ブログ 「ごまめの歯軋り」

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政権構想 小沢氏 イギリス型議院内閣制を目指す

2008年04月22日 | 時事問題
asahi.com 2008年04月22日03時03分
「革命的分権」「与党が閣僚補佐」小沢氏が政権構想素案
 民主党の小沢代表が、25日発売の『政権交代』(文芸春秋)に収録される元大蔵省財務官の榊原英資早大教授との対談で、自らの政権構想の素案を明らかにした。近く榊原氏ら官僚OBや経済人らが政策提言会議をつくり、小沢氏は会議の提言を受けて、政権構想を具体化する考えだ。
地方分権については、やはり『日本改造計画』で主張した「全国を300の基礎自治体に分割する構想」を踏まえ、「明治以来続く行政制度について革命的改革をやる。政府は外交、安保などの国家的な課題に専念し、あとは全部地方に任せてカネも権限も渡す」と述べた。
 小沢氏は首相がリーダーシップを発揮するために「与党と内閣の一体化」が必要だと訴えてきたが、対談では、今の政府と与党の関係について「都合が悪い時は『党が反対してる』『政府が勝手に決めた』とごまかしている」と批判。「イギリスでは閣僚を補佐する閣外大臣や副大臣ら100人ぐらいが与党から公職に就く。これは絶対やりたい。与党になったら党に別建てで政調のようなものを設けることはしない」と明言した。

イギリス型議院内閣制
イギリスは議院内閣制の発祥地である。歴史的には絶対君主制から議会が次第に実権を奪っていったという側面が重要である。1742年二大政党政の成立で議会の多数となった政党が行政権を手に入れ議院内閣制が成立した。19世紀には二大政党制を前提に次第に選挙が拡大し、議会は民主政治の舞台として機能するようになった。1910年下院は上院に対する優位を確立した。同時に総選挙で政党と首相候補、政策プログラム(マニフェスト)の三者が選択されるというイギリス型の選挙制度が定着した。イギリスでは議会の多数派政党が組織する内閣の強力な権力集中を認める政治的緊張を持った仕組みである。政府提出法案は多数決で成立することが当たり前である。このモデルの議院内閣制はオーストラリア、カナダ、ニュージランドなどのかっての英連邦諸国で広まった。
イギリスは議院内閣制の発祥地である。歴史的には絶対君主制から議会が次第に実権を奪っていったという側面が重要である。1742年二大政党政の成立で議会の多数となった政党が行政権を手に入れ議院内閣制が成立した。19世紀には二大政党制を前提に次第に選挙が拡大し、議会は民主政治の舞台として機能するようになった。1910年下院は上院に対する優位を確立した。同時に総選挙で政党と首相候補、政策プログラム(マニフェスト)の三者が選択されるというイギリス型の選挙制度が定着した。イギリスでは議会の多数派政党が組織する内閣の強力な権力集中を認める政治的緊張を持った仕組みである。政府提出法案は多数決で成立することが当たり前である。このモデルの議院内閣制はオーストラリア、カナダ、ニュージランドなどのかっての英連邦諸国で広まった。
イギリス型恒久官僚制と政治的中立
恒久官僚制というのは終身雇用を前提に高級官僚が育成される。オックスフォードやケンブリッジといった名門大学を卒業した人材が生涯官僚の身を歩む。これは日本の官僚像に近い。イギリス独特の政治的中立性という原則がうまれ、大臣以外の政治家との接触は忌避される。政冶官僚化している日本の官僚はこの点で厳格でない。又官僚と政治家の仕事は別であるという観点から、官僚から政治家への転身は稀である。イギリスでは政冶行政分断論が厳格に実現している。

読書ノート 福岡伸一著 「生物と無生物のあいだ」 講談社現代新書

2008年04月22日 | 書評
生物の動的平衡とはなにか 第3回

本書の内容は大きく三つの部分からなる。前半1/2は遺伝子工学や分子生物学の進歩を面白おかしく述べたものである。二つは中間で述べられる生物の秩序つまり「動的平衡にある流れ」について、三つは著者らの研究室の研究「すい臓消化酵素産出細胞小胞体膜蛋白GP-2の精製と遺伝子配列決定とノックアウトマウス」ついて述べられている。前半1/2の遺伝子工学や分子生物学の進歩では、科学界の成功争い(サクセスストーリー)も交えて、それに乗れなかったが基礎を確立し次の時代を用意した「アンサングヒーロ」、X線回折データで二重螺旋構造を示したが不遇な女性研究者フランクリンや、ウイルスを知らずに迷走した汚れた英雄野口秀雄像など面白いエピソードが交えられて読みやすい。しかし全体的な分子生物学の研究成果を一覧するにはやはり私はジェームス・ワトソン、アンドリュー・ベリー著 「D N A」講談社 (2003年12月)を推薦したい。この本の概要を次に示す。

