ねばり強い営業

すると３０分ぐらいして、また二人の親子が事務所に戻ってきました。
「５万円まで予算を出すやさかい、もう少しええ物件ないやろか」
１時間ほど前に接客したお客さんが、ふたたび事務所に戻ってきて新規
物件を再度探して欲しいと言います。熱意を持って接客をすればすぐに
でも、ふたたびお客さんは戻ってきてくれるものなんですね。
このお客さんを見て、私は営業のあり方について再度考えさせられまし
た。当社の賃貸担当者の接客は、余りにも淡泊すぎたんではなかっただ
ろうか。以前ある社長から「営業とは牛のよだれのようなもの」と
聞いたことがありました。牛のよだれは粘りがあるから落ちそうで、
また口元に戻ってきて落ちないんですね。この何度でも繰り返す、粘り
こそが営業には欠かせないと言うわけです。
口先だけ取り繕った営業は粘りがないから、お客さんは切れた凧になり
２度と戻ってこないわけです。口先はへたでも粘りがあれば、お客さん
はそれに答えて戻ってきてくれるということが母娘をみてわかったよう
な気がしました。繁忙期の２月、３月はたくさんのご来店がありますが
、それ以外の月でいかにして売上げを上げていくかは、まずは何度でも
繰り返すねばり強い営業は欠かせないものなのかもしれません。
先ほど案内した物件は４万５千円でしたが、もう一ランク上の物件を探
してお客さんと折衝を始めました。そしてあるお気に入りの物件を探す
ことが出来ました。次の約束があったので案内は出来ませんでしたが、
外回りだけでも見てくるといって母娘は事務所を出ていきました。

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