10月13日に地域の基幹病院呼吸器内科から90歳男性が転院してきた。診療情報提供書は呼吸器内科のよりも、消化器内科の方がぶ厚かった。
9月13日に誤嚥性肺炎で入院したそうだ。臀部褥瘡とあったが、両側転子部にも深い褥瘡があった。最初に転院依頼があったのが9月28日だった。
その後、貧血の精査でCTを行ったところ、多発性肝腫瘍を認めた。9月29日に消化器内科に紹介されて、造影CT・腹部MRIを行って膵頭部癌・多発性肝転移と診断された。両側胸水・腹水もああり、低栄養・貧血も影響しているかもしれないが、通常は癌性胸膜炎・腹膜炎を考える。
呼吸器内科の診療情報提供書は、癌発覚前のものがそのまま来ていた。リハビリをして自宅退院か施設入所を目指すことを家族に説明した、とある。
10月13日に介護タクシーで来たが、血圧60mmHg・酸素飽和度88%(室内気)だった。全身に浮腫と皮下出血、それによくわからない紅斑も多発していた。
基幹病院からの転院では、転院してきた日に急変死亡ということもあった(転院後3時間で、これが最短の記録)。今回の患者さんも、翌日まで保証しかねる病状だった。
家族にその旨を伝えて、先方の病院に入院してから面会していない妻を呼んでもらうことにした。患者さんの妹にも会わせたいというが、他県在住だった。
もともと関節リウマチでプレドニン5mg/日が使用されていて、内服不可能なので点滴静注で入っていた。ステロイドがどのくらい効くかわからないが、デキサメサゾン(癌性腹膜炎・胸膜炎・悪液質に)に変更して投与することにした。
腹部を含まない胸部CTだけでも肝臓の多発性腫瘍は写っていたはずだが、入院時にはわからなかったのだろうか。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます