山と溪を旅して

丹沢の溪でヤマメと遊び、風と戯れて心を解き放つ。林間の溪で料理を造り、お酒に酔いしれてまったり眠る。それが至福の時間。

黒部源流の谷(黒き谷編)

2010-09-01 00:42:37 | フライフィッシング
今日は黒部の最終日。

夕べも良く呑みました。
それでも朝の目覚めは爽やかでした。
この広い部屋を独り占めできたからでしょうか?
今日入る『黒き谷』も独り占めなら良いんだけれど。

山の朝飯も実に旨いのです。
ご飯とみそ汁と諸々、それに朝は女将さんお手製の焼きたてのパンと手作りのジャムと
熟成したチ-ズとサラダが付く訳ですが、僕はご飯もパンも平らげてしまいました。




   




滋賀県の常連さん3人は今日は竿を出さずにゆっくり登山道を帰ります。
僕は最後に『黒き谷』の様子を見たくて早朝小屋を出立して谷に向います。

膝の具合は大分良くなって来たのですが両足に出来た4つのマメが痛くて痛くて。
やはりウェ-ディングシュ-ズだけで3日間、登山も釣りもこなすというのはムリがあるのかもしれませんね。
とにかく、ふやけちゃって足の皮が弱くなってしまうのでしょうね。
それでも我慢して登山道を歩き、長いハシゴを登ったり下ったり、、、、、。









ヘロヘロになって辿り着いた『黒き谷』

どうですか、この群青色の空!
この空の下、開豁な溪でロッドを振れるだけで幸せを感じてしまいます。










この谷は上流へ行くにつれて底石が黒っぽくなるためか岩魚はおしなべて黒い体色をしています。




 







このフライは今回の黒部釣行のために巻いたものです。
ボディもハックルもウイングも真っ黒、ウイングはジェルフロ-タントとドライシェイクを
2日間塗りながら使い込んでいるために少し色落ちしていますが実は真っ黒けなのです。

真っ黒にした理由は二つです。
黒部の岩魚に効くということ、
日陰のない開豁な流れでは反射光が強いので黒いフライの方が視認性が高いということ。

フックは11番、ハックルとウイングを特大にして浮力を高め、しかも大きな虫に見せかけています。

ウイングを特大にしたのにはもう一つ理由があります。
白泡に呑まれて沈み込んだとき、ウエットフライになるようにしてあるわけですね。

今回は7fのショ-トロッドに10f程度のショ-トリ-ダ-ティペットなので大きくて強い流れでのナチュラルドリフトは困難かも。
そんな発想を前提に巻いたフライですが案の定、意に反して沈んだ時でも功を奏してくれました。





フライは5種類巻いて
結局3日間で使用したのはこのフライのみ。















この岩魚の黒い斑紋
ロ-マ字のYに見えませんか?
これが黒部岩魚の特徴の一つなのだそうです。









この顔、この胸鰭、この体色
黒部岩魚の本物の野生に触れた思いがするのです。


  





こんな流れがずっと奥まで続いています。
美しい流れも、ひとたび暴れ出したら脅威の流れに変わります。
谿に入るとき、このことを心していなければなりません。









完璧!
自画自賛です。











ちょっと痩せてはいますが超特大のこの尾鰭、惚れ惚れしてしまいます。
面構えも厳ついこの日ふたつ目の尺オ-バ-に大満足でした。

  


時間を気にしながらの2時間の『黒き谷』
でも期待は裏切られませんでした。
たったの2時間でこれだけの良型がそろうのは久方ぶりのことでした。



 




これで心おきなく帰れます。


     



3日間の黒部
ちょっと疲れましたが黒部の大自然の入り口に立てたことに満足しています。

そして本物の黒部岩魚に再会出来たことにも満足しています。

シ-ズンの中で心から満たされる釣り旅が一度でもできれば充分だと達観できるようにもなりました。

80才になられる釣り師に出会え、帰りの登山道で追いついて、ゆっくりとした歩調で歩く後ろ姿を拝見したとき、
一歩一歩休まずに歩を進めれば確実にゴ-ルに辿り着くのだと言うことを教えられた思いがします。


人間とは何と素晴らしいものでしょうか!

