この世界の憂鬱と気紛れ

タイトルに深い意味はありません。スガシカオの歌に似たようなフレーズがあったかな。日々の雑事と趣味と偏見のブログです。

疑惑は拭えなかった『ファースト・マン』。

2019-02-10 14:35:17 | 新作映画
 デイミアン・チャゼル監督、ライアン・ゴズリング主演、『ファースト・マン』、2/9、Tジョイ久留米にて鑑賞。2019年6本目。


 最初に断っておくと本作はそれほど面白い映画ではありません。
 物語が恐ろしく淡々と進んでいくのです。
 おそらく、実話を元にした映画なので(比較的)事実に忠実に作ってあるのでしょう。『ボヘミアン・ラプソディ』とは逆のタッチってことですね。
 なので、あまり人に薦めようとは思いませんが、個人的には観に行った意義がありました。

 世の中には様々な陰謀論が存在します。
 代表的なのは「ユダヤ人が世界経済を支配している」というユダヤ陰謀論でしょうか。
 ユダヤ人が世界経済の動向を予想し、投機を行い、利益を得ているというのは事実だと思いますよ。
 でもそれはあくまで世界経済を「予想」しているのであって、「支配」しているのではないですよね。
 経済は天候と同じで予想は出来ても支配出来るようなものではないのです。

 このように陰謀論のほとんどはデタラメで、語る価値もありません。
 しかしながらただ一つ、もしかしたら本当ではないかと思う陰謀論があって、それが何かというと「実は人類は月に到達していないのではないか?」という『アポロ計画陰謀論』です。
 なぜ人類が月に到達していないと思うのか、言い換えればなぜアポロ計画が捏造だと思うのか、それにはもちろん根拠があります。

 例えば、、、そうですね、スペースシャトルのミッション中の事故で何人の宇宙飛行士が亡くなったか、ご存知ですか?
 答えは14人です。1986年のチャレンジャー号爆発事故で7人、2003年のコロンビア号空中分解事故で7人亡くなっています。
 ではアポロ計画においては何人の宇宙飛行士が亡くなっているでしょう?
 答えは3人です。
 しかもその3人というのもミッション中の事故ではなく、訓練中の火災による死者です(映画の中でも取り上げられています)。つまり1961年から1972年にかけて実施された有人宇宙飛行ミッションにおける死者はゼロなのです。
 仮に、月への有人宇宙飛行のミッションをエベレスト登山に例えるならば、地球の周りを周回するスペースシャトルのミッションは富士登山のようなものではないでしょうか。
 エベレストの登山中に一人の犠牲者も出さなかった山岳パーティが富士登山で14名もの死者を出したとしたら、それっておかしいとは思いませんか? 
 数字が逆でもいいぐらいですよね。

 次におかしいなと思うのはソ連の対応ですね。
 アポロ計画においてNASAは全6回の有人月面着陸に成功しました。
 対してソ連はどうだったかというと有人月面着陸どころか、月へ向けて宇宙船を飛ばすことすらしていません。
 
 冷戦時代の宇宙開発競争において当初ソ連が圧倒的にアメリカをリードしていたのは周知の事実です。
 世界初の人工衛星を打ち上げたのもソ連ですし、世界初の有人宇宙飛行に成功したのもやはりソ連です。
 アメリカはソ連に追いつき追い越せで、最終的に有人月面着陸に至るわけですが、追い越されたソ連が追い越されっぱなしだったというのには納得出来ません。
 だって、有人月面着陸に成功したのがアメリカ一国だけであれば、月はアメリカの領土である、豊富な月資源はアメリカだけのものであるとアメリカが主張しても反論出来ませんから。
 アメリカが6度有人月面着陸を成功させる間に、一度ぐらいはソ連も同じように有人月面着陸を成功させてもいいと思うのですが、なぜそうならなかったのか?

 とはいえ、何だかんだいっても結局のところはアメリカは月に行ったんだろうな、と思ってはいたんですよ。
 月に初めて足跡を残した宇宙飛行士の映画を観れば、自分の中の納得出来なかったものやモヤモヤも霧消してしまうのだろう、そう思っていました。

 が、残念ながら霧消しなかったですね。
 自分が生まれる前のことなので、初めての有人月面着陸については知らないことばかりなのですが、その様子が全世界でリアルタイムで衛星中継されていたということも今回映画を観て初めて知りました。
 リアルタイムで衛星中継されていたのであれば、有人月面着陸は間違いなく実際に起こったことである、、、と思いたいところなのですが、残念ながら陰謀論疑惑は拭えませんでしたね。逆に深まったといってもいいぐらいで。

 すべてが上手くいったからよかったですよ。
 でも初めての有人月面着陸であるわけですし、上手くいかない可能性も当然あったわけです。
 下手すれば月面探査船は爆発していたかもしれません。
 にもかかわらず、全世界衛星生中継?
 う~~~ん、納得出来ない…。

 ニール・アームストロングの半生を描いた映画を観ても拭うことは出来なかったので、この先何を見ても、または読んでも、自分の中のアポロ計画陰謀論が消えることはないと思います。
 

 お気に入り度★★★☆、お薦め度★★☆(★は五つで満点、☆は★の半分)です。
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