この世界の憂鬱と気紛れ

タイトルに深い意味はありません。スガシカオの歌に似たようなフレーズがあったかな。日々の雑事と趣味と偏見のブログです。

戯曲『桃太郎・改 いざ、鬼が島へ!!』

2015-09-09 21:05:10 | ショートショート
桃太郎(以下桃)なぁ一つ聞きたいんだけど。
犬   何です、桃太郎さん。
桃   鬼が島までは舟で行くんだよな?
犬   そりゃまぁそうですね。キジさんと違って私たちは飛べませんから。
桃   その舟は誰が漕ぐわけ?もしかして、俺?
犬   そりゃそうですよ。サルさんの手は櫂(かい)を持つには小さいですし、
    私やキジさんではそもそも櫂を持てませんからね。
桃   ヤダ。かったるい。
犬   何ですって?
桃   知ってる?鬼が島の周りってスゲー潮の流れが速いってこと。
    あの潮の流れを乗り切って鬼が島まで舟で辿りつくのってそーとー大変よ?
    無事辿りつけたとしても疲労困憊、ヘロヘロになって鬼たちと戦っても
    絶対勝てっこないって。
犬   何を言ってるんです、今さら!
桃   だからさ、俺、考えたんだよね。
    この際キジに夜中にこっそり鬼が島まで飛んでもらって、
    奴らの村の井戸に毒を混ぜたらどうだろうって。
キジ  え、あっしがですか?
犬   そ、そんなの卑怯すぎます!
桃   いいじゃん、絶海の孤島で何が起ころうが、誰にもわかりっこないんだし。
    サルはどう思う?
サル  いいんじゃないですか。鬼が全滅したころを見計らって鬼が島に乗り込みましょう。
桃   よし、決まった!
犬   ひどすぎる!!
桃   まぁそう言うなって。この世の中、勝ったもんが正義ってことよ。
サル・キジ まったくですな。
犬   鬼はあんただよ、桃太郎さん…。


                                   おわり
コメント (5)
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