ジェームス・ワトソン、アンドリュー・ベリー著 「D N A」  講談社 (2003年12月)
2003年が、ワトソンとクリックが遺伝子の本体であるDNA(DeoxiriboNucleicAcid デオキシリボヌクレイックアシッド デオキシ核酸)の2重らせん構造を解明した記念すべき日1953年2月28日(ワトソンとクリックは遺伝子DNAの構造解明によりノーベル賞を受賞した)の50周年にあたることから、この本が企画された。ジェームス・ワトソンは1968年に「2重らせん」という本を著している(この本は本書の初め1/4にあたる部分に相当)。しかしDNAのセントラルドグマに沿ったその後の遺伝子工学の進歩は著しいものがあり、今日のバイオテクノロジーの進歩は社会の広範な問題(医療など)に及んでいる。本書「DNA」は遺伝子構造解明から今日にいたる生命科学の進歩を総覧し、今日的問題をレビューしている。
私も学生時代を加算すると40年近くバイオテクノロジーの分野の周辺におり、その進歩を中で、横で見てきた。ひとつひとつの動きは熟知していたが天才の手になるレビューには興味が尽きない。この知的でエキサイティングなストーリに参画できなかった自分の無能が悔やまれるだけだ。本書は500ページほどの分厚い本で内容も多岐にわたるので、網羅的に紹介することも出来ない。しかし本書の持つ面白さを万分の一でも伝えられれば本書を購入されるきっかけになるのではなかろうか。専門的内容が多いのですべての人が理解できるとは思えないが、少なくとも科学に興味を持つ人なら是非読んでおきたい本である。

読書ノート  佐藤優著 「国家の罠」 新潮社

2008年04月22日 | 書評
鈴木宗男、佐藤優をターゲットとした小泉政権の国策捜査(国家の罠) 第3回

1、小泉政権の外交政策 (1)
では小泉政権は外交ではどのような選択をしてのだろうか。この読書ノートコーナーで取り上げた内山融著 「小泉政権」から外交面だけを総括しておこう。
小泉首相の外交政策を云々するまえから、外務省は前代未聞の混乱のきわみにあった。2001年初めから松尾要人外国訪問支援室長が機密費5400万円を横領したり、沖縄サミットの公金詐欺事件、デンバー総領事の公金不正流用、APECホテル代水増し請求問題、外務省公金裏金つくり調査結果発表など不祥事があいついだ。2名が懲戒解雇、328名の処分、1億6000万円の幹部による返済などが決定された。小泉首相が任命した田中真紀子外務相が混乱した外務省を立て直すかと期待されたが、官僚人事へ強引な干渉を行いかえって外務省の混乱を増幅した。田中外務大臣は、官僚のみならず族議員鈴木宗男の外務省介入を不快として、北方四島問題スキャンダルを企て国会を空転させた。そのあおりを食らって外務省ロシア担当調査官佐藤優もスキャンダルに巻き込まれ逮捕された。小泉首相は喧嘩両成敗で田中氏と野上事務次官を更迭した。今となっては鈴木宗男事件は何処が問題なのか不可解である。リクルート未公開株スキャンダルと並んで国家の冤罪事件といわれている。

文芸散歩  「平家物語 」 高橋貞一校注 講談社文庫

2008年04月22日 | 書評
日本文学史上最大の叙事詩 勃興する武士、躍動する文章 第25回

山門牒状
三井寺単独ではとても平家を相手にすることは出来ないので、五月十八日同じ寺院勢力の武力を借りるため比叡山と南都に、同調して立ち上がるよう檄を飛ばした。

南都牒状
比叡山にとって三井寺は末寺であるので、末寺に加担するのは筋違いとばかり慎重派が支配した。そして入道相国は天台座主明雲大僧正を叡山に上がらせて鎮静化に努めたので叡山は動かずと云う態度となった。入道は多くの米、絹を贈り物にして叡山の衆徒に送った。三井寺はさらに興福寺の南都大衆へ檄を送った。

南都返牒
南都の大衆らは日頃荘園を平家一門に侵され、不満が募っていた。三井寺の檄に答えて援軍を送ることを約束した。


自作漢詩 「花下酔」

2008年04月22日 | 漢詩・自由詩


遊人吟杖酔流     遊人吟杖 流霞に酔い

出郭春城日已     郭を出れば春城 日已に斜めなり

月上酒醒深夜後     月は上り酒は醒めたり 深夜の後
 
燈光寂寂照残     燈光は寂寂と 残花を照らす


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(赤い字は韻:六麻 七言絶句平起式  平音は○、仄音は●、韻は◎)
(平仄規則は2・4不同、2・6対、1・3・5不論、4字目孤平不許、下三連不許、同字相侵)