この世界の憂鬱と気紛れ

タイトルに深い意味はありません。スガシカオの歌に似たようなフレーズがあったかな。日々の雑事と趣味と偏見のブログです。

肝心の物語がつまらない『ファースト・ラヴ』。

2021-02-15 22:18:09 | 新作映画
 堤幸彦監督、北川景子主演、『ファースト・ラヴ』、2/13、イオンシネマ筑紫野にて鑑賞。2021年8本目。

 最初この映画を観るつもりは全くありませんでした。
 何しろ監督が堤幸彦ですからね。
 自分にとって堤幸彦は『トリック』の人です。
 『トリック』は嫌いじゃないけど、それはあくまでテレビドラマだからであって、あれと同じレベルのものを劇場に観に行く気にはなれません。
 そんなわけで堤幸彦の監督作品を劇場で観たことはありませんでした。

 しかし今回『ファースト・ラヴ』を観て驚きました。
 物凄く画を丁寧に撮っている、そう感じました。
 堤幸彦をただのテレビドラマの演出家と捉えていた自分の認識は改めなければいけないのかもしれません。

 主演の北川景子もいい演技をしていました。
 実年齢で三十代半ばの彼女ですが、本作の回想シーンで21歳の役を演じています。
 それがまったく違和感がないのです。
 なかなか出来ることではないと思います。
 共演の中村倫也、それに芳根京子も含め、キャストに関しては文句をつけるつもりはありません。

 ただ、肝心の物語はというとはっきり言ってかなりつまらなかったです。
 女子大生が父親を刺殺したのであれば、おそらく父親は彼女に何らかの性的虐待を加えていたのだろうな、と充分予想がつきますよね。
 予想がつく以上は真相はそうではないだろうと思ったのですが、まさか予想の範疇を一歩も越えないなんて…。
 逆の意味で予想外でした。

 あと、芳根京子扮する環奈は最終的に父親殺しの罪で懲役8年の刑を喰らうことになるのですが、情状酌量の余地があり、心神喪失状態であったことが明らかな彼女がそこまで重い刑を喰らうのはどうなんですかね。
 少なくとも担当弁護士は「無能」と誹られても仕方がないかと思います。

 映画を観てその原作が気になることもままあるのですが、本作に関してはそれが皆無でした。
 というか、もっとはっきり言えば、よくこの程度のお話で直木賞を受賞したものだな、と思いました。
 物語に感動もなく、興奮もなく、驚きもない。
 特に時代を切り取った作品というわけでもない。
 ますます直木賞に興味が無くなりました。 

 お気に入り度★★★、お薦め度★★★(★は五つで満点、☆は★の半分)です。

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