足踏み糸紡ぎ機の修理と調整が終わりました。古い機械でしたので、手に入らない部品がありました。そのような部品は、別の部品で代用したり自作しました。この紡ぎ機の特徴は、はずみ車と糸巻きボビンを二重の紐で回すことです。そのため、ちゃんと調整しないと紐が外れやすくなります。ところで、はずみ車に水で濡れた痕跡がありましたが、大きなひずみなどが無かったことが幸いでした。カーディングした羊毛をかろやかに紡ぐことができるようになりました。
試しに紡いで、紡ぎ機の調整や使い勝手確認
最初に修理した所は、はずみ車の中心軸を支える軸受けでした。二つの楔が抜けているようでした。楔のような部品はどこにも売っていません。そのため、ノコギリで板を切って適度な楔を作りました。できあがった楔を金槌で打ち込むと、うまい具合にはまりました。これで、はずみ車の中心軸がぐらつくことが無くなりました。
自作中の二つの楔 楔を金槌で打ち込む 二ヶ所に楔を打ち込む
次に直したのは、糸巻き部を支えるボルトナットです。錆びておりしかもワッシャが無くなっていたため、新たに購入して新調しておきました。続いて直したのは、足踏みの往復運動を、はずみ車の回転運動に変えるクランクシャフトです。ピンが無くなっていたため、針金で代用していましたが、ちゃんとしたピンに変えました。これで大きな修理は終わりました。糸が滑らないようにスリップ止めのワックスを塗っておきました。
新調ボルトナット類 支柱のピンも新調 スリップ止めワックス
その後、実際に糸を紡ぎながら各部を調整ししました。一番難しいのは、紐が外れない角度に糸巻ボビン部を置くことです。その角度は、糸巻ボビンの軸とはずみ車の中心軸が平行になり、かつ糸巻ボビンにかける二本の糸の中心が、はずみ車軸の中央に位置することです。ボルトナットを緩めながら、しじわじわ位置決めをします。これを綺麗に合わせると、紐が外れずにかろやかに糸紡ぎすることができます。この調整が、この足踏み糸紡ぎ機の一番のきもです。修理できて調整できたので、嬉しい気持ちになりました。
糸巻きボビンに紐を掛ける 何度も糸を紡いで調整