡すると、診てくれるというので他科紹介とした。

 お昼に皮膚科医と食堂でいっしょになったが、「あれは帯状疱疹ではないでしょう」ということだった。通常の湿疹としてステロイド軟膏が処方されていた。

 

 患者さんは帯状疱疹ワクチンのCMを見たそうだ。確かに盛んに宣伝している。「チクチクします」というのは、CMでやっていた症状をいっているのかもしれない。

 皮膚科医は、当院の院内薬剤としては帯状疱疹ワクチンは入れていない。値段が高くてあまり希望者がいないだろうから、という理由だった。22000円が2回で44000円になる。

 皮膚科医自身は、市内のワクチンを扱っているクリニックで帯状疱疹ワクチンを受けてきている(2回接種済み)。

 当方は2012年に帯状疱疹が出た(左前胸部から側胸部)。感染症学会と化学療法学会の合同学会が東京ドームで開催されて、参加している最中に症状が出た。痛痒い感じで、痛みとしては強くはなかった。学会から帰って来て、病院で日直をしていて外科医(当時)にバルトレックスを処方してもらった。

 気づくとすでに10年以上経過していた。帯状疱疹ワクチンを接種すべきなのだろう。

 

帯状疱疹ワクチンのご案内 | 医療法人聖俊会 樋口病院

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誤嚥性肺炎だけではなく

2023年10月15日 | 消化器疾患

 10月13日に地域の基幹病院呼吸器内科から90歳男性が転院してきた。診療情報提供書は呼吸器内科のよりも、消化器内科の方がぶ厚かった。

 9月13日に誤嚥性肺炎で入院したそうだ。臀部褥瘡とあったが、両側転子部にも深い褥瘡があった。最初に転院依頼があったのが9月28日だった。

 その後、貧血の精査でCTを行ったところ、多発性肝腫瘍を認めた。9月29日に消化器内科に紹介されて、造影CT・腹部MRIを行って膵頭部癌・多発性肝転移と診断された。両側胸水・腹水もああり、低栄養・貧血も影響しているかもしれないが、通常は癌性胸膜炎・腹膜炎を考える。

 呼吸器内科の診療情報提供書は、癌発覚前のものがそのまま来ていた。リハビリをして自宅退院か施設入所を目指すことを家族に説明した、とある。

 

 10月13日に介護タクシーで来たが、血圧60mmHg・酸素飽和度88%(室内気)だった。全身に浮腫と皮下出血、それによくわからない紅斑も多発していた。

 基幹病院からの転院では、転院してきた日に急変死亡ということもあった(転院後3時間で、これが最短の記録)。今回の患者さんも、翌日まで保証しかねる病状だった。

 家族にその旨を伝えて、先方の病院に入院してから面会していない妻を呼んでもらうことにした。患者さんの妹にも会わせたいというが、他県在住だった。

 もともと関節リウマチでプレドニン5mg/日が使用されていて、内服不可能なので点滴静注で入っていた。ステロイドがどのくらい効くかわからないが、デキサメサゾン(癌性腹膜炎・胸膜炎・悪液質に)に変更して投与することにした。

 

 腹部を含まない胸部CTだけでも肝臓の多発性腫瘍は写っていたはずだが、入院時にはわからなかったのだろうか。

 

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腸閉塞

2023年10月09日 | 消化器疾患

 10月4日に記載したS状結腸癌の83歳男性は、3日から腹部膨満と間欠的腹痛が始まった。4日の午後に予約外で当院を受診した。

 がんセンターではS状結腸癌の進行で腸閉塞になる可能性があると説明されていた。そういわれると、以前なかった便秘傾向を自覚するようになっていた。

 その日がんセンターに連絡すると、まずは近医を受診するようにといわれたそうだ。近医は当院になる。

 腹部が膨満して、全体的に軽度の圧痛があった。嘔気はなく、水分はとれる。聴診すると金属音が聴取された。腸閉塞を来しているようだ。

 腹部単純X線では立位でニボーを認める。腸管の拡張・消化液の貯留程度を見るために、腹部CT(単純)を行った。S状結腸の口側の腸管が拡張してガス貯留が目立つ。消化液貯留はそれほどではなかった。 

 部位的には肛門側からのドレナージがいいのだろうと思うが、当院ではできない。(器具を取り寄せれば消化器科医がやるが、病状として当院入院にはできない)

 地域医療連携室からがんセンターに診療情報提供書を送ってもらって、翌日の受診予定となった。

 

 その日は認知症の妻がデイサービスから戻って来るので、外来での点滴もできない。がんセンター受診は、県庁所在地在住の弟が来てくれているそうだ。前回の入院時は妻をショートステイに預けていた。今回もがんセンターは入院準備をして受診するようにといってくれているので、また預けるしかないだろう。

 

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S状結腸穿孔

2023年10月08日 | 消化器疾患

 10月6日(金)に地域の基幹病院外科から紹介した患者さんの診療情報提供書が来ていた。最近紹介した患者さんはいたかなと思いながら、封筒を開けた。患者さんは、2月1日にS状結腸穿孔による急性腹膜炎として救急搬送した52歳女性だった。

 当時在籍した内科の若い先生(自治医大義務年限で2年間勤務してくれた女性医師)が急性腸炎として入院としていたが、画像を確認して上記疾患と判断した。応援の外科医師に相談して搬送していた。(画像は以下の通り)

00826685.SN000002.IN000059.AN000002.JPG00826685.SN000005.IN000023.AN000002.JPG00826685.SN001000.IN000030.JPG

 

 搬送した日に緊急手術(ハルトマン手術、腹腔洗浄ドレナージ)を行っていた。「穿孔の原因は不明で特発性と考えられた」ということだった。術後肺炎や抗菌薬に対する薬疹などがあったが、2月25日に退院していた。

 8月4日にストーマ閉鎖目的に入院して、8月8日にストーマ閉鎖術を施行された。術後麻痺性イレウスがあったが、自然に軽快して8月20日に退院している。退院後の外来診察で特に問題はないが、術後1年までは外来で経過をみるそうだ。

 

 結腸穿孔による腹膜炎だと二期的手術になるのだった。当方が診察して応援の外科医に相談して紹介するまで、対応した時間は1時間未満だろう。(紹介したことを忘れていたし)

 その後の治療はこれだけのことを要していた。ありがとうございました。いつも助けていただいて、感謝しています。

 

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コロナワクチン7回目

2023年10月06日 | 消化器疾患

 9月30日(土)に新型コロナウイルスのワクチンを接種した。7回目のワクチン接種で、XBB.1.5対応ワクチンになる。

 大規模接種の会場で午後2時45分に予約していた。これまで接種した当日の夜間から翌日にかけて、接種部位の疼痛・腫脹と、倦怠感・発熱が出る。 

 5回目の接種の時が一番ひどく、翌日は38℃の発熱と倦怠感で朝から夕方まで寝ていた。休みの日の前日に接種して、翌日は予定がないようにしていた。

 今年の春の6回目の接種(武漢株+BA.5対応ワクチン)では。5回目よりはましだったが。37.6℃の発熱と倦怠感があった。

 医局の先生方も大抵は接種しているが、高熱が続くのでワクチン接種を途中からやめた人もいる。皮膚科の先生はまったく何ともないそうで、同じ9月30日に病院のある市内の大規模接種会場で問診係をしてから自分も接種していた。

 10月1日は当方が病院の日直で、皮膚科の先生が当直に入っていた。ワクチン接種翌日なので、発熱と倦怠感は覚悟していた。

 できれば受診数が少ないと助かると思いながら、病院に出勤した。受診は日直の間途切れないであったが、入院は脳梗塞の1名ですんだ。

  倦怠感は思ったよりなかったが、日直で気が張っていたので、感じにくかったのかもしれない。朝に発熱がなく、勤務は体温測定していないが、ほとんど発熱は感じなかった。(微熱程度はあったのかもしれない)

 ワクチン接種については感染症科の先生方は、接種して下さいというだけだ。京都大学の宮澤先生などワクチン学者(の一部)は疑問を呈している。長期的には問題があることが分かる可能性があるが、それはどうしようもない。

 2020年からコロナ診療の担当だった。ワクチンがない時期からコロナ病棟で診療をしていた。ウイルス性肺炎の患者さんを診るたびに自分もかかったら危ないことになるかもしれないと思いながら診ていた。

 コロナにかかったことはないが、他の先生からは、(無症候性感染で)もう抗体を持っているんじゃないの、と言われていた。

 

 忽那先生のYahoo newsによれば、XBB.1.5対応ワクチンの副反応はこれまでのワクチンと同等ということだ。

 

XBB.1.5対応ワクチンの副反応の頻度は?

XBB.1.5対応ワクチンの副反応(CDC. ACIP資料: Moderna - Sept 12 2023 ACIP - 2023-2024 COVID-19 Vaccine_ACより)
XBB.1.5対応ワクチンの副反応(CDC. ACIP資料: Moderna - Sept 12 2023 ACIP - 2023-2024 COVID-19 Vaccine_ACより)

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気管支喘息発作

2023年10月05日 | 消化器疾患

 10月1日(日)日直の時に気管支喘息発作の54歳女性が救急外来を受診した。3日前から喘鳴が続いて、夜間は横臥できなかった。(会話は可能)

 2007年から2008年にかけて呼吸器外来(当時は呼吸器科常勤医)に通院したが中断していた。その後2016年末から2021年まで呼吸器外来(大学病院から非常勤)に通院していたが、まだ中断していた。症状が治まっていたので、大丈夫だと思ったそうだ。