僕も年齢など気にせずに、大好きな源流岩魚に、素晴らしい大自然に、一つでも多く出会えるように精進して行こうと思います。


そんなことを教えられた黒部源流の旅でした(完)


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27 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
了解しました (相模の釣師)
2010-09-06 08:19:02
わかりやすい説明有難うございました。

時間をかけてリサーチしていきます。
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心配無用 (高崎)
2010-09-05 17:22:09
相模の釣り師さん

黒部の谷は一部を除いて難しくありません。

上の廊下から上流は初心者ではムリだと思います。

東沢谷は入溪してすぐに藪漕ぎの高巻があることと
減水前は高巻き後の徒渉が厳しくて撤退しなければならないことがあります。

平の小屋周辺は丹沢のK谷やH谷を経験していれば何も難しいことはありません。
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再度お邪魔します (相模の釣師)
2010-09-04 17:42:01

ここまでの道のりは、記事だけでも相当な体力と知識が必要のように思えました。
私ごときでも、行けるレベルなのかどうかが、凄く気になります。

このフィールドはルアーマンでも平気なのでしょうか?

可能であれば、来年チャレンジしてみたいんですが・・・・

それと今度、機会があったら丹沢あたりご一緒して下さいね!

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山釣り (高崎)
2010-09-03 17:43:15
hanさん、ご無沙汰です。

群馬への遠征見ましたよ。
完璧な尺岩魚、お見事でした。

新潟遠征のハ-ド釣行もそうですがhanさんのタフネスは折り紙付きではないですか。
ちょっと休みを取れば黒部まではひとっ飛びですよ。また年など気にしてはなりませんぞ。

せめて年に一度くらいは2~3日、山深い谿でゆっくり釣り三昧したいものですね。


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いい世界! (ひとときhan)
2010-09-03 15:53:51
PCの不調からやっと回復で久しぶりです。
とにかく無事帰還でお疲れさ~ん!
やっぱり行ってみたいフィールドですが、あの木梯子が高~い!遠~い!高所恐怖症の私には気が重~い!歳だぁ~!(笑)
昨夜、店に釣り(フライ)をやる新宿店のお客さんが来て深夜まで釣り談義。
以前から一度一緒にキャンプ釣りしようという事になっているのですが、8月末に山形の月山に1人でキャンプ釣りへ行ってきたそうです。
車止めから歩きで片道6時間!何やら似ていますね。岩魚がバッタバッタと5,60尾は釣れて岩魚のサンクチュアリだったそうです。
数ばかりでなく、野生を感じながら静寂な山中にただ1人きりというのがいいですね。
最近は本当に遠く、奥まで行かなければ良い釣りといい想いが出来なくなりましたね。
今年みたいに猛暑が続くといささかしんどくもありますが・・・・・
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秋休み (高崎)
2010-09-02 23:42:42
バッカスちゃん

そうだよ、超過密な夏を乗り切ったんだからしっかり秋休みを取ったって罰はあたらないぜ。
良い季節に良い山歩きをして欲しいなあ。
温泉で体を癒すのも良いよね。
自分にご褒美をあげる良い季節になるからね。

黒部立山辺りをロ-プウェイとトロリ-バスで巡って雄大な北アルプスの大自然に触れ、見事な紅葉の世界に浸るのも良いかもね。
ちょっと歩いたりしたらビ-ルが一層旨く飲めますぜ!

行っちゃえ行っちゃえい!
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真打ち登場! (高崎)
2010-09-02 23:34:39
ホリャさん

若き日、黒部に3度も突入したわけですな。
僕も若き日に奥黒部の東沢谷で至福の時を過ごしたのですが、平の小屋は素通りしちゃった。
ホリャさんは建て替え前の小屋に泊まったわけですな。

しかしねえ、常連さんと二言三言しかしゃべれないシャイな男だったなんで誰が信じます?

白き谷、良型が入れ食い、当時はホントにそうだったんだろうね。来年連休が取れたら行きまへんか?
4時間かかるところを6時間もかければ辿り着きまっせ。

僕は最近、新たな溪を開拓するよりも昔訪ねた源流部を再訪する旅に魅力を感じるようになりました。
あの時の風景や岩魚と再会して、変わらぬ素晴らしさに懐かしさと感動を覚えてしまうのですよ。

どうですか、プチ遠征で黒部ボケから醒めましょうぞ。あぁ、もう黒部ボケが始まっているかも?
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古傷 (高崎)
2010-09-02 23:14:36
good speedさん

やはり古傷があるんですね。
この年になるとあちこち古傷だらけですよね。
だから重いザックを担いでの重登山は不安が先立ってなかなか踏み切れなくなりました。

でもね、車より自転車よりバイクより人間の足の方が遙かに素晴らしいものだと再認識させられました。

ゆっくりでも一歩一歩進んでいけば岩場でも階段でも崖でも歩けてしまうわけですからね。
車やバイクには絶対にマネ出来ない強みですよ。

だから目一杯楽しみましょうね。
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清き流れ (高崎)
2010-09-02 23:06:53
山親爺さん

