ブログ 「ごまめの歯軋り」

読書子のための、政治・経済・社会・文化・科学・生命の議論の場

読書ノート 茂木健一郎著 「欲望する脳」 集英社新書

2009年04月30日 | 書評
今や茂木さんは哲学者 脳から人間存在の本質に迫る 第12回

第19回 欲望と社会
欲望を最終的に生物学的に定義すると、やはり生物としての個体維持本能、種保存本能に帰結するのかもしれない。道徳や倫理に人間を合わせることは出来ない。生きることの本質は本来どうなるか分らないという遇有性にある。経済行為も誰も予測できない遇有性が基本である。マクロ経済動向は予測できない。明日のことが予測できる経済アナリストは誰一人としていない。みんな後付けの理屈を言っているのだ。とりあえず自分の欲望を肯定することで人間はスタートする。生きる上で避けられない遇有性を引き受ける形でアダムスミスの経済が成り立っている。経済を計画できると思った社会主義は崩壊した。人間も社会規律で縛りつける全体主義も破綻した。人間存在の原罪である遇有性(どうなるかわからない)を引き受けるのが人間の宿命ではないだろうか。

第20回 1回性を巡る倫理問題
人生は1回性(繰り返すこと、やり直しのきかないこと)にあり、全ての宗教的体験の本質も1回性にある。人生のリセットが出来ないかぎり、気付きを重ねて学習を続けるのが人生である。ひらめきと云う1回性の認識は「一発学習」であり何時訪れるかは分らないが大切な事である。しかしそれを大事にするセレンディピティとは偶然を必然に転化する「メタ認知」のことである。
(続く)


月並み自作漢詩 「某園看藤」

2009年04月30日 | 漢詩・自由詩
重畳花王白皎     重畳の花王 白皎然

垂藤千紫艶陽     垂藤千紫 艶陽の天

春風弄袖衣巾爽     春風袖を弄して 衣巾爽かに 

嫩緑如羅草木     嫩緑羅の如く 草木鮮なり

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(赤い字は韻:一先 七言絶句仄起式  平音は○、仄音は●、韻は◎)
(平仄規則は2・4不同、2・6対、1・3・5不論、4字目孤平不許、下三連不許、同字相侵)

CD 今日の一枚 モーツアルト 「弦楽五重奏 第1番、第5番」

2009年04月30日 | 音楽
モーツアルト 「弦楽五重奏 第1番、第5番」
第1ヴィオラ:ヨゼフ・スーク スメタナ弦楽四重奏団
DDD 1983 DENON

①「弦楽五重奏 第1番」 K.174
②「弦楽五重奏 第5番」 K.593
モーツアルトの弦楽五重奏はヴィオラを二人とする中音部を強化した曲で、躍動感に富み魅力溢れる傑作集です。
チェコの大御所スークの率いるスメタナ弦楽四重奏団の演奏です。初期の第1番と晩期の第5番の収録です。