 時々は症状があったのではないかと思われたが、何でもなかったという。20歳から喫煙していて、それは昨年喘息に悪いと思ってやめたのだという。少し喘息症状が出ていたのかもしれない。

 酸素飽和度が94~95%(室内気)と低下していた(頻呼吸なので本来は100%になるはず)。胸部X線で異常がないのを確認して、座位で休んでもらってステロイドの点滴(デキサメサゾン8mg)とネブライザー(ベネトリン)を行った。

 古い医者なので、その後ネオフィリンの点滴(250mg)も行った。呼吸器外来では吸入ステロイド(ICS+LABA+LAMA)とテイフィリン・モンテルカストの内服が出ていた。

 入院治療を勧めたが、入院はしたくないという。何度か勧めたが、同意しなかった。翌日からならず受診してもらうことにした。

 真面目に通院してくれるが、喘鳴は続いた。10月2日、3日、4日とデキサメサゾン8mgを継続した。本当は2日同量で入れて漸減するつもりだったが、できなかった。

 5日は当方が休みをとっていて、呼吸器外来(中断前の通院で診ていた先生)があるので、そこで診てもらうことにした。吸入ステロイドは日曜日の受診で院内処方(3剤併用吸入薬はない)だったので、ICS/LABAで開始した。喫煙者だったので、LAMAが必要なのだろうか。

 4日の段階では、夜間横臥して寝られるが、午前2時ごろに咳き込んで起きて座位になる。その後、また横臥して数時間寝られるとはいう。

 

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総胆管結石、S状結腸癌

2023年10月04日 | 消化器疾患

 高血圧症・高脂血症・不眠症で通院している83歳男性は、7月半ばに発熱で受診していた。

 発熱外来扱いになったが、コロナ・インフルエンザの迅速検査は陰性だった。大学病院外科の先生が担当だったが、呼吸器症状はなく高齢であることから、院内に入ってもらって検査となった。

 血液検査で炎症反応上昇と肝機能障害を認めた。造影CTで総胆管結石と胆嚢内結石が描出された。胆石性急性胆管炎だった。当院では内視鏡処置はできないので、地域の基幹病院に搬送になる。

 ただCTではもっと重要な病変も描出された。S状結腸に腸管狭窄をきたす腫瘤(癌)があり、周囲のリンパ節腫脹と肝転移と判断される肝腫瘍もあった。

 便秘は自覚しておらず、従って便秘薬の処方もない。もう少し進行するれば、排便障害が出るはずだが、その前に別病変の症状で診断されたことになる。

 基幹病院から、さらにがんセンターに紹介されたそうだ。消化器内科から腫瘍内科に回されていた。現在は外来で経口の抗癌剤で治療しているという。CVポートを作成して点滴による抗癌剤治療をする予定ということだ。

 

 認知症の妻を介護している方だが、そちらは今後どうなるのだろうか。

 

 

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重症の便秘

2023年10月03日 | 消化器疾患

 糖尿病・高血圧症で通院している69歳女性が、10月2日(月)に便秘と腹痛で予約外に受診した。血糖と血圧のコントロールは良好だった。

 便秘症として、酸化マグネシウム330mg3錠分3も処方しているが、残薬があれば処方しなかったりするので、それほど便秘症の状態が悪いという認識はなかった。

 5日前くらいから便秘がひどくなり(排便がわずかか、ない)、腹痛も生じるようになった。2日前からは食事摂取も減っていた。

 外来で腹部を触診しようとすると、ちょっと押したくらいでかなり痛がり、実際に硬さもあった。便秘の悪化から腸管穿孔を来したのかと危惧される状態だった。

 点滴と血液検査を提出して、すぐに単純CTで確認した。腸管穿孔はなく、腹膜炎としての所見はなさそうだ。結腸には硬便が多量にあり、小腸の消化液貯留もある。下行結腸周囲の脂肪組織は炎症があるような濃度上昇があるようだ。

 S状結腸の一部が狭窄を来しているのか、浮腫状なのか、屈曲なのか判別できない。血液検査で白血球は正常域だが、CRP7.0と炎症反応が上昇していた。

 処置室で休んでいるところでまた診察すると、腹部は平坦で軟だった。左下腹部の圧痛も軽度になっている。自分で一生懸命に揉んでいました、という。

 S状結腸の病変の有無を確認するために、造影CTを行った。明らかな腫瘍とはいえないが、はっきりしなかった。その時点で消化器科医に相談したが、確定しがたかった。

 浣腸くらいの前処置でS状結腸だけ見てみます、となった。内視鏡で見ると、S状結腸に狭窄病変はなかった。貯留した便を水とガストログラフィンを注入して、掻き出してくれた。(造影剤使用は便の軟化と処置後にX線で腸管の様子と漏れの有無を確認するため)

 腹部は大分すっきりして処置室に戻ってきた。便秘薬が追加(リナクロチド=リンゼス)されて、後日大腸内視鏡で確認する(total colonoscopy)ことになった。

 

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