黒部に限らず北アルプスの溪は清冽で開豁でとても気持ちええですね。
ビ-ルも流れに浸けるとたった5分でしっかり冷えちゃうんですわ。

昔の黒部のお話、お聞きしたいですなあ。
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スケールが違う! (バッカス)
2010-09-02 17:21:19
感動の「夏休み」おめでとうございます。

山、渓、釣行、酒、肴・・・

満喫の2編拝見しました。天国に行ってきたんですねぇ~。朝食のパンとチーズが美味しそうだった・・・

私も、どうせ閑なんだから、週一の里山歩きでお茶を濁してないで、しっかりした夏休み(秋休み?)を取ろう!と決心しました。
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素晴らしい遠征でしたね (ホリャ)
2010-09-02 09:34:20
こんにちは。渓から脱却しローカル線に揺られている男です。

平の小屋は若かりし頃に三度訪れましたが、あそこの岩魚は別格のように思います。

初めて訪れた時は前日立山に登り翌日平の小屋をピストンしたんです。どうしてあんなに体力があったのかしら?その時には100段×2の階段はまだなかったのですが、翌年は登山道が崩壊しあの階段が出来ていた記憶があります。
宿のオヤジはまだ若造で暴走族やらヤクザとの抗争話をしていたので、僕はまったく興味がなく先に寝てしまいました。
若過ぎたのかシャイだったのか常連客とも一言二言しか会話できずにただただ酒を飲んでいました。
白き谷では僕も竿を振ったことがあります。型のいいのが入れ食いでしたが尺は釣れませんでした。
あの時の平の小屋遠征は今でも酒のあてになるほどに鮮烈な思い出となりましたが・・・
高崎さん、気をつけなはれ!これから黒部ボケがはじまりますぞ!忙しい最中でも黒部の大自然がボォ~ッと頭の中身を占領するのです。飯時では咀嚼を忘れボロボロダラダラと口の中身をこぼすのです。かなりヤバい症状がこれから高崎さんを襲うことはまちがいありゃしません。でも、それでも羨ましい~! 今度ゆっくり話聞かせてください。


くれぐれもボケないように!!
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足もと (good speed)
2010-09-02 09:09:59
二編、息を詰めて拝見しました。荒々しくも美しい谿ですね。
ウェーディングシューズで踏破されたとは驚きです。
僕も両膝に古傷を持つ者ですが、先輩方の行動力に痛みの恐れも失せる思いです。
足腰を鍛錬せねば。
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Unknown (山親爺)
2010-09-02 04:06:26
 いいな~あのデッカイ黒部湖その奥の渓谷、黒部の渓谷は素晴らしい、清き渓谷は流れる清い心はどちらも美しい。

 たまらんな~ヤマメそしてイワナそこにその上気のあった仲間、もう何も言うことなしである。
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ええでしょ! (高崎)
2010-09-01 23:36:12
Kちゃん

黒部はえがったあ!
実は9月に6連休にして奥黒部に行こうと画策していたんだけれどね、今回の旅で充分満足したのでもういいやって感じなんですわ。

両俣はまた何年かしてら様子見に入ろうかなと思うちょり鱒。
いくら良い釣りが出来たからって通いつめたらいけませんよね。

色々なサイトを見てるけれど両俣のような狭いエリアに毎年2度3度と通い詰めて、今年は何か変だ、岩魚が少なくなったなんて言っているけれど当たり前だよね。いくらC&Rしたって傷ついたり病気になったりして減ってしまうものね。
ホントのお気に入りの溪だったら2~3年に1度くらいが丁度いいのかもしれないよね。

黒部の谷は湖から絶えず岩魚が供給されているので年に1度くらいならいいかな?
もし来年入る気になったら声かけるね。
もっと奥までゆっくりゆっくり入りますかね。

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いいねえ (Kz)
2010-09-01 22:46:50
いいねえ黒部!
ヒライワナねえ?
初めてだねえ。
真っ黒い岩魚、野性的でいいねえ。
俺も一度行ってみたいなあ
来年も行くんなら声かけてくれない。

それと去年の両俣、今年は入らないの。
あそこもなかなか良いよね。
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ピ-カン (高崎)
2010-09-01 21:10:48
Lure-Kさん

谷という谷はどこもみな太陽を遮るものがありません。陽が昇ったらじりじりと焼かれてシャワ-を浴びられないほどに日焼け痕がヒリヒリ傷みます。

日陰はかろうじて大きな岩陰くらいです。
長袖、手袋(僕はしません)など日焼け止め対策は必須ですね。

でもこんな岩魚と出会えれば我慢もできるというものですかね。
いい旅になりましたよ。
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Unknown (Lure-K)
2010-09-01 19:36:49
大自然のなか、トレッキングしているだけでも満足ですが、さらにネイティブ岩魚とも遊べるなんて最高の遠征ですね。空の青と山の緑のコントラストがたまりません。水も綺麗ですね~

しかし、黒部の源流は木々に覆われていないんですね~。日焼けしそうですね。
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ネイティブ (高崎)
2010-09-01 18:23:55
ヒロキチさん

北アルプスの溪は本流も支流もカラッとしていて開豁でとても気持ち良く遡行できますね。

僕もこれほどコンスタントに快適に満足のいく岩魚に出会えたのは久しぶりのことでした。

手つかずの大自然の中でネイティブ岩魚と遊べるなんて、こんな幸せはありませんね。

鮎も岩魚もどちらも愛してくださいね。


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黒毛針 (高崎)
2010-09-01 18:17:56
malamuteさん

malamuteさんの仰るとおり、
この黒毛針は浮いて良し、沈んで良しの僕なりの戦略的毛針なのでございます。
これがドンピシャで当たりフライになりました。

北アルプス派のmalamuteさんなら黒部も入るべきですね。
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ヒライワナ (高崎)
2010-09-01 18:14:14
相模の釣師さん

金色がかった魚体、Yの字の斑紋
これが黒部岩魚、別名ヒライワナの特徴たのだそうですよ。
野性味溢れる黒い岩魚もまた精悍で良いですね。

黒部の谿なら水筒なんてなくても
いくらでも谿の水は飲み放題ですからね。
汗かきの釣り師さんでも安心だす。
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完璧! (ヒロキチ)
2010-09-01 18:13:12
もう気持ち良さがビンビン伝わってきます。
ネイティブイワナの凛々しい顔にうっとりしながら、いつか自分も行こうと思います。

フライはやったことないので、テンカラで攻めたいと思います。

広くて壮観な川原鳥肌もんですね!

いや~本当に良い旅でしたね!
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魚体 (高崎)
2010-09-01 18:08:24
tooさん

素晴らしい岩魚でしょ。
この谿では時間さえあればもう少しじっくりやってみたかったです。

ザックの軽量化のためにウェ-ディングシュ-ズで通しましたが、やはり登山には登山靴を使うべきでしたね。

tooさん、今年はちょっとダレてません。
あと1ヶ月、溪に出ましょうね。
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黒部 (高崎)
2010-09-01 18:03:39
たろうさん

奥只見や遠山も良いですね。
でも時間を調整して黒部にも是非足を運んでみてください。
たろうさんの場合は富山側から入る方がいいですかね。

野性味溢れる黒部岩魚に逢える幸運を祈ります。
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Unknown (malamute)
2010-09-01 16:01:18
文字通りのスカイブルー、ジンクリアーの水の色、戦略的な毛鉤で尺上黒部。

本当に「完璧な源流釣行」ですね(羨;)

昨日見えたお客さんにこの写真見せたら十は若返りそうです。ひょっとしたらまた釣竿持ち出して。。。 そうなって欲しいです。

お疲れ様でした。素晴らしいレポありがとうございました。
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感動2 (相模の釣師)
2010-09-01 11:33:01
イワナのYの字マークにはびっくりです
これだけ素晴らしいフィールドで釣りができるなんて素晴しいの一言ですね。
川の流れを拝見しながら、ミノーを投げたら黒部のイワナはどんな反応をするのだろうか・・・・考えてしまします。

黒部のイワナは野性味あふれていて、私も見てみたいと本当に思います。


感動しました!
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いいね、いいね (too)
2010-09-01 11:28:02
思ったよりも餌が豊富そうでいい魚体。

頑張って歩いた者しか味わえないすばらしさ。

前から気になっていたのですが、やはり靴は2足必要みたいですね。
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素晴らしい (たろう)
2010-09-01 10:48:17
黒き谷編、拝見させていただきました。

胸鰭と尾鰭の大きさから谷の出水時の凄さが容易に想像できます。素晴らしい谷と黒部源流イワナですね。

黒部界隈の詳しい地図が欲しくなってしまいました。

釣行、楽しまれてよかったですね